悪化目立つ信用取引需給、株価の調整長期化も
水野 文也記者
[東京 8日 ロイター] 株式市場では信用取引需給の悪化が目立ち、株価を重くする要因となっている。日経平均が6月12日にザラ場年初来高値1万0170円82銭を形成した後の調整局面において、景気回復期待を手掛かりに押し目買いを誘っていた。
しかし、ここにきて弱いマクロ指標が相次いだことで株価は調整色を強め、結果として買い向かった投資家は、はしごを外された格好。中長期の景気回復シナリオは変わらないとみる関係者が多いものの、重くなった需給を整理するには時間を要するため、短期的に景況感が再び強気に転じても株価の調整は長引くとの見方が出ている。
東京証券取引所が7日に公表した7月3日申し込み現在の3市場信用取引現在高(概算)によると、金額ベースで売りが9188億3900万円(前週比152億4500万円増)、買いが1兆5576億4900万円(前週比480億2300万円増)、倍率は1.70倍(前週は1.67倍)となった。日経平均が年初来高値を付けた6月12日現在の数値は、売りが1兆0194億8000万円、買いが1兆2778億7900万円、信用倍率が1.25倍だったことから、最近の下げ相場において、買い戻しが進んで売り残が減少した一方、押し目を狙う動きが活発化し買い残が増加したとみることができる。
市場ではこの間の動きについて「株価は調整したとは言え、長いトレンドで見た世界景気の回復シナリオは変わっていない。そのため押し目は買い場とばかりに、主力株を中心にリバウンドを狙う形で短期回転狙いの個人の資金が、信用取引を利用して買い建てる動きが目立った」(中堅証券幹部)との指摘があった。
ところが、足元の景気動向について不安感が高まるにつれ、株価の下向きトレンドが一段と鮮明になりつつある。株価反転による利食いを考えていた投資家の目論見は崩れしてしまい「景気回復期待に踊らされた後に、はしごをはずされてしまった格好。買い建てた玉が上値に残ったことから、今後は戻り売り圧力の強さが意識されるようになり、調整が長引くおそれも出てきた」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)という。
明和証券・シニアマーケットアナリストの矢野正義氏は、8日の相場について「7日の米株安や足元の円高基調に加えて、機械受注の予想下振れに対する嫌気も反映されている」とした上で「日米ともに、5月、6月の経済指標は市場の期待を裏切る結果が多かった。国際商品市況が軟化してきたことをみても、世界的な景気回復期待に陰りが出てきているようで、本格的な調整入りとなる可能性もある」と述べていた。
<6月の高値が年内天井の可能性も>
実際、7日に東証が公表した銘柄別の信用残高を見ると、買い残を売り残で割った信用倍率、取り組みが悪化した銘柄が主力株を中心に目立つ。輸出関連株や資源関連株の中には、日経平均が年初来高値を形成した6月12日現在、信用倍率が1倍を割り込む銘柄が多く、将来の買い戻し需要から先高を読む空気が強かったものの、その後は信用買い残が増加、しかも増えた後の株価下落によって、これらがシコリとなり戻り売り圧迫感が強いと意識される状況に変わった。
一般的に信用取引は、期限が6カ月のものが最も利用されるため、年内は反対売買による売り圧力におびえる形となり「相場の先行きに対して強気に見方が支配するようになり、戻り売りを吸収できるほどの買いを呼び込むか、相場が急落して投げ売りが増えて整理が進むか、いずれにならない限り、本格的な反騰には時間が必要になる。6月12日が年内の天井となる可能性も出てきた」(準大手証券情報担当者)という。
7月下旬からは第1四半期の決算発表シーズンとなり、そこで3月期企業の業績見通しについて上方修正が相次ぐことになれば、相場の基調は再び強くなるとの期待もある。しかし「決算発表で景気の回復基調が確認されても、ヤレヤレの売りが株価の頭を抑える状況になると、反転機運に水を差すことも想定できる」(大和証券SMBC・グローバルプロダクト企画部情報課次長の西村由美氏)との声も出ているなど、当面は需給悪化が懸念される状況が続きそうだ。
(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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