100円割れ円高でも衰えぬ個人投資家の外貨建て運用、低成長の国内投資見切り

2008年 03月 17日 19:49 JST
 
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 [東京 17日 ロイター] 外為市場でドル安が進行しても、個人投資家の外貨建て資産への選好度に衰えが見えない。この先の一段のドル安/円高は考えにくいとの見方が根強くある中で、高金利通貨建て債券で運用して収益を稼ごうという思惑が働いているようだ。

 日本の低成長による低いリターンの国内投資を見限り、外貨建て資産に向けてマネーが流出する基調が今後も継続しそうだ。

 17日の外為市場では、ドル/円が一時95.77円を付け、12年7カ月ぶりのドル安/円高水準となった。国内の超低金利と昨年夏までの円安基調を背景に外貨建て資産へのシフトを進めた投資家にとっては痛手で、パニック的な解約に走るシナリオも考えられる。

 ただ、現実はどうも違った展開になっている。一段の円高で外貨商品の純資産は目減りしているものの「解約が目立つのは日本株ファンドなど一部の株式投信で、外貨建て債券で運用する外債ファンドへの投資は伸びている」(大和証券)との声や、「将来の値上がり益を期待し、堅実に新発の外債を買っている」(野村証券)との見方が広がりをみせている。

 <高金利通貨建て債券、円高でも人気>

 しかし、豪ドルのように高い利回りが期待できる高金利通貨の相場では、豪ドル/円がここ数カ月間のレンジで、90円台─100円台での一進一退となっており相対的に安定し、投資家の人気は根強い。野村証券では今月に入り、トヨタ・モーター・クレジットコーポレーションのユーロ豪ドル債(2年物クーポン6.82%)5億9000万豪ドル(約590億円)や、国際金融公社(IFC)のユーロ豪ドル債(2年債・クーポン6.71%)6億5000万豪ドル(約650億円)を完売した。

 この先、短期的に為替差損が生じたとしても、クーポンの高さで利潤を期待できるとみる個人投資家が「狼狽(ろうばい)売りをせず、ここを買い場とみて冷静に外債ファンドや新発外債に投資を振り向ける流れに変わりはない」(広報部)という。

 ネット証券でも「新発債は即座に売れる。個人投資家はクーポンの高さに着目して外債を好んで買っているようだ」と指摘。SBIイー・トレード証券8701.Qでは四半期ごとに「70─80億円程度の南ア・ランド債がコンスタントに売れている状況」(経営企画部)という。

 <サブプライム問題契機に外債ファンド人気が復活>

 昨年6月下旬に124円台だったドル/円が、100円前後まで上昇する局面でも、個人マネーが円資産から外貨資産へシフトを続けたことは野村総合研究所のデータでもみてとれる。

 同社の追加型公募投信の資金動向によると、昨年7月から今年2月までの8カ月間で、日本の債券型・株式型・ハイブリッド型を合わせた円資産に投資するファンドからは2654億円の資金が純流出したが、海外の債券型・株式型・ハイブリッド型を合わせた海外ファンドには3兆7384億円が純流入した。純流入分の5割強は債券型が占めた。

 今月13日までの月次累計でも、海外債券型には1436億円の資金が流入しており「米サブプライムローン問題による金融不安で質への逃避が広がり、国際投信のグロソブに始まった外債ファンド人気が息を吹き返した」(大手証券)との声もある。

 実際、昨年後半以降の資金流入額ランキングでは、複数の外貨建て債券に投資する外債ファンドが上位に並ぶ。投信情報サービス会社のリッパーによると、昨年7月から2月末までの資金流入額が最大だったのは大和証券投資信託委託の「ダイワ世界債券ファンド(毎月分配型)<愛称:ワールドプライム>」62005338JPで、流入額は4656億円。大和証券が販売する同ファンドは05年12月の設定で、純資産総額は3月14日現在6055億円。同ファンドは、米ドル、豪ドルのほか、英ポンドなど複数の外貨建て債券を中心に運用する。大和証券・投資信託部の北村幸一部長は「個人の財布の紐(ひも)はまだ堅いが、(相場が)ボトムに近づけば今後はゆうちょ銀行[JP.UL]やその他の銀行からも(資金が)入ってくるだろう」と展望する。

 大和は当初、ニュージーランド・ドル債も運用対象とする「ダイワ・グローバル債券ファンド(毎月分配型)」62004375JPを主力外債ファンドと位置付けていた。しかし、外債投信人気を追い風に03年10月の設定から3年強で純資産が1兆5000億円を超え、信託金限度額の2兆円に迫ったため、同ファンドの後継版として「ワールドプライム」を投入した経緯がある。

 <新興国債券に投資する外債ファンドが話題に>

 流入額ランキングで2位だったのは、野村アセットマネジメントの「野村世界高金利通貨投信(毎月分配型)」62006198JPで、流入額は4091億円。昨年8月末の設定直後から急激に資金が流入し、流動性の観点などから11月初旬には購入受付を停止したファンドだ。同社は11月末に類似の「野村新世界高金利通貨投信(毎月分配型)」62006346JPを立ち上げたが、こちらも実質3カ月強で3284億円が流入し、流入額ランキングでは4位につけた。

 「デュレーションの短い債券で運用し、金利変動の影響を受けにくくしているほか、米ドル以外の複数通貨に分散投資していることなどが、投資家ニーズにマッチした」(野村アセット関係者)とみられる。

 足元ではJPモルガン・アセット・マネジメントが1月末に設定した「新興国好利回り債投信」62006426JPが残高を伸ばしたほか、新興国債券に投資するファンドの新規設定が相次いでおり、外債ファンドへの投資意欲は当面続きそうだ。

 一方、7月から2月までの資金流出額ランキングでは、トップが日興アセットマネジメントの「上場インデックスファンド225」62003265JP(1330.T: 株価, ニュース, レポート)で流出額は5763億円。野村アセットの「日経225連動型上場投資信託」62003260JP(1321.OS: 株価, ニュース, レポート)が流出額5543億円と続き、投資家の「日本株離れ」がここでも浮き彫りになっている。

(ロイター日本語ニュース 記事執筆: 大林 優香、江本 恵美 編集:田巻 一彦)

 
 

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