米MBSが3月のベアー救済後に急回復、対米国債リターンが3%近くに拡大
[ニューヨーク 9日 ロイター] 米金融市場全体に多大な被害をもたらしてきたモーゲージ担保証券(MBS)市場(規模4兆5000億ドル)が、3月の米証券大手ベアー・スターンズの救済を契機に債券投資家にとって最大リターンをもたらす投資先に転じている。
リーマン・ブラザーズの指数によると、米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)、米連邦住宅局(FHA)が発行・保証したMBSは、3月6日以降の米国債に対するリターンが約3%ポイントと、社債や他の資産担保証券(ABS)を含めた投資適格等級の債券の中で最高のパフォーマンスを記録した。
これはリーマンが米国債に対して利回りスプレッドを上乗せして取引されている債券の超過リターンを1989年にとり始めて以来最も速いペースでの回復であり、米連邦準備理事会(FRB)の努力が実を結んだ結果とも言える。
今回の回復局面では、MBSを安全な証券とみなしている投資家の決意のほども試された。MBSのリターンは、対米国債利回りスプレッドが過去20年余りで最高の水準にワイド化した3月6日には、米国債に比べて2.94%ポイントもアンダーパフォームしていた。
3000億ドル以上を運用するフェデレーテッド・インベスターズの政府債・MBS担当共同責任者、トッド・エイブラハム氏は「モーゲージ市場の負けに賭けるのはFRBの負けに賭けるのに等しく、FRBがこのゲームを失うことはない」と指摘した。
従来MBSは金利の変動を除いてほぼリスクがないとみなされていたため、低水準の短期金利で資金を調達し、長期の債券に投資する多くのヘッジファンドに好まれていた。しかし多くの市場参加者にとって、こうしたレバレッジは突然に終わりを迎え、カーライル・キャピタル傘下のファンドやヘッジファンド、ペロトン・パートナーズの破たんの一因ともなった。
米議会から住宅市場の支援を要請されているファニーメイとフレディマックが発行・保証するMBSの米経済に対する重要性が、FRBをして証券会社に短期貸出制度の利用を認める決め手となったのではないかと投資家はみている。MBS市場の急落とその後の反発はまた、FRBが破たん回避に動いたベアー・スターンズの救済劇とほぼ同時に起こった。
ハリス・インベストメント・マネジメントの債券責任者、ローラ・オールター氏は6日に米抵当銀行協会(MBA)が主催した討論会で、3月初旬のMBSの急落は「市場にとってまさにこの世の終わりと感じられた瞬間だった」と述べた。
リーマンの債券ストラテジスト、ジョゼフ・ディセンソ氏は、クレジット市場の急速な回復は短命に終わり、利回りスプレッドは踊り場を迎える傾向があると話す。
9日のMBS市場は、シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)の最高経営責任者(CEO)が4000億ドルの資産を今後2─3年間で売却する方針を示したことを受けて、1週間以上にわたって続いていた上昇が一服し、スプレッドが拡大した。同CEOのコメントはバランスシートのデレバレッジがまだ終結していないことを投資家に想起させ、MBSの最近の上昇相場に対する利益確定売りを促す材料となった。
ただディセンソ氏や他のアナリストは、企業の損失計上や住宅価格の下落、エネルギーコストの上昇が続く中、米経済のリセッション(景気後退)入りの懸念が社債に比べてMBSに有利に働く可能性があると分析する。同氏は「リセッション局面で(社債の)クレジットよりモーゲージのパフォーマンスが良いのは珍しい話ではない」と述べ、企業の業績低迷に影響を受ける社債と違い、エージェンシーMBSは政府お墨付き機関の保証を得ているため「クレジットの正反対に位置しているも同然だ」と指摘した。
フレディマックとファニーメイの昨年の総発行量は1兆ドルを突破し、今年も発行量の伸びが見込まれている。
(ロイター日本語ニュース 原文執筆:Al Yoon、翻訳:関 佐喜子)
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