再送:〔焦点〕09年日本企業のM&A、国内再編が加速・海外企業買収は頭打ちへ

2009年 01月 6日 15:18 JST
 
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 江本 恵美記者

 [東京 6日 ロイター] 2009年に日本企業が主体となる合併・買収(M&A)は、08年に活発だった海外企業買収(イン・アウト)が一転して頭打ちになる公算が大きい一方で、国内勢同士の再編が加速しそうだ。09年は世界同時不況の様相を強めるとみられるため、日本企業による海外企業の買収ペースが減速する可能性があると同時に、国内では経営者がトップライン(売上高)や株価低迷などに危機感を抱き、国内同業他社との再編を模索する流れが強まると予想されている。

 09年の日本企業のM&Aは「海外企業買収(イン・アウト)は08年と同じ程度、国内企業同士の統合(イン・イン)はむしろ増えるのではないか」──。メリルリンチ日本証券・アドバイザリーグループ統括責任者、若月雄一郎氏はこう指摘する。

 トムソン・ロイターによると、2008年1─12月期に日本企業がかかわったM&Aは1616億ドル(約16兆1600億円、不動産取得案件を含む)と前年同期比で3.8%減少。世界全体のM&Aが2兆9359億ドル(約293兆円)と同29.5%減少した中で、日本企業のM&A減少率は小幅だった。海外企業買収(イン・アウト)の金額が740億ドル(約7兆4000億円)と過去最高に拡大し、日本企業のM&A全体を押し上げる原動力となったからだ。

 しかし、M&Aアドバイザリー業務を手掛ける複数の投資銀行は、世界的な経済成長の鈍化を背景に、1)海外企業の買収に慎重になる日本企業が増えている、2)株価や業績の低迷などを背景に業界2位、3位の企業が経営統合などに走る──といった要因で、09年は国内再編の加速を予想する。

 <イン・アウトは頭打ちも>

 M&Aアドバイザーの多くが指摘する日本の問題は、少子高齢化がもたらすマーケットの縮小だ。縮小するマーケットで企業が業績を伸ばそうとしても、成長は限られる。

 JPモルガン証券・マネジングディレクター兼M&A部門責任者の柴田優氏は、新たな成長の活路を求めて海外企業を買収したのが08年までの流れで、この傾向は09年も継続すると予想するが、同時に「企業経営者にとって、投資に対する見方が慎重になっているのは確かだと思う」とも語る。

 海外企業の買収をめぐっては、長期的な戦略の中で「重要と思えば(企業経営者が)積極的にやっていく流れに変わりはない」(同)ほか、海外企業に比べて現金を潤沢に持つ日本企業は、借り入れに頼らず買収に動けるメリットから、相対的に優位とみられている。

 ただ、世界的に経済成長は減速する見通し。アジア開発銀行は08年12月11日、新興国の成長を引っ張ってきた中国やインドの09年国内総生産(GDP)伸び率を9月発表時の予想からそれぞれ8.2%(9月予想は9.5%)、6.5%(同7.0%)に下方修正した。国際通貨基金(IMF)も1月発表予定の世界経済の成長率を下方修正する可能性を示している。

 こうしたマクロ経済悪化という要因が加わって、成長を求めて海外企業を買えば新たな収益源を確保できるとのシナリオは描きにくくなる。09年のイン・アウトのM&Aは慎重になり、金額ベースで比較した場合、08年程度にとどまる可能性があるという。

 M&Aに伴う買収資金の出し手としても、世界中の金融機関が業績悪化という重荷を背負っている。メリルリンチの若月氏は「08年と比べれば(09年は)全体的なおカネの回り方は明らかに悪くなる。このため海外企業を買収する日本企業は、おのずとキャッシュリッチな企業に限定されるだろう」と、買い手は現金を潤沢に持つ一部企業に限られると予想する。

 <国内勢の再編は株式交換で可能、現金不用がメリットに>

 一方で増加が見込まれるのは、国内企業の再編だ。大和証券SMBCのM&A担当、赤井雄一執行役員は、09年以降は景気低迷が予想され「2002─03年のような、いつか見た風景になるだろう。早くもそういう案件は増えてきている」という。

 大和証券SMBCが見据える09年のM&Aの主なテーマは、1)国境を越えたM&A(クロスボーダー)、2)国内勢の経営統合、3)グループ再編──の3つ。赤井氏は、少子化の中で日本のマーケットは厳しく、生き残りにはスケールが必要なほか、経営統合はキャッシュを伴わずに株式交換でできるため「国内の経営統合の案件は特に多く出るのではないか」とみている。

 すでに百貨店では、三越と伊勢丹の経営統合で三越伊勢丹ホールディングス(3099.T: 株価, ニュース, レポート)が誕生したほか、石油業界では新日本石油(5001.T: 株価, ニュース, レポート)と新日鉱ホールディングス(5016.T: 株価, ニュース, レポート)が経営統合で基本合意するなど、業界内の大型経営統合が続出している。赤井氏は、今後も業界でリーディングポジションを得るために経営統合を進める例は増えると予想。注目セクターとして、リテール、食品、素材、部品などを挙げた。

 <M&Aの主体、ファンドから日本勢に交代との声>

 一方、アドバイザーが08年に続いて09年にも引き続き動きの鈍さを予想するのは、ファンドが買い手となるM&Aだ。

 モルガン・スタンレー・M&Aアドバイザリー部マネージング・ディレクター、藤田健二氏は、グローバルに行われるM&Aの入札プロセスでは「つい最近までファンドが何社いるのか、中東勢はどうかなどと言われたが、今は戦略的な日本勢が非常に注目されている」と語り、M&Aの主役がファンドから、日本企業に移ったことを指摘する。

 藤田氏は、ファンドの存在感の後退のほか、円高や日本の金融機関の貸し出し余力を追い風に日本の企業がM&Aをする外部環境が整っていると指摘。モルガン・スタンレーでは、現在担当したり、取りかかり中のM&Aの案件数が、前年同期比で2.5─3倍あるという。

 JPモルガンの柴田氏も「経営にとっては企業同士の競争から来るプレッシャーの方が大きな課題になる。(景気後退の局面では)経営が堅調な時に起きないような再編が起こり得る」と、企業が自発的に巻き起こす業界再編を予想している。

 

 
 

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