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再送:〔焦点〕金融規制もG20が主戦場に、「コア資本から優先株除外」なら公的資金注入の運用に影響も

2009年 07月 10日 07:19 JST
 
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*この記事は9日午後6時08分に送信しました。

 [東京 9日 ロイター] 世界の監督当局による金融規制をめぐる国際的な議論が、今年夏から新たな局面を迎える。日米欧などG10体制で議論してきた枠組みがG20レベルに拡大され、新興国の発言権が高まるためだ。日本にとって重要な論点は、自己資本の「質」の問題。昨年来の金融危機をきっかけに、英米などからは銀行の自己資本比率規制について、普通株を中心にした「コア資本」を充実させる案が出てきており、議論の行方次第では、これまで優先株を軸にしてきた金融庁の公的資金注入の運用に影響を与える可能性もある。

 国際的な金融規制をめぐる議論の場となった日米欧など金融当局の集まりだった金融安定化フォーラム(FSF)は、G20金融サミットを機に、新興国を加えたG20体制へ拡大し、金融安定理事会(FSB)に改組することが決まった。銀行の自己資本規制などを話し合うバーゼル銀行監督委員会も、同様にG20体制に拡大する。FSBは6月末に新体制で本会合を開いたほか、バーゼル委も7月に同様の枠組みで金融規制をめぐる国際的な議論を本格化させる。当事国の増加で議論の錯そうが予想され、複数の日本の当局幹部は「夏以降、どんな姿が待っているか想像できない」と不安を隠さない。

 <国際舞台で金融庁は、コア資本に優先株を入れるよう主張>

 G20レベルでの議論の論点のうち、邦銀にとって注目点の1つは、銀行の自己資本における「コア資本」の定義に優先株が含められるかどうかだ。現行規制であるバーゼル2では、海外に拠点を持つ国際基準行に対し、普通株や剰余金、優先株、優先出資証券などを含む中核的自己資本(Tier1)比率で4%、負債性の高い劣後債なども含めた自己資本比率で8%の確保が必要だ。

 ところが、金融危機で銀行の財務体質のぜい弱性が明らかになった英米当局は、Tier1から優先株や優先出資証券などを除いてより資本として純度が高い普通株や剰余金などに限る「コア資本」で4%確保を求める厳しい基準を打ち出した。

 国際的な規制はバーゼル委で議論され、年内にも銀行の資本規制に対する考え方の大枠を固め、2010年にも新たな自己資本規制の水準を示す見込み。このうちコア資本の定義をめぐる議論で金融庁は、コア資本に優先株も算入するよう主張する。銀行への公的資金注入で活用してきた従来方針と、整合性を保つ必要があるためだ。

 ストレステストを実施した米国では、当局が資本不足の銀行に注入していた優先株の一部を普通株に転換するなどして、コア資本の増強を進めた。ただ、日本の公的資金優先株は、一定期間後に普通株に転換される「転換型」のため、金融庁は「いずれ普通株になるのだから資本性で劣らない」(複数の幹部)と主張している。

 バーゼル規制の対象は、あくまで国際基準行だ。仮に転換型優先株がコア資本に認められなくても、国内基準行で公的資金優先株が残っているりそなホールディングス(8308.T: 株価, ニュース, レポート)や、あおぞら銀行(8304.T: 株価, ニュース, レポート)などに影響が波及する可能性は小さい。だが、国内行向けの規制も「ある程度は国際規制と平仄(ひょうそく)を合わせる必要がある。影響が全くないとはいえない」(当局関係者)との見方も出ている。

 しかも、今後の公的資金注入の枠組みに影響がおよぶ可能性もある。現行の金融機能強化法による公的資金注入は、優先株を利用したスキームだ。優先株がコア資本に算入されないとすれば、公的資金が健全性の向上には寄与しないと市場から評価されかねない。「国際的な事業展開をするときに信認が得られないとなると、普通株による公的資金の枠組みの検討も必要になるかもしれない」(当局関係者)との意見もある。

 <国際議論で優先株は「少数派」>

 ただ、すぐさま議決権が生じる普通株での注入には、当局の関与を嫌う銀行経営者からの執ような抵抗が予想される。金融庁は「他国も事情は同じはず」との認識で、国際議論での事態打開を図る考えだ。

 これまで国際的な金融規制を議論する場で、日本の当局が主導的な役割を演じる場面は、少なからずあった。例えば、金融規制の強化は「景気回復が確実になるまですべきでない」という日本政府の主張が、先のG20金融サミットの行動計画に日本の主導で盛り込まれた。

 しかし、コア資本の議論では、G10体制下でも優先株の妥当性を主張するのは日本のほか「2─3カ国にとどまる少数派」(国際規制に詳しい関係者)とされる。G20体制で新たに議論に加わる新興国では「普通株などシンプルな資本商品が一般的のため、優先株自体が理解されにくい」(同)とみられ、さらに劣勢に立たされる可能性が高まっている。

 コア資本から優先株が除外された場合でも、規制の施行までは経過措置期間が設けられるのが通例。しかもコア資本の規制強化は銀行経営への影響が大きいため、期間が長めに設けられるとの観測が強い。経過措置期間が長く設けられれば、新株発行に頼らずに利益積み上げによる資本の充実が可能となる。しかし「危機からの脱却を急ぐ政治圧力の下では、余裕ある経過措置期間の確保は難しい」(証券アナリスト)との指摘もあり、視界は晴れない。

 <みずほの資本戦略にも影響か>

 国際的な規制の影響を直接受けるメガバンクや大手地銀などの国際基準行は、公的資金の返済を終えている。ただ、みずほフィナンシャルグループ(8411.T: 株価, ニュース, レポート)は、03年に転換型優先株による1兆円の資本増強を実施。足元でも9148億円の転換型優先株が残り、邦銀の中で、もっとも優先株に依存した資本構成となっている。銀行アナリストらの試算によると、1日に発表した6000億円規模の普通株による増資後でも、優先株や優先出資証券、繰延税金資産を除いたみずほのコア資本は1.3%程度の低水準にとどまる。このため、さらなる普通株による増資圧力にさらされかねない。

 優先株の取り扱いをめぐる国際議論で金融庁は、一貫して「あくまで個別行の利益を考えるのではなく、金融システムの安定が第一」(複数の幹部)との立場。「民間が引き受ける優先株と国が引き受ける優先株は別物。少なくとも公的資金による転換型優先株に対する理解は得られるのではないか」(幹部)との意見もあり、みずほのように民間が引き受けた転換型優先株がコア資本の対象から外されてしまうリスクもある。

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 (ロイターニュース 平田紀之;編集 田巻 一彦)

 
 

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