再送:〔焦点〕公的支援のエルピーダ<6665.T>、収益計画なく不透明な再建の行方
*この記事は1日午前零時08分に配信しました。
[東京 1日 ロイター] 半導体大手のエルピーダメモリ(6665.T: 株価, ニュース, レポート)に対する公的支援が30日、正式に決定した。政府は同社が手がけるDRAMを日本の重要産業と位置付けることで、公的資金を使った一般企業への資本注入という異例の政策を具体化した形だ。ただ、政府とエルピーダが同日公表した再建計画には利益水準など具体的な目標は示されず、どのような道筋で公的支援からの「出口」を目指すのかは全く不透明な状況だ。
<公的資金、生き残りに必要>
エルピーダメモリは2008年3月期、09年3月期と2年連続で赤字。09年3月期は営業段階で1473億円、当期段階で1788億円と赤字幅が大幅に拡大した。同社は取引先企業に対する増資などの資本調達に奔走することで、自己資本の目減りによる銀行融資の返済を回避。厳しい財務状況に直面し、この春に成立した公的資金に活路を見出した。
同社の厳しい経営状況は、DRAM産業が構造不況状態に陥っているという背景がある。DRAM市況は、昨年末までの過去1年半で約10分の1まで下落するといった激しい価格下落によりエルピーダを含む世界の主要メーカーのほぼ全社が赤字という有様だ。
30日会見したエルピーダの坂本幸雄社長は、公的資金を受ける理由について「DRAM業界は最後の競争に入っている。投資余力がなくなるとDRAMの競争からふるい落とされる」などと語った。業界では、生産性強化に向けた回路の微細化投資が必要とされている。ドイツ証券アナリストの宮本武郎氏は「DRAM業界でいまここで投資できないと来年大赤字になって(市場から)退出することになると思う」と指摘する。
<不透明な国際再編の行方>
エルピーダが収益性を改善させるには、投資競争で勝ち抜くだけでなく、業界の再編・集約化がどれだけ進むかもカギになる。坂本社長は、世界のDRAMメーカーは今後、韓国2社(サムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)とハイニックス半導体(000660.KS: 株価, 企業情報, レポート))、エルピーダと台湾メーカー連合、米マイクロン・テクノロジー(MU.N: 株価, 企業情報, レポート)と台湾メーカー連合の4陣営に集約されるとの見方を示した。
台湾にはDRAMメーカーが6社があるが、このうちエルピーダが52%出資する瑞晶電子(レックスチップ)、レックスへの合弁パートナーの力晶半導体(パワーチップ・PSC)(5346.TWO: 株価, 企業情報, レポート)、徳茂科技(プロモス)(5387.TWO: 株価, 企業情報, レポート)と華邦電子(ウィンボンド)(2344.TW: 株価, 企業情報, レポート)との連携をエルピーダは模索してきた。ただ、坂本社長は会見で、「話合いを続けてきたが、一つにまとまるのは非常に難しいと感じた」と、陣営集約化が難航していることを明らかにした。「台湾のメーカーが1─2グループに再編されていかないと、DRAM価格は上がらない」(坂本社長)としているが、現実に活動している企業を統合するシナリオは具体化されていないままだ。
また、2012年3月までの事業再建期間では利益額や利益率の目標は示されてない。同社は従来から、DRAMの価格変動が激しいことを理由に業績見通しを出していないが、公的支援を受ける段階でもその姿勢を変えなかった。
<際限ない公的支援の競争も>
DRAM産業を国が支援することについても議論が分かれそうだ。エルピーダへの公的支援する理由について二階俊博経済産業相は、「日本で唯一のDRAMを製造している。主要産業に広く使われており、国民生活や経済産業活動に極めて重要」と語った。DRAMは1980年代後半から90年代にかけて「日の丸半導体」躍進の原動力になった記憶が電機産業に残っているだけに、国策企業として支援しやすいとの思惑が経済産業省にあるようだ。
また、かつてに比べ製品としての成長性は乏しくなってきたものの、微細加工技術などで先端を走り、製造装置や部材の進化といった観点でDRAM産業を日本に残すべきという声もある。調査会社アイサプライ・ジャパン副社長の南川明氏は「DRAMはテクノロジー・ドライバーとして日本に絶対必要」と強調する。
ただ、半導体や液晶を重要産業と位置づける韓国や台湾でも事情は同じだ。特に、世界シェア1位のサムスン電子、同2位のハイニックス半導体を抱える韓国で同国政府が今回のエルピーダ支援に刺激され、自国メーカー2社に対して公的支援を行えば、際限のない「支援競争」が巻き起こりかねない。電機業界に詳しいある金融関係者は、エルピーダなどに対する公的支援の動きが表面化したことに対し、「国際貿易のルールを逸脱するもので、WTO(世界貿易機関)に訴えられても仕方ない」と批判する。
<国際ルールに抵触しないのか>
日本政府は、韓国政府が主導したとされるハイニックスに対する金融支援を問題視し、同社製DRAMに対して06年1月から今年4月まで通常関税率ゼロの半導体製品に対し相殺関税をかけていたが、今回のエルピーダ支援については韓国政府から非難されても仕方ない状況だ。
経済産業省の担当者は、一般企業に対する公的支援が特定の業界を対象としていないことを理由に、「今回の措置は国際ルールに外れたものではない」と説明するが、支援制度が電機産業を主たる対象に用意されたことは周知のことで、国際社会から厳しい視線が向けられる可能性は否定できない。
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(ロイター日本語ニュース、浜田健太郎、村井令二 編集;内田慎一)
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