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長期金利が再びマイナス、運用難で「金利狩り」加速
2016年2月19日 / 09:58 / 2年前

長期金利が再びマイナス、運用難で「金利狩り」加速

[東京 19日 ロイター] - 投資家がより高い金利を求める動き、いわゆるイールド・ハンティングを強めている。日銀のマイナス金利政策が浸透するなかで、10年長期金利JP10YTN=JBTCが再びマイナスに低下。社債の発行年限も長期化してきた。

 2月19日、投資家がより高い金利を求める動き、いわゆるイールド・ハンティングを強めている。2011年8月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

資金を長期間固定してしまうリスクはあるものの、運用難が極まる中で、金利収入を求める機関投資家の「少しでも高く」という需要が、債券市場全体に広がっている。

<社債は40年ものが登場>

JR西日本(9021.T)は19日、40年債の発行を決定した。金利は年1.575%で発行額は100億円。政府保証債や財投機関債では40年ゾーンの発行実績があるが、40年債は民間企業による公募の普通社債としては最長年限となる。

味の素(2802.T)も25日に20年債の起債を準備している。20年の公募社債の発行は、電力やガス、鉄道といった投資から回収までの年限が長いインフラ系企業では珍しくないが、製造業としては異例の長さだ。

こうした長い期間の社債が発行できるのは、投資家サイドにより高い金利を求めるニーズがあるからだ。長期的に安定的な金利収入が入るということはメリットでもあるが、将来的に金利が上昇した場合、評価損が出るほか、高い金利を受け取ることができる機会を失うデメリット(デュレーションリスク)もある。

それでも運用難が極まる中で「少しでも高い金利が付いた債券を求める投資家が多くなっている」(りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏)という。ある超長期バイヤーは、超長期の社債について「金利は低いが、ほかの年限に比べると、相対的にクーポンが高いため買わざるを得ない」と話す。

19日の円債市場で、10年長期金利は一時マイナス0.010%を付け、10日以来のマイナス圏に突入。国内生保などがメーンの運用商品としている20年債は一時0.700%と過去最低水準を更新した。日銀が16日からマイナス金利の適用を開始。金利低下の圧力が徐々に広がっている。

<コスト増加の外債投資>

海外に投資機会を求めるのも1つの選択肢だが、低金利環境は日本だけでなく先進国共通の現象だ。

世界的な景気減速懸念が強まる中では、昨年利上げに動いた米国でさえ、今年に入って金利が急低下。18日の米債市場で、10年債US10YT=RRは1.74%となっている。2%を大きく下回る金利水準では「なかなか手が出せない」(国内生保・運用担当者)という。

というのは、日本の機関投資家にとっては、円金利の低下もあってドルの調達コストが上昇しているからだ。円投/ドル転スワップによるドル調達コストは、9日にこれまで投資対象として人気があった米国債5年物の利回りUS5YT=RRを一時上回り「逆ザヤ」水準に達した。外債投資には円高リスクもある。

海外の投資家は、円投/ドル転スワップで発生しているベーシス(ドル調達の上乗せ金利)のおかげで、マイナス金利で円を調達できる。調達金利よりマイナス金利幅の小さい日本国債で運用すれば利益が出るが、国内投資家はそうはいかない。

<日本株投資にもリスク>

株式も、低金利化する債券との比較で魅力が増す商品だ。東証1部銘柄の配当利回りは1.81%(19日終値ベース)。日経平均.N225の予想株価収益率(PER)は14倍前半、株価純資産倍率(PBR)は約1倍とバリュエーション上でも割安感が漂う。

企業が長期間の資金を低金利で調達できるようになるのは、マイナス金利政策のメリットの1つだ。企業活動が活発化し、業績が上向けば株価の追い風となる。

しかし、今の日本株投資にはリスクもある。ドル/円JPY=が再び113円台を割り込んでおり、円高による業績悪化が懸念されているためだ。「3月期末も近づいてきており、バリュエーションが割安といっても手を出しにくい」(国内投信・運用担当者)という。

外債投資が増えて円安、株式投資が増えて株高というのが、マイナス金利導入時に期待されたシナリオであった。しかし、マーケットの初期反応は円高・株安。「マイナス金利の影響を見極めるには、もう少し時間が必要」(ブラックロック・ジャパン取締役リテール営業部門長の浜田直之氏)ではあるものの、投資家のポートフォリオリバランスは国内債偏重という思わぬ形で進んでいる。

(伊賀大記 取材協力:DealWatch債券チーム 編集:田巻一彦)

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