Reuters logo
焦点:日銀の苦境見透かす市場、現状維持でも円高・株安
2016年6月16日 / 09:51 / 1年前

焦点:日銀の苦境見透かす市場、現状維持でも円高・株安

 6月16日、日銀が金融政策決定会合後に政策維持を公表し、東京市場では大幅な円高・株安が進んだ。2015年11月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter/File Photo)

[東京 16日 ロイター] - 日銀が金融政策決定会合後に政策維持を公表した16日、東京市場では大幅な円高・株安が進んだ。オプション市場で多少のポジションの傾きはあったが、政策維持自体は市場の予想通り。

だが、マイナス金利政策への批判や量的拡大の限界が近づくとの見方が台頭していた市場では、「追加緩和に動きにくい」、「効果も期待しづらい」と日銀を見透かしたような声が広がり、想定以上の価格変動につながった。

<予想通りの日銀決定と予想外の相場変動>

ロイターがエコノミストらを対象に行ったアンケート調査で、日銀追加緩和時期の予想で最も多かったのは、7月の18人(約7割)。6月予想が5人と2番目だったが、調査期間(6月2─10日)後、英国の欧州連合(EU)離脱懸念が高まったことで、市場の6月緩和予想はかなり後退した状態にあった。

為替のオプション市場では、追加緩和を見込んだドル高・円安ポジションを作る動きもみられていたが、あくまでごく一部。今年4月のように、追加緩和を見込んだ「日銀プレー」が派手に起きているわけではなかった。

しかし、16日昼前、現状維持が決まったことが伝わると、東京市場では、急激な円高・株安が進行。日経平均.N225の下落幅は一時500円を超え1万5300円台まで下落。ドル/円JPY=EBSは105円半ばの水準から、104円割れと2円以上の急落となった。

岡三証券・シニアストラテジストの小川佳紀氏は、短期筋の円買い・株売りポジションが値動きを助長したと指摘する。「英国民投票までは、短期筋に翻弄されやすい地合いになってくる。もう一段、円高の方向に勢いづくことがあれば、日経平均は1万5000円を下回り、さらに2月安値(1万4865円)を割り込むような調整は十分ある」との見方を示す。

<米側のドル安・円高要因>

ただ、各市場で商いが薄かったとはいえ、短期筋の売買だけでここまで円高・株安が進んだとはみられていない。予想外の円高・株安が進んだ要因の1つは、FOMC(米連邦公開市場委員会)にある。

14─15日のFOMCでの、利上げ見送り自体は、市場の予想通りだったが、経済見通しを下方修正。3月時点では、メンバー17人のうち1人だけだった年1回の利上げ予想が今回は6人に増加した。イエレン議長も会見で次回の利上げ時期について示唆を与えず、ハト派的な内容と受け止められた。

「先々の金利見通しが引き下げられたことで、ドルは買いにくくなり、円は高止まりを余儀なくされるだろう。結果的に日本株の上値を押さえそうだ」と大和証券・シニアストラテジストの石黒英之氏は話す。円高は日本企業の業績圧迫要因になる。

さらにブレグジット(英国のEU離脱)懸念が高まる中で、市場のセンチメントは弱気に傾いている。「今の相場は、ドル売りの回転が効いている。この時点で日銀が追加緩和しても、絶好のドル売り・円買いの機会を提供するだけだ」(外資系投信)という見方が市場に広がっていることも、円高・株安の動きが増幅しやすい背景になっている。

<「市場が脅し」>

「市場が脅しにかかっている」とJPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏はみる。追加緩和を求める「政策催促相場」ではなく、追加緩和は行いにくく、また効果も期待できないのではないかという日銀の足元をみた動きだという。

「マイナス金利は、世間や市場の評判が悪い。国債などの購入拡大は限界を意識させてしまう。海外環境も円高圧力が強まっている。実際に緩和しても経済や市場に大きな効果は期待できない。日銀は八方塞がりだとみて、市場は円買いを仕掛けている」と重見氏は話す。

黒田東彦総裁は16日の会見で「マイナス金利の政策効果は、実体経済に徐々に波及してきている」などとして強気を崩さなかった。しかし、そのためもあってか、会見中にドル/円は103円台半ばまで一段と円高に振れている。

追加緩和でサプライズを起こしたいなら、強気は崩せない。会見でハト派的なニュアンスを示せば、円高阻止効果が出るが、追加緩和でのサプライズが起こりにくくなってしまうためだ。かといってサプライズを起こしても効果が大きいとは限らない。「口先介入」さえもやりにくいなかで、市場は日銀の手詰まり感を背景にしたトレードを強めようとしている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

*見出しを修正しました。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below