〔クロスマーケットアイ〕過剰流動性相場の色強まる、底堅い株価と上がらない金利が同居

2012年 02月 3日 18:15 JST
 
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 <東京市場 3日>
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    日経平均  | 国債先物3月限  |  国債320回債  | ドル/円(17:00)|
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   8831.93円  |    142.70円    |    0.950%    |   76.18/20円    |
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     -44.89円  |     -0.05円    |   +0.005%    |    76.22/24円   |
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注:日経平均、国債先物大引け、現物の価格は午後3時の値。
    下段は前営業日終値比。為替はNY終盤。
 
 [東京 3日 ロイター] マーケットでは過剰流動性相場の色合いが強くなっている。
堅調な米国景気を好感し株価は底堅いが、世界的な金融緩和で金利も低水準で推移。本来
なら順相関で動くはずの2つが逆相関性を強めている。ただ景気回復下での超金融緩和に
はインフレなど副作用もある。金利急騰を抑えるためには財政規律を維持する必要があり、
世界的に政治イベントが相次ぐなかで、規律を守り続けることができるかが今年の一つの
鍵だ。

  <財政規律が低金利維持のカギ>
 
 足元はおぼつかなく水準自体も低いが、それでも景気は堅調に推移している。米国では
1月のISM製造業部門景気指数は前年6月以来の高水準となった。トムソン・ロイター
のデータによると、米小売りの1月の既存店売上高は前年比4.2%増加し、アナリスト
予想(2%増)を上回った。自動車も売れている。日本でもタイ洪水からの回復で鉱工業
生産指数が伸びているほか、今年前半は復興特需が期待されるなど当面は堅調な景気が続
くとの見方が多い。

 「底堅い景気のバックグラウンドとなっているのが超低金利」(マネックス証券のチー
フ・エコノミストの村上尚己氏)だ。景気が回復すれば、金利は上昇するのがノーマルな
経済の姿だが、超低金利政策が「無理やり」押さえつけている。1月24─25日の米連
邦公開市場委員会(FOMC)の声明では、始まったばかりの今年だけでなく、来年を越
えてさらにその翌年の2014年終盤まで約3年近く、異例の低金利水準を維持する方針
を示した。その「信憑性」はともかく、米債券市場の中期ゾーンは一段と低下した。日銀
も金融緩和政策を当面、維持するとの見方が市場のコンセンサスであり、円高対応の追加
緩和策を期待する声も多い。

 低金利をもたらす過剰な流動性が、マーケットのリスクオフムードを後退させ、株式や
債券などの市場にマネーが回りやすくなっている。「1月後半の株価リバウンド局面に乗
れなかった投資家が運用しなければならない資金を回している」(国内投信)という。

 低金利をもたらし、景気を下支え株価を押し上げる──現時点では良いことばかりの超
金融緩和政策だが、昨年6月に終了した米国の量的緩和第2弾(QE2)が実施されてい
た間は、マネーがコモディティ市場などに流れ込みインフレを引き起こしたとの見方が多
い。

 超低金利を続けながら、インフレを高進させないために重要なのが財政規律の維持だ。
財政が緩むと市場が不安視すれば、中央銀行がいくら国債を購入しても追い付かず、むし
ろ不安をあおることになりかねない。
 日銀の山口広秀副総裁が財政規律の維持を強く求めたことが注目を集めた。2日、高松
市内の講演で、名目国内総生産(GDP)比で200%を超える政府債務残高という先進
国で「最悪」の財政状況の中で、国債金利が低位安定して推移することを「やや不可思議」
と指摘。「何らかのきっかけで国債市場の信認が一気に崩れるリスクは排除できない」と
したうえで「市場からの信認が失われる前に、歳出・歳入の両面での構造改革を進めてい
く必要がある」と強調した。 

 金融当局者から財政政策に関する発言が出るのはそれほど珍しいことではないが、ソブ
リン問題が小康状態となり、金利が低水準で推移するなかでの強い口調に、耳を傾けた市
場関係者も多かった。

 一方で、積極的な財政支出で高い経済成長がもたらされれば、税収が増加し、財政赤字
は拡大しないという意見もある。ただそこに必要なのは高い経済成長であり、財政支出で
はない。明確な「成長戦略」がないまま、カネがばらまかれ、一向に成長しないまま国の
債務だけが膨れ上がっていく日本の「失われた20年」のようになることをマーケット参
加者は恐れている。

 T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は「今年は各国で大統
領選などトップ選挙があるが、選挙対策として財政規律を緩めないことが低金利を維持す
る鍵だ」と指摘している。

  <低金利下のリスクオンでドル安>

 シティバンク銀行チーフFXストラテジスト、高島修氏は「米市場金利上昇を伴わない
リスク選好の回復がリスクオンの米ドル安圧力を高めている」と指摘する。その上で「こ
の数カ月はドル/円もリスクオンの米ドル安に追随する傾向がある」として「リスク選好
が回復する中では、75─76円台での円売り介入は難しいはずで、昨年10月末のドル
/円最安値を試す可能性が高まっている」と話す。

 3日の東京外為市場では、ドル/円は76円前半でこう着。1月米雇用統計の発表を控
え、積極的な取引は手控えられ、狭いレンジでもみあった。「米連邦準備理事会(FRB)
の低金利政策へのコミットメントが相当効いていて、経済統計に対する感応度が鈍ってい
る」(シティバンクの高島氏)とされ、雇用統計でよほどのことがない限り、反応は限定
的とみられている。

 みずほ証券FXストラテジスト、鈴木健吾氏も、雇用統計の結果はどうあれ、FOMC
後のドル安基調が続くとみる専門家の1人だ。同氏は「米国は基本的にはドル安を望んで
いる雰囲気が強く、どっちにしろドル売り圧力になりやすい」との見方を示し、「結果が
強ければ、一瞬はドル買いで反応するかもしれないが、最終的にはリスクオンのドル売り
に押され、弱ければ弱いで緩和期待のドル売りになりやすい」と語った。

 ロイター調査によると、1月の米雇用統計における非農業部門雇用者数は前月比15万
人の増加となる見通し。年末商戦期間に臨時雇用された配達員がレイオフされたことで、
非農業雇用者数は昨年12月の20万人増から伸びが鈍化する可能性が高い。

  <国債需要は堅調、低金利続く>

 景況感がしっかりするなかでも、金利は低水準で推移している。円債の店頭市場では朝
方、5年物と20年物の国債流通利回りがそれぞれ昨年11月以来の低水準を付けた。財
務省が2日実施した10年物国債入札を順調に終え市場に買い安心感が広がったうえ、
「日銀が国債買いオペを通告したことも下支えした」(国内証券)という。

 2日の10年物の国債入札では、懸念された都市銀行から通常以上の応札がみられ、そ
の倍率は昨年4月以来10カ月ぶりの高水準を記録。依然として消去法的に買われる構図
が崩れていないことが鮮明となり、買い安心感が広がりやすかった。市場では「良好な結
果で、需給は予想以上に良さそう」(外資系証券)との声が出ていた。

 ドイツ証券チーフ金利ストラテジストの山下周氏は「欧州金融機関のバランスシート圧
縮やアジア景気の減速は先行きのリスクだ。米景気は、欧州やアジア景気の減速に連動し
ないとみているが、そのように認識されるには時間を要するだろう」と指摘。欧州中央銀
行(ECB)や米FRBの積極的な金融緩和は、リスク資産にポジティブな一方で、米独
金利を手前から押し潰してもいくとみている。「欧米金利が上昇しなければ、円高が円金
利の低下圧力となり、長期金利は1%割れが持続しそうだ」という。

  (ロイターニュース 伊賀大記;編集 田中志保)
 
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