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格下げでも株高・債券高、市場が意識する「官製相場」
2014年12月2日 / 07:12 / 3年前

格下げでも株高・債券高、市場が意識する「官製相場」

[東京 2日 ロイター] - 日本国債の格下げ発表から一夜明けた2日、日本株は続伸し、金利は低下した。株の先高期待や、低金利環境の継続予想が強いとはいえ、いわゆる「官製相場」が意識されていることが背景にある。悪材料に一段と鈍感になるマーケットに対し、「リスクが溜まりやすいのはこういうとき」と警鐘を鳴らす声も出てきた。

 12月2日、日本国債の格下げ発表を受けても、日本株は続伸し金利は低下。いわゆる「官製相場」が意識されていることが背景にある。写真は都内の株価ボード。9月撮影(2014年 ロイター/ISSEI KATO)

<日銀ETF買いへの「畏怖」心理>

日本国債が格下げされたにもかかわらず、日本株は底堅かった。2日の日経平均.N225は寄り付き直後は売りが先行したが、下げ幅は100円程度。下値が堅いとみるや押し目買いが入り、前場終値で3円安の水準まで下げ幅を縮小。終値では73円高まで上値を伸ばし、年初来高値を更新した。

米株は下落し、ドル/円もわずかとはいえ円高方向に振れている。利益確定売りが入りやすい環境だったが、押し目らしい押し目はほとんど形成されなかった。悪材料に反応しにくい強気相場の背景となっているのは、やはり「官製相場」への強い意識だ。

「日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買い、もしくはそうした買いを期待した投資家の押し目買いが入り、下支えしている。売り方も仕掛けにくいようだ」(SMBCフレンド証券・チーフストラテジストの松野利彦氏)という。

日経平均は、10月半ばの安値1万4500円から1万7600円台に約3000円上昇。予想株価収益率(PER)は16倍台まで高まっている。過熱感は強いが、ほとんど調整らしい調整をみせないのは、円安による企業業績の拡大期待や衆院選待ちのムードというよりも「売ったらやられる」(大手証券トレーダー)という市場心理だ。

日銀は11月に計6回、上場投資信託を購入した。11月は18営業日なので、3日に1回のペース。それぞれ1回380億円と2兆円規模の東証1部売買代金に対し、それほど大きいわけではないが、株価が下がったらまとまった買いが入るという投資家に与える心理的な影響は小さくない。

11月14日は、TOPIX.TOPXの前場終値が0.04%安とわずかな下落だったにもかからわず、日銀のETF買いが入ったことが話題になった。

日銀のETF買い予定は今年末までに3.8兆円、さらに来年は3兆円が上乗せされる。昨年の日本株の最大の買い主体は外国人投資家の15兆円だったが、2位は事業法人(その他法人含む)の6059億円だ。日銀買い入れの累計規模は小さくない。

今年、外国人投資家は11月第3週までの累計(現物・先物合計)で約2.1兆円の買い越しにとどまっており、日銀は今年、国内のみならず、内外で最大の日本株買い主体になる可能性がある。

また、GPIFの売買を経由しているとみられる信託銀行もこれまでの合計で1.7兆円の買い越しだ。日本株を押し上げているのは、需給的にこれらの買い主体に他ならない。

<リスクへの警戒感薄れる市場>

金利も低下した。格下げを受けて10年最長期国債利回り(長期金利)は一時、前日比2.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.445%を付けたが、その後低下に転じ、引けでは0.415%と0.5bpの低下となった。「やはり大量に国債を購入する日銀の存在が大きい。国債の流動性が乏しくなる中で、金利が少しでも上がれば、買う投資家が出てくる」(外資系証券)という。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、財政赤字の中期的な削減目標の達成可能性などについて不確実性が高まったとして、日本国債を格下げしたが、円債市場の強い地合いにほとんど影響を与えていない。国内銀行が日本国債を投げ売りするような状況にはならないとみられているためだ。

バーゼル規制における標準的手法でソブリン債のリスクウエートは、今回引き下げられた日本国債のA1格では、これまでのゼロ%から20%(A+からA─に相当)に引き上がる。

しかし、大手行に関してはバーゼル規制における標準的手法ではなく、内部格付手法を用いているとみられており、影響は少ない模様だ。

「日本の大手行は、内部格付手法を用いている。もともと日本国債のリスクウエートはゼロ%ではなく、もう少し高いとみられる。このため、格下げがあったとはいえ、いきなり20%にリスクウエートが跳ね上がることもないだろう。国債の投げ売りにつながるような状況ではない」と、BNPパリバ証券・チーフ債券ストラテジストの藤木智久氏は指摘する。

海外勢の動向を見ても、日本国債を多く保有するとみられる主体は中央銀行やファンド勢などだ。リスクウエートの変化に敏感に反応するとはみられていない。

とはいえ、消費再増税が先送りされても、日本国債が格下げされても、金利が上昇しないというのは、やはり異常な状態だ。財政規律の警告機能に欠陥が生じているとみられても仕方ないだろう。

「リスクがたまりやすいのはこういう状況だ」と、BNPパリバの藤木氏は警戒する。「低金利でほぼ無尽蔵にファンディング(資金調達)できる状況は、いつしかリスク感覚をまひさせてしまう。巨大な債務を抱えるようになったときに、何かのきっかけで長期金利が2─3%に上昇すれば、大きな損失を生じることになる」と指摘している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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