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米金利上昇による円安で日本株に待望の展開、先行き不安も
2014年7月31日 / 05:49 / 3年前

米金利上昇による円安で日本株に待望の展開、先行き不安も

 7月31日、米金利上昇で円安が進行するという日本株に待望の展開が訪れている。写真は1月、都内の株価ボード前を歩く男性(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 31日 ロイター] - 日本株に待望の展開が訪れている。前日発表された4─6月期米実質国内総生産(GDP)が堅調だったことで、米金利が上昇し、ドル高/円安が進行。一方、米株は小幅安にとどまった。

米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文の変更点にはタカ派、ハト派、両方の内容が入り、都合よく解釈できるようになっている。しかし、米経済の不安要素が消えたわけではなく、日本も消費増税の影響はこれから。円安だけで上値を追い続けることができるかには、不安もある。

<円安・株高シナリオに再び期待>

米GDPは、1─3月期のマイナス幅が2.9%から2.1%に縮小したうえ、4─6月期も4.0%と市場予想(3.0%)を上回る高い伸びを示した。潜在成長率の低下など長期ベースでの米景気減速懸念が払しょくされたわけではないが、足元の景気改善のペースは想定以上に速いことが明らかになった。

米FOMCの声明文は、インフレの判断を前進させる一方で、労働市場の緩みに懸念が残ると強調し、タカ派、ハト派、両方の内容が入った。利上げ観測を強めるものではなかったものの、「各市場で都合よく解釈しやすい内容」(外資系証券)だったことから、強いGDPと合わせて、米金利上昇の材料とされた格好だ。

30日の米債市場で、2年債US2YT=RR利回りは0.58%と3年2カ月ぶりの高水準まで上昇。米利上げペースが速まるといった観測は広がらなかったため、10年債US10YT=RR利回りは2.57%と7月16月以来の水準どまりだったが、「現在、為替市場がみているのは短い年限の国債利回り」(国内証券)とされ、ドル/円JPY=は一時、103円台まで上昇した。

米景気回復を原動力とした米金利上昇がドル高/円安をもたらす展開は、日本株の強気派が長らく待ち望んでいた動きだ。米金利上昇で懸念されるのは米株の下落だが、30日のダウ.DJIは31ドル安と小幅な下落にとどまっている。年初の米寒波で狂った円安・株高シナリオがようやく実現する可能性も出てきた。

野村証券チーフ・ストラテジストの田村浩道氏は、「米国での早期利上げを見込んで米国株が暴落すれば日本株にはネガティブだが、これまで時間をかけてテーパリングを実施し、マーケットにも少しずつ織り込まれている状況を考えると、多少、利上げの時期が早まってもショックは小さい。それよりも米金利が上昇し、ドル高/円安に進むことで日本株へのプラス効果が大きい」と述べる。

<日米経済には弱さも>

しかし、米経済には弱い部分も残されている。不安定な住宅市場や伸びない賃金など、米連邦準備理事会(FRB)が慎重な見方を崩さないのは、楽観を許さない「Slack(緩み)」があるからに他ならない。さらに昨年、市場を揺るがした債務上限問題も先送りされているだけであり、来春までに再び浮上する。

中国経済は景気刺激策の効果が表れているが、改革を進めようとするなら、いつまでも従来型の投資依存の景気刺激策を続けていくわけにはいかない。欧州ではドイツの経済指標減速が気がかりだ。地政学リスクはまだ高く、世界貿易量が増え始めた気配もまだない。

「米経済はもともと相対的に堅調だったことはわかっていた。市場は都合のいいところだけを取り上げているだけ」(外資系証券エコノミスト)との指摘もある。過去最高値圏にある米株は、調整のリスクを膨らませている。

グリーンスパン元FRB議長は30日、ブルームバーグTVとのインタビューで、過去数年間上昇していた株式市場がいずれ「大幅な調整」に見舞われるとの見方を示した。グリーンスパン氏は「株式市場はかなり長期にわたって相当急激に回復してきた。いずれ大幅な調整があると想定する必要がある」と述べた。

米GDPは2013年と14年1─3月期は上方修正されたが、実は11年と12年はそれぞれ下方修正されている。経済回復のスピードは従来の認識より速かったことが示されたが、需給ギャップが大きく改善するとの期待は高まっていない。

さらに、日本では消費増税の影響が重くのしかかっている。物価の変動を考慮した実質賃金(毎月勤労統計)は4月に消費税が引き上げられて以降、前年比で3.1%減、3.8%減、3.8%減と大きなマイナスが続いている。6月のボーナスは同0.3%増にすぎない。

市場では「米経済は堅調だが、住宅市場など弱さが残り、7─9月期以降も4─6月期のようなハイペースで回復するかはまだ見通せない。日本の消費増税の影響もこれからだ」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)と、慎重な見方も依然多い。

(伊賀大記 編集:田中志保)

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