Reuters logo
日米株のデカップリング、米利上げ時の「期待と実績」
2017年3月10日 / 06:43 / 7ヶ月前

日米株のデカップリング、米利上げ時の「期待と実績」

[東京 10日 ロイター] - 米利上げが迫るなか、日米株のデカップリング(逆連動)に期待感が出ている。米金利上昇によって米株が崩れても、ドル高/円安が日本株を支えるとの見方だ。しかし、過去2回の米利上げ時における日本株のパフォーマンスは、米株よりも悪い。日米金利差よりもリスクオフ材料に反応し円高が進んだためであり、単純な逆相関期待によるトレードには危険が伴う。

 3月10日、米利上げが迫るなか、日米株のデカップリング(逆連動)に期待感が出ている。米金利上昇によって米株が崩れても、ドル高/円安が日本株を支えるとの見方だ。写真は都内証券会社の株価ボード。2015年8月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

<逆行高の日本株>

市場予想の19万人増に対し、結果は29.8万人増。8日の2月ADP民間部門雇用者数は驚きの強さだった。すでに9割近く織り込まれた3月の米利上げ観測がさらに強まることはなかったが、米長期金利US10YT=RRは上昇。市場では「2月米雇用統計がADPのように強ければ、今年4回の利上げも視界に入る」(国内投信)との声も出た。

金利上昇は株価にとってマイナス要因。さすがに米株も上値が重くなってきた。9日のダウ.DJIは2ドル高と小反発したが、過去2日間では66ドル安。原油下落というマイナス材料もあるが、米利上げ観測の背景にある景気拡大期待だけでは史上最高値圏の株価をさらに押し上げるのが難しくなっているようだ。

米株が下落すれば、日本株もつれ安するのがいつものパターン。しかし、9日の日経平均.N225は64円と逆行高。10日も一時300円高と大幅高となった。米利上げペース加速予想から米金利が上昇し、ドル高/円安が115円台まで進行。トヨタ自動車(7203.T)など大型輸出株が指数を押し上げている。

長期的にみれば、世界的な金利上昇局面で日本株は、アウトパフォームしやすい傾向がある。金利上昇の要因が景気回復であれば「世界の景気敏感株」と呼ばれる日本株は、景気拡大に加え、リスクオンの円安も享受できるためだ。日経平均は他国の主要株式指数に比べ、自動車や資本財など景気敏感株のウエートが高い。

<過去2回は徐々にアンダーパフォーム>

しかし、2015年12月と16年12月の直近過去2回の米利上げ後のパフォーマンスでは、日本株は期待ほどよかったわけではない。

1回目の米利上げ後の日米株の動きを比較すると、1カ月後はほぼ同じ。だが、3カ月後にダウが1.5%安まで戻したのに対し、日経平均は7.7%安と差が開いた。6カ月後にはダウはプラス転換したが、日経平均は14.2%安と時間が経つにつれ、日米株の格差は広がっている(以下の表参照)。

2回目の米利上げ後の日米株の騰落率をみても、時間の経過とともに日本株は米株にアンダーパフォームしている。1カ月後ではほぼ変わらずだったが、今年3月9日までのパフォーマンスでは、ダウは4.7%高となったが、日経平均はほぼ変わらずと日本株が負けている。

その要因は為替だ。1回目の利上げ時は、新興国リスクが警戒されるなか、リスクオフによる円高が進み、ドル/円が半年で121円から106円に下落。2回目の時は日米金利差が拡大したにもかかわらず、115円付近でのもみあいが続いた。日米株がデカップリングできるかは、為替がカギを握っている。

こうした比較は期間によってパフォーマンスが変わることが多いため、気を付けなければいけない。ただ、米利上げ時には、米株よりも日本株のパフォーマンスが良いとは必ずしも言えないことには注意が必要だろう。

<リスクは米株急落>

14─15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今の局面で3回目の利上げが決定されるとの見方が、市場ではほぼ確定的になっている。

過去2回の利上げ時に比べ、米国や世界の経済指標は堅調だ。だからこそ、昨年12月の利上げから3カ月しか経っていないなかで、米連邦準備理事会(FRB)幹部は強気の発言を繰り返し、市場は利上げを織り込んできた。

しかし、米株の過熱感は、過去2回の利上げ時と比べてかなり強い。ダウが2万ドル突破から2万1000ドル突破までに要した期間は、24営業日と過去最短。PER(株価収益率)は19倍台後半と、歴史的にみても上限に近くなっている。

「来週のFOMCでメンバーの中立金利予想が上方修正されたり、イエレン議長の会見でバランスシート縮小が示唆されるようなことがあれば、過剰流動性に支えられた今の米株高が急反落する可能性もある」とT&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は警戒する。

海外株が下落しても円安が進めば、日本株は堅調に推移できるのか──。JPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジスト、重見吉徳氏は否定的だ。「海外投資家の影響力が大きい日本株は、短期的には為替よりも海外株に左右されやすい」との見方を示す。

3月米利上げ観測が急激に高まった3月第1週に海外投資家は、日本株を3週ぶりに買い越した。だが、その週は、日経平均だけでなく、米ダウやMSCIワールド指数.dMIWO00000PUSもほぼ横ばい。海外株が急落する局面が到来したときこそ、日本株の「デカップリング力」が試されそうだ。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below