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コラム:ドイツ銀CEO、「5年前の自分」からの助言   
2016年9月30日 / 01:52 / 1年前

コラム:ドイツ銀CEO、「5年前の自分」からの助言   

 9月29日、ドイツ銀行<DBKGn.DE>のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)が5年前、2016年現在の自分に向けてアドバイスを送るとしたら、どんな内容になるだろう。写真は独フランクフルトのドイツ銀行前にある女神像。1月撮影(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドイツ銀行(DBKGn.DE)のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)が5年前、2016年現在の自分に向けてアドバイスを送るとしたら、どんな内容になるだろう。

「ジョン、目を覚ませ。問題が持ち上がった。ドイツ銀行は巨額の罰金を科せられ、増資はほぼ必至だと市場は踏んでいる。今週は株価が急落して深刻な懸念を呼び覚ましている。2008年この方、世界がすっかり変わったことはお互い承知しているし、バランスシートには2200億ユーロを超える流動性があるから安心だ。だが早めに手を打つに越したことはないぞ」

「お前が俺だったころを思い出せ。UBS(UBSG.S)のインベストメントバンカーとして金融サービス企業に助言してただろ。ドイツ銀行みたいな顧客には3つの選択肢があるって言ってたよな。増資、資産売却、さもなければ解体だ」

「どれ一つとして単純じゃない。罰金の額も分からないのに、市場が増資に応じるはずがない。売れるものもあまりない。資産運用事業にはざっと75億ユーロの価値がありそうだが、着実な収益源だから手放したくない」

「解体はややこしい。いずれは避けられない道かもしれないけど。米連邦準備理事会(FRB)がドイツ銀の資本計画を却下し続けるなら、米国ではこのままの形で存続できそうもないからな。だけど米国で事業を解体したら、当行は損失を被るだろう」

「買い手を探すという考えもあるぞ。コメルツバンク(CBKG.DE)との統合は検討済みだ。BNPパリバ(BNPP.PA)なら、コーポレートバンク部門に関心を示してくれる可能性がある。成績が振るわないリテール・フランチャイズの一部もパリバに売れるかもしれない。投資銀行部門にも新たな買い手が必要かもしれない。分かったよ、とりあえずこの案はなしだ」

「だけど他にも選択肢はある。ここはぐっと我慢して、まず米当局と手を打つ。司法省が言う140億ドルはどう見ても高過ぎるが、その半分なら対処できるだろう。ゴールドマン・サックス(GS.N)が50億ドルで手を打ったけど、実際にはそれより少ない額で済んだのを覚えてるだろ。あれは消費者ローン絡みの調整など、キャッシュ以外の項目が含まれていたからだ。10億や20億の節約に望みを託すのでは割に合わない。なにしろドイツ銀の時価総額は今月だけで30億ドル以上も減っている」

「第2に、コスト削減にもっと大ナタを振るおう。資本コスト以上に稼ぐための明確な計画もないのに、時価総額が簿価の0.3倍という当行に出資してくれる者などいないだろう。相当工夫を凝らす必要があるが、はっきり言ってそれが俺たちの仕事だ。金融危機の時、ゴールドマンがウォーレン・バフェットを説き伏せ、優先株とワラントを使って投資してもらった例を考えてみろ。お前なら、前の勤め先だったシンガポールの政府系ファンド、テマセクにお願いできるだろう」

「本当はもう一つ、やれることがある。政治家に黙ってもらうんだ。メルケルが当行を破綻させないだろうことは周知の事実だが、ドイツ政府による救済計画の話が報道されるたびに、市場は救済の必要があるんだなと思う。そんな計画はないと当行が否定すれば、もっとひどいことになる。要は、救済など必要ないというところを示すことだ。だからぐずぐずせず、急いで仕事にとりかかれ」

●背景となるニュース

*ドイツ銀と米司法省との紛争で、メルケル・ドイツ首相が同行に手を貸さない姿勢を示したとドイツ誌フォーカスが報じたため、同行の株価は26日の週だけで11%程度下落した。

*ドイツ銀は26日、司法省が要求する罰金140億ドルを減額するため、ドイツ政府の支援は必要としていないと表明した。

*ドイツの有力議員は29日、政府は今後、経営の悪化した銀行を支援しないと述べた。ドイツ財務省は28日、ドイツ銀が増資できなかった場合の救済計画を準備中との報道を否定した。

*米司法省は最大140億ドルの罰金を提案しているが、ドイツ銀はそれだけの額を支払う意向はないとしている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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