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焦点:内需系企業に投資積極化の動き、日本製への人気が追い風
2016年2月17日 / 06:07 / 2年後

焦点:内需系企業に投資積極化の動き、日本製への人気が追い風

 2月17日、訪日外国人によるインバウンド需要の盛り上がりなどを追い風に、内需系企業が積極的な投資拡大に動いている。写真は都内のデパートで2010年1月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 17日 ロイター] - 訪日外国人によるインバウンド需要の盛り上がりなどを追い風に、内需系企業が積極的な投資拡大に動いている。日本製製品の良さが見直され、国内外でニーズが高まっていると判断、海外事業を拡大するチャンスとして対外投資を進める企業もある。日銀のマイナス金利によって金融市場は混乱を極めているが、こうした企業の間では、むしろ資金調達にプラスとの声も出ている。

<「メイドインジャパン」が設備投資を促す>

資生堂(4911.T)は、16年12月期の設備投資に738億円を計画している。これは、前期の339億円の倍以上の水準。このうち、130億円は横浜に土地を取得した「グローバルイノベーションセンター」、210億円は大阪の新工場建設に充てる。

魚谷雅彦社長は「グローバル事業において、日本発で世界で勝つという視点を持った時に、それぞれの地域での特性やノウハウ活用すべき。日本はスキンケアの研究開発、モノ作り、マーケティングの最先端国。日本をスキンケアの開発を含めた拠点にしたい」と話す。

日本製の良さや特性に注目し、それを活かすための投資が出始めたのは、訪日外国人によるインバウンド需要の効果だ。魚谷社長も37年ぶりに国内工場新設を決めた理由について「国内の供給拠点であることも事実だが、ここで開発して作った商品、ブランドがメイドインジャパンとしての価値を高める」としている。

ユニ・チャーム(8113.T)も16年12月期の設備投資を520億円(前期は470億円)に増やす方針だ。中国におけるベビー用紙おむつの需要は、これまで60%を占めていたスタンダードクラスが40%弱に比率を下げ、スーパープレミアムクラスの構成比が高まっている。「今の需要構造を見ると、メイドインジャパンという前提条件が必要となる」(高原豪久社長)というなか、国内での設備増強とともに、中国にあるスタンダード向けの設備を日本に移し、スーパープレミアム用に作り替えているという。

花王(4452.T)も16年12月期は1000億円(前期は826億円)と過去最高の水準を計画している。中国向け輸出が好調な紙おむつの増産投資や、小田原に新設する化粧品の研究所などに充当する。

<海外展開にアクセル踏む企業も>

アサヒグループホールディングス(2502.T)は10日、同社として過去最大となる3300億円を投じて、英SABミラーSAB.Lが保有するビールブランド「ペローニ」など欧州4事業を買収することで基本合意した。同社は、海外での成長ブランドを手に入れるとともに、主力商品「スーパードライ」の拡販にもつなげたい考えだ。

小路明善次期社長は「メイドバイジャパン、メイドバイアサヒを強みにした高付加価値型のグローバルプレーヤーを目指したい。アジア、オセアニアを中心にして、さらにエリアを広げて展開していくことが必要」と述べ、信頼が高まっている「日本発」という看板を活かした海外展開の拡充に意気込みを示す。

18年までの中期計画では「M&Aなどの成長基盤の獲得に積極投資」することを明記している。そのうえで、大型の資金需要が発生する際には、DEレシオ1倍程度を許容するとしており「18年12月期までのフリーキャッシュフロー2500億円以上を加味すると、M&Aに7000億円以上投じることが可能になる」(野村証券アナリスト、藤原悟史氏)との試算もある。

また、アサヒは中計3カ年で設備投資を1800―2200億円(前3カ年は1600億円)に増加させる方針も示している。

<マイナス金利は投資の追い風になるか>

折しも、日銀によるマイナス金利導入が、投資コストをさらに引き下げる環境にある。アサヒの小路次期社長は「M&Aや提携などを積極的に、スピーディーにやるには資金が必要。積極的な成長投資に向けては、有利な状況になってくる」と、金利低下環境を歓迎している。

資生堂の直川紀夫・最高財務責任者(CFO)も「借入れするには最高の環境」と受け止めている。そのうえで「資生堂は現在、資金調達余力がある。10年、20年先を見た時に、このタイミングで成長に向けた設備投資は一気にしようと言う判断」と述べている。

マイナス金利導入によって生まれる好環境を投資に活用しようというこれらの企業は、成長分野が明確に見えていたり、インバウンドを享受するなど事業環境が好転している。

ただ、世界景気の動向が不透明さを増している。日本ではもともと低金利環境下にあっただけに、マイナス金利導入が企業の投資を幅広く誘発することは考え難いとの声も多い。

清水律子 編集:田中志保

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