再送:UPDATE4: 欧州情勢は不透明感強い、ユーロ安は日本経済にマイナス=白川日銀総裁
*文中の語句を修正しました。
[東京 24日 ロイター] 白川方明日銀総裁は24日、金融政策決定会合後の記者会見で、欧州情勢について、資金市場では緊張がいくぶん緩和しているが、全体として不透明感が強いとし、引き続き欧州ソブリン問題が日本経済の最大のリスク要因との見解を示した。今後、欧州銀によるデレバレッジの動きが中東欧やアジアなどにマイナスの影響を与えないか注意が必要と述べ、ユーロ安についても、日本経済に与えるマイナスの影響を注視することが必要と語った。
<欧州財政に対する市場の懸念、払しょくされていない>
白川総裁は、最大のリスク要因と位置づけている欧州情勢について、日米欧の主要6中銀によるドル資金供給オペの拡充や、欧州中央銀行(ECB)による期間3年物の長期の資金供給オペなどを通じ、資金市場の緊張は「いくぶん和らいでいる」との認識を示す一方、「全体として不透明感が強い状況が続いている」と警戒感を示した。背景について、欧州の安全網に対する資金基盤(ファイアウオール)の拡充に関する「具体的な成案が得られていない」ことを一因に指摘。「財政健全化策が打ち出されているが具体化策には時間がかかり、財政の持続可能性についての市場の懸念が払しょくされていないことも影響している」と説明した。
<欧州銀によるデレバレッジ、アジアなどへの影響注意>
欧州ソブリン問題の展開次第では、「欧州各国がさらなる緊縮財政を行い、家計や企業の経済活動の慎重化を通じ景気を下振れさせるリスクがある」と指摘。各国の国債を保有する欧州の金融機関による「資産圧縮、いわゆるデレバレッジの動きが強まり、金融面からの下押し圧力が高まるリスクもあり、影響がグローバルに波及する可能性もある」と懸念。現状はデレバレッジが新興国経済の大きな下押し要因とはなっていないもの、中東欧やアジアなど貿易金融の分野で「マイナス面が生じないか注意して見ていく必要がある」とした。
また、「欧州との結びつきが強い東アジアに対する日本の輸出も減少している」と述べた。「ユーロが売られやすいなかで為替が円高方向の動きとなっている」とも述べ、「海外経済をめぐる不確実性が大きい局面では、円高が日本経済に対してマイナスの影響を及ぼす可能性に十分注意する必要がある」と強調。日銀としては「欧州動向をしっかり把握し日本経済への影響について注意深く検討していきたい」と述べた。
もっとも、円高自体については、底堅い動きを続けている個人消費に円高メリットが一部で出ている可能性も指摘した。
<景気回復時期、2012年度前半に後ずれ>
今回の会合で実施した10月「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の点検では、日本経済が新興国を中心とした世界経済の成長の高まりや、東日本大震災の復興需要の顕在化などから、先行き、「緩やかな回復経路に復していく」との基本シナリオを維持。回復の時期を「2012年度前半」と明記した。回復時期について総裁は、これまでの見通しよりも、「政策委員全員が、(景気回復時期が)多少後ずれしたとみている」ことを明らかにした。
<財政・社会保障への不安除去、経済成長力を強化>
政府は2015年度までに消費税率を現行の5%から10%に引き上げる方針を打ち出しているが、今回の展望リポートの点検における物価見通しなどには織り込んでいないと指摘。その上で、消費増税について、一般論とした上で「財政や社会保障制度の持続性を確保するための取り組みを着実に進めることが重要」とし、「将来の財政や社会保障に関する不確実性を取り除くことは、人々がより前向きに消費や投資を行いやすい環境を整えることにつながる。経済成長力の強化に資する」との認識を示した。
<貿易赤字、定着するとはみていない>
また、震災後に日本の貿易収支が赤字傾向にあることについては「原発事故に伴う代替的な電源である火力発電の増加により、原油、LNGの輸入が増え、価格も上がっていることが大きい」と分析。もっとも、貿易赤字の継続性には「この傾向が2010年代半ばを展望して、定着するとはみていない。足元の要因は一時的な要因と考えている」との認識を示した。
<ボルカー・ルール、日本国債の流動性低下を懸念>
日銀は昨年12月28日、金融庁と連名で、米国の金融規制当局が公表したボルカー・ルール案の市中協議文書に関し、日本国債の取引に悪影響を及ぼすことを懸念する、などとする書簡を提出した。総裁はあらためて、ルールが厳格に適用された場合、「日本国債の流動性に相応の影響を及ぼす可能性がある」と指摘。短期の為替スワップ取引も規制対象になるため、「ドル資金の供給が減少し、金融機関のドル資金繰りに影響が及ぶ可能性がある」ことにも懸念を表明した。
また、日銀が金融機関から買い入れた株式の売却開始時期を、従来の2012年3月末から14年3月末へ2年間延長すると20日に発表したことについては「足元の内外の金融資本市場を踏まえると、日銀による保有株式の売却は、市場に及ぼす影響が大きいと判断した」と説明した。
(ロイターニュース 伊藤純夫 竹本能文 編集 宮崎大)
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