OIS残高は5月末時点で971兆円、流動性は十分高まっておらず=日銀調査
[東京 23日 ロイター] 日銀金融市場局は23日、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場の実情に関する調査(OIS市場調査)を公表した。調査時期は07年5月。昨年の量的緩和政策解除以降、市場規模は急速に拡大したものの、中心となる参加者が限定的で取引が集中しやすいなど、十分な流動性を確保するには課題が残る。
今回の調査で初めて明らかになった取引残高は5月末時点で971兆円で、OISを含む金利スワップ全体の2─3割程度に達した。現在、OIS取引を行っている金融機関はの数は31先で、内訳は、都銀・信託銀が6先、国内証券3先、外銀・外資系証券22先。欧米で類似の取引が行われている分、外資系金融機関の参入が早く、残高の総額の97%を占めた。また、外資系金融機関の中でも、シェアの71.3%が上位取引先の3社に集中している。
全体としてみれば、金利スワップやユーロ円3カ月金利先物に比べると実際に取引を行っている参加者はまだ少なく、他の円金利デリバティブ商品との比較でも、OIS市場は取引集中度が高くなっている。
少数の大手金融機関に取引が集中する傾向にあることから、1回の取引のロット(取引量)も大きめで、5月中の平均的なロットは1件につき3000─4000億円程度。取引件数が少ない一方で取引ロットが大きいため「相場観が大きく動いたり、取引が集中するような局面では、日中、一時的に流動性が低下したり、ビッド・アスクのスプレッドの開きやレート変動が拡大しやすい」(日銀)ことが問題点として上げられている。
取引残高を取引相手別で見ると、銀行・証券会社などの業者間取引が全体の83%を占め、そのうち、仲介業者(ブローカー)を経由するものが83%、直接相対取引(DD取引)が17%。
機関投資家などの対顧客取引は全体の17%で、31先のうち、外資系を中心にした13先にとどまっている。そのうち、12先が最大手の顧客としてヘッジファンドを上げており、ついで、ヘッジファンド以外の海外投資家(6先)が多かった。国内の機関投資家の利用は、これまでのところ、ほとんどないもよう。
取引高の大きなウエイトを占める仲介業者を経由した取引では、79%が日銀の金融政策決定会合の翌営業日から次回会合の当日までの無担保コールレートを変動金利とする、インターミーティング取引。残る21%が、約定日の2営業日後から一定期間の間のコールレートを変動金利とする、スポット・スタートのスワップ取引となった。
インターミーティング取引が政策金利の予想をより端的に反映した取引である一方、スポット取引は他のターム物の短期金融商品との裁定目的に適しているが、現時点では、インターミーティング取引の利用が多い。なお、日銀の政策変更の可能性を計算するうえではリスク・プレミアムを加味する必要があることから「OIS金利から(政策変更の)確率を計算する場合は、何割程度、と大きめに区切った考え方をするのが適当だ」(日銀幹部)としている。
対顧客取引以外の取引目的は、1)トレーディングや裁定取引、2)資産負債の金利リスク管理(ALM)。トレーディングの一環として短国国債やほかの金利デリバティブとの裁定も行われつつあり、レートも他の短期金利とある程度連動するようになっているものの、スプレッドは安定しきっていない。また、預金や貸し出しなど、多額の短期金利資産や負債を保有する国内の金融機関のALM目的での利用はまだ限定的。
こうした点を踏まえて、日銀は「国内の金融機関による参入が増え、他商品との裁定やALM目的でも利用がさらに広がれば、スポット取引やさらに先行きの決定会合までカバーした取引の流動性が高まり、市場の厚みが増してくるものと考えられる」としている。
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