〔焦点〕国内債中心のスタンス、オルタナティブ投資拡大目立つ=大手生保08年度運用計画
岩崎 成子記者
[東京 18日 ロイター] ロイターが調査した大手生保各社の2008年度・一般勘定資産の運用計画によると、前年下期に引き続き、国内債を柱に積み増す運用スタンスが目立つ。為替をはじめ相場の先行きが読みづらいことが背景。政策金利については、年度内は日銀は据え置くとの見方が多い。外債投資に関しては見方が分かれた。一方、国内株式は残高維持あるいは減少傾向が大半を占めるが、オルタナティブ投資は拡大するところが目立つ。
<国内債中心、政策金利は年度内据え置き予想>
大手生保各社は、国内債の購入を柱に今年度の運用計画を立てている。為替をはじめ「相場の先行きが読みづらい」(富国生命)こともあり、国内債が中心にならざるを得ないといった状況だ。長期的な観点からALM投資を基本に「金利が上昇すれば長期・超長期を中心に積み増す方針」(第一生命)を掲げるところは多く、そのスタンスは前年度同様変わっていない。現在の金利水準については「投資妙味に乏しい」(三井生命)が、「負債の見合いで資産のデュレーションを長くしていく」(住友生命)、「平準的に積み増し、持続的かつ安定的なデュレーションの長期化を推進する」(明治安田生命)といった方針が目立つ。
政策金利に関しては大半が年度内は据え置きを予想。「利下げに踏み切る可能性は低いとみるが、利上げも難しい」(第一生命)というコメントに象徴されるように、日銀は身動きの取れない状況にあるとの見方で一致している。日銀が動きをみせる時期については「米国の景気が持ち直し、米連邦準備理事会(FRB)が利上げに動くのを確認するまで(日銀は)利上げを見送るのでは」(明治安田生命)との指摘もあった。
長期債利回りについては「米景気の減速を受けて低位で推移するが、年度後半に向けて上昇圧力がかかる」(日本生命)との見方が主流。各社の年度末予想は最低が1.5%(大同生命)、最高が2.0%(住友生命)。年度内のレンジは1.1%─2.0%とかなり開いている。
<外債投資、スタンス分かれる>
外債投資に関しては、オープン外債およびヘッジ付外債ともに見方が分かれた。外債投資は「今年収益を上げる機会の大きいセクター」(朝日生命)、「クレジット物のスプレッド拡大やヘッジコストの低下などで、投資対象としての相対的な価値が出てきた」(三井生命)と前向きな会社がある一方、「ドル債についてはドル安リスクがくすぶっており、円はまだ強くなる場面があるだろう。ユーロ圏経済がスローダウンするなかで、今までのようなユーロ高トレンドが続くとはみていない」(住友生命)、「ヘッジコストは安くなったが、収益性が低いため投資妙味は薄い」(大同生命)との見方もある。
各社が予想するドル/円の為替見通しは、年度末に高値で1ドル=98円(富国生命)、安値は110円(5社)。レンジは88─115円。ユーロ/円は年度末に高値145円(富国生命)、安値160円(第一生命)で、予想レンジは140─170円となっている。
投資に踏み切る為替水準については「対ドルで100円、対ユーロで150円を超える円高が魅力的な購入水準」(朝日生命)、「円高局面でオープン外債を積み増したい。当然ドルの100円は大きく魅力があると思う」(日本生命)との見方。「ユーロ債は利下げ期待があるため債券投資としての妙味が、米ドル債は為替面で妙味がある。上半期ではユーロの方が妙味がある」(朝日生命)という。
<国内株式は残高維持と減少が大勢>
国内株式に関しては、残高維持あるいは減少傾向が大半を占める。日経平均株価について年度末には1万5000─6000円を予想し、年度内のレンジも高値で1万6000─7000円と現水準から2割以上の上昇を予想するが、大幅な積み増し姿勢は見られない。「銘柄入れ替えを主体にした投資姿勢を継続する」(三井生命)、「積極的にポーションを増やしたり、収益を取りに行くことは想定していない。相場を見ながら適宜、小口で買い増しを検討することもある」(朝日生命)といった具合。
注目する投資セクターについては「大型株に割安感がでてきた。輸出・主力株中心の投資になる」(富国生命)、「海外で成長可能なセクターに注目している」(三井生命)ほか、「株式市場に大きな影響を与える海外投資家の投資行動に沿い、彼らの買いそうな銘柄を物色していく。テーマと銘柄を絞り、割安感よりも海外投資家が買う銘柄かどうかが鍵」(富国生命)という見方もあった。
日経平均株価については、「海外景気の減速に加え、政局混迷や円高、商品価格の上昇などにより、年度前半は上値の重い展開」(明治安田)を予想。しかし「金融不安が沈静化し、企業業績への期待感が高まれば、持ち直すと見込んでいる」(日本生命)という。
外国株式に関しては「海外の成長性、分散効果の享受という観点から投資を進める」(明治安田)、「金額は小さいがアジア株など新興国株は増やす予定。ボラティリティの高さは確認されたが、長期でみれば投資のタイミングだろう」(住友生命)、「積み増しを予定しているが、足元が不安定であるため、投資エンジンがかかるまでに時間がかかるかもしれない」(三井生命)──などのコメントがあった。
<オルタナティブ投資の拡大目立つ>
他方、運用の拡大が目立つのがヘッジファンドやプライベート・エクイティに投資するオルタナティブ投資だ。ヘッジファンドについては「07年度のリターンは信用収縮の影響などで米ドルベースで2%と低調だったが、長い目で見れば他のリスク資産に見劣りするとは思わない」(大同生命)、「金融市場の混乱でヘッジファンドが淘汰されたほか、金利低下のボラティリティの高さがヘッジファンドにとっては追い風。新規投資にはいいタイミング」(朝日生命)との見方だ。
プライベート・エクイティについては「中期計画の残高2000億円を今年度中に達成する見通しだが、これで上限とは考えていない。さらに上積みし、適正水準を模索していく」(大同生命)と積極的な会社もある。一方「オルタナティブ資産には金融市場の混乱が飛び火している。積み増しは必須ではなく、慎重にチャンスをうかがいながら投資する」(第一生命)、「一定の範囲内で弾力的に運用するという投資姿勢のもと、パフォーマンスを見ながら入れ替えを中心に運用を展開する」(明治安田)との声もあった。
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