UPDATE1: 亀崎日銀審議委員記者会見の一問一答
[山形 29日 ロイター] 日銀の亀崎英敏審議委員は29日、山形県金融経済懇談会後に記者会見した。主なやり取りは以下の通り。
──長期金利が上昇している。これについての見解を。
「確かにこのところ上昇気味で、1.8%前後まで上昇しているが、現在の金利水準について具体的にコメントしていくことは差し控えたい。一般論としては、あまりにも急激に上がったり下がったりすることは、決して良いことではない」
──政府が日銀審議委員に池尾和人慶大教授を起用する人事案を提示した。一方、副総裁は提示されないままだ。
「私がコメントする立場にはない」
──午前の講演で国内物価の上振れリスクはあるが、『物価安定の理解』から大きくかい離する可能性は小さいと発言していた。国内のインフレリスクを含めて詳しく説明を。
「現在、日本の物価をめぐる状況については、労働、設備等の稼働状況からみて、需給がほぼバランスしている状態にある。先行きも成長率がおおむね潜在成長率近傍で推移する下で、労働や設備等の稼働状況は横ばい圏内の動きになると考えられる。このためマクロの需給ギャップもおおむね現状水準で推移すると思われる。こうした状況から、日本の物価は主として国際商品価格の高騰を受けて現在は上昇している」
「国際商品価格の高騰にはいくつか背景がある。1つは中国・インドをはじめとする新興国のおう盛な需要。これは継続していくものと思われる。2番目は鉱山開発や精製設備、港湾設備の遅れによるボトルネックが供給側の要因としてある。3番目には地政学リスク。非常に資源が偏ったところにある。4番目にはサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題を契機とした国際金融市場の混乱を受けた投機資金の流入、フライト・トゥ・シンプリシティ、こういったものが背景ある。こういった要因を背景に価格高騰は今のところ持続性を持っており、新興国の一部ではインフレやその背景にある需要を抑するために、政策金利や預金準備率を引き上げる動きがある」
「日本経済にとっては、国際商品価格の上昇は物価上昇要因となる半面、資源国などへの所得流出を通じて景気の下押し圧力となる可能性もある。ただし、資源価格の高騰は鉱山開発向けの建設機械だとか、輸送用パイプ等の資源関連の技術、省エネ技術に優れた日本企業に恩恵をもたらす面もある。これに加えて、資源国の景気拡大を背景として自動車をはじめとする消費財やインフラ関連財などの輸出増加も見込まれる。このため日本の景気のプラス面、あるいはマイナス面の影響が今後どのような形で表れてくるか、必ずしも明確でない」
「物価への影響についても、このところ国際商品価格の上昇がかなり速いペースであっただけに、先行きの動向については上下両方向に不確実性があるという状況。こういった状況下では、金融政策運営についても、国際商品市況の動向が今後物価・経済に与える影響に目を凝らして、その他の情勢も踏まえつつ総合的に判断していくことが大事だ」
──審議委員が1人増える可能性が出てきたことについて、どう評価するか。
「1年間9人の政策委員メンバーで金融政策運営をやってきて、7人になったときは、やはり9人の中で2人が欠けることは非常に大きいなと実感した。やはりさまざまな意見、角度、分析、多様性があって健全な意見形成ができると思うので、もちろん9人全員がそろうことを一番願っているが、1人増えることについてはベター・ザン・ナウだと思う」
──講演の中で日本の国際商品市場で日本の買い負けについて触れている。この認識と、これがインフレリスクにつながるかどうかについて。
「エネルギーだけでなくて、穀物も水産物も有限だ。それから需要がすごく増えているということで、価格が上がっている。例えば、原料炭が前年比3倍くらいの高い価格で交渉がまとまったと報道されているが、振り返ってみると、この原料炭は鉄鋼製品を作る上で利用されるわけだが、日本が一番大きな輸入国だった。これが今では中国であり、さらにはインドも原料炭を必要としている。日本はタームで価格を決めて買い付けていたが、インドなどはスポットで買っていく。すると、昨年みたいにオーストラリアで豪雨があり露天掘りができなくなってくると、どんどん価格が上がる。タームで決めていないところがスポットで買う結果、どんどん上がっていく」
「したがって、今は日本の要因というよりも、他国の、国際需給関係でそういったものが決まってくる。マグロにしても豚肉にしても、結局、日本が最大のバイヤーではなくて、最大のバイヤーが色々なところに入ってきている。そうすると、日本のバイヤーが行っても『結構です』となる。いま需給関係が日本の要因ではなくて、グローバルな需給関係の中で決まってくる。日本のマーケットをみて買おうと思っても、セラーが売ってくれないといった状況で、日本のバイヤーが買え負けて買えなくなってくるというのが、ちらほら見えてきている」
「新興国しかもBRICsだけの人口をみても30億人近くの人口が、どんどん生活水準が上がっている。ちょうど日本の昭和30年代後半から40年代にどんどん成長していったときにいろいろな需要がもたらされたが、いま大変な人口の層がそういった生活水準を高めながら成長するので、需給関係がそういったところで決まってきて買えない状況も起きている」
「現在のCPI前年比プラス1.2%を分解してみると、エネルギーすなわちガソリン、灯油、プロパン、プラス電気代、ガス代この辺でプラス0.7%。これは間違いなく日本の需給要因ではなくて、先ほど申し上げたグローバルの中で価格が決定されてきている。それから、食料品等はプラス0.4%くらい寄与しているが、この中には小麦だとさまざまなものが海外の要素で上がっている面もある」
「現在の状況は、日本国内の需給関係ではなく、世界の需給関係の影響を受けざるを得なくなっているということが言える。したがって、CPIにしてもどういう要因で上がっていくのか。プラス0.7%というのは、今の原油価格が──これまで一本調子で上がり続けてきたが──このまま止まっていけば、前年同月比ということで、プラス0.7%はいずれはく落していく。そうすれば(物価安定の理解の)1─2%の中に落ち着いていく。それぞれ(CPI構成品目)521品目の動き、今だけでなく今後どう動いていくかをよく中身をみていかないといけない」
──国際商品市況の上昇は国際的な金融緩和が原因との指摘もある。世界的にみて金融緩和が行き過ぎたことが商品市況の上昇をもたらしている可能性はあるのか。
「先ほど、国際商品の価格上昇の背景ということで4つ申し上げた。その中の1つに投機資金があったが、金融緩和だけの要因で価格上昇したということではない。ただ、例えば原油に限定してみると、特に足もとの100ドルを超えてからの上昇については、4つの要因の中でも緩和的な金融環境がどちらかといえばウエート的に大きな影響を及ぼしているのではないかと思うが、繰り返すがそれだけではないと思っている」
(ロイターニュース 志田義寧記者)
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