再送:〔アングル〕不動産投資やJリートに個人投資家が注目、賃料収入や分配金に期待
*以下の記事は2日夕に配信しました。
岩崎 成子記者
[東京 2日 ロイター] 2008年秋のリーマンショック以降、個人投資家のリスク資産への投資意欲が冷え込んでいる中、不動産投資やJ─REIT(Jリート)への注目が高まりつつある。世界的な景気後退を背景に企業収益の落ち込みや不安定な雇用情勢が続く中、個人投資家の間では、Jリートの分配金や不動産投資によって手にする賃料収入に期待する動きも出ている。
<Jリートフェア2009に約3000人が来場>
不動産証券化協会が3月中旬に開催した初の個人投資家向けイベント「Jリートフェア2009」には雨の中、約3000人が足を運んだ。業界の専門家やアナリスト、ストラテジストらの講演会は全て満席。「Jリートの魅力について」や「これからのJリート市場を考える」と題した専門家による講演会では、熱心にメモを取る投資家の姿が目についた。「初の個人向けイベントで、かつ大きな宣伝を打たなかったにもかかわらず来場者が約3000人というのには驚いた」(協会関係者)という。
投資セミナーを定期的に主催しているファイナンシャル・プランナーによると、最近は不動産投資に関するセミナーは、有料・無料を問わず、すぐに満席になる人気だという。不動産投信情報サイトJAPAN─REITを運営するアイビー総研によると、同サイトの月間ページビュー(PV)は、06─08年前半の平均約50万PVに対し、直近では月平均150万PVと従来の3倍程度に増加している。
<個人投資家注目のREIT(リート)とは何か>
不動産を運用対象とする投資信託であるリートは「投資家から集めた資金で複数の不動産を買い付け、その賃貸収入や売却収入の中から投資家への配当原資を生み出し分配する仕組みになっている」(不動産証券化協会)。1960年代に米国で生まれ、オーストラリアや欧州に拡大。日本では2001年9月に初めて登場した。09年3月末現在、日本には41本のリートがあり、足元の時価総額は約2.4兆円となっているが、投資口価格が急上昇した07年5月末には時価総額が7兆円近くまで拡大した。
<リートが注目され始めたわけ>
個人投資家にリートが注目されるようになったのは、分配金利回りの上昇や安定した分配実績、実質不動産に少金額投資が可能という利便性がある。
分配金利回りの上昇は、株式や債券に比べて分配額が比較的安定している一方で、投資口価格の下落が続いたためで「海外に比べ日本の不動産市場、特に賃貸市場の相場は大きく下落していないこともあり、長期にわたって比較的安定した賃料を生む不動産を投資対象としているJリートは、01年に登場して以来、これまでの分配実績を含めあらためて注目されている」(国内証券)という。
乱暴な試算ではあるが、各リートが08年に分配した金額は合計で約126万円、09年の分配総額(予想)は1日現在約98万円(実績含む、分配予想が1期分しかない場合は2倍して計算)になる見通し。全リートを1単位ずつ購入した際の株価合計は1日現在約1186万円で、これをもとに計算した予想分配金利回りは8.3%となる。1000万円預金しても1年で1%が精一杯の金利環境下では、リスク資産投資に慣れた投資家は、賃料収入によるリートの安定分配に着目したようだ。
03年までに上場した10銘柄に関する08年までの分配金実績は、若干の増減はあったものの、ほぼ右肩上がりで増加し、08年の分配額は1口あたり年間3─4万円台が中心だった。1日現在のリート予想利回りは高いもので20%台後半、最も低いもので3%台となっている。
個人が不動産投資をするとなると、資金面では最低でも数千万円程度が必要で、分散投資をするならさらに多額の資金が必要となるほか、不動産取得に関しては物件調査をはじめ煩雑な手続きが伴う。しかし、Jリートであれば1口あたり10万円程度の資金からの投資が可能なうえ、株式同様に売買できるJリートは流動性が高い。この流動性の高さが、特に既に実物不動産投資を経験した個人投資家には魅力のようだ。
ただ、リート投資には分配金の減額や投資口価格の下落、最悪のパターンとしては破たんリスクもある。08年11月にはニューシティ・レジデンス投資法人が、Jリートで初めて破たんした。
不動産セクターのアナリストらは、リート投資のリスクについて、リファイナンス問題や投資法人債の償還、物件取得のフォワードコミットメント不履行による違約金の発生などを指摘した上で、今後はリートの債務動向に注視する必要があるとしている。
また、制度面ではJリートの合併や買収、非上場化といった課題も残されているという。
Jリートを現在保有している投資家の中には、購入時期に限らず含み損を抱える投資家も多いが、これまで比較的安定した分配金を享受してきた投資家にとって「(投資口価格の上昇を想定した)キャピタル狙いで短期売買の売り抜けを考えていた投資家以外、投資口価格の下落はそれほど気にかかっていない」(前出の国内証券)という。むしろ昨秋の金融危機以降、割安になった利回りの高いJリート銘柄の中から優良な銘柄探しに熱心になっているという。
一方、上場リートに投資しているリート投信については、個人投資家らは海外の上場リートに投資する投信を保有する投資家が多い。07年夏の米サブプライム問題表面化以降、こうした海外リート投信は解約が相次いだが、08年11月以降は資金流入が続いている。足元ではリート価格の下落に円高も加わり、基準価額はダブルパンチを受けているが「分配金額と基準価額の見合いで購入しているようだ。分配金利回りが20%を超えるものもある」(銀行販売担当者)という。
<フェア参加の個人投資家はセミプロとの見方も>
Jリートフェアの講演会に参加した都内在住の男性は「Jリートは利回りが高くなっているが、実物不動産では、なかなか利回りの高い物件が少なくなってきている。利回りが高いのであれば流動性の高いJリート投資もいいのではと思い話を聞きに来た」という。他にも「これから投資用物件を買い増そうと考えている。どうせなら低金利の今のうちに資金を調達しておきたい。ただ、世界的に景気も悪く、金融機関のローン審査も厳しくなってきている。専門家は不動産市況をどうみているのか知りたかった」(別の男性)といい、不動産投資のタイミングを見計らう投資家もいた。
個人投資家の株式や投信への投資は冷えこんでいるが、証券投資とは別のカテゴリーを形成する個人投資家の間では、Jリートなど不動産投資が時流に乗った投資行動として注目されている。
(ロイター日本語ニュース;編集 田巻 一彦)
(michiko.iwasaki@thomsonreuters.com; 03-6441-1799; ロイターメッセージング:
michiko.iwasaki.reuters.com@reuters.net)
© Thomson Reuters 2009 All rights reserved.



日本
米国