〔アングル〕プラチナの個人向け販売が活況、ETF上場計画や自動車向け回復期待で
[東京 21日 ロイター] 国内でプラチナXPT=の個人向け地金販売が活況を呈している。中国市場での自動車販売の回復期待や、米国でプラチナETF(上場投資信託)が上場される計画になっていることも人気化に拍車をかけている。世界的に金融不安が残る中で、実物資産としても見直されている状況だ。
<年明けから上昇基調のプラチナ相場>
プラチナは昨年夏以降、世界景気の悪化を受けて大幅な下落に見舞われ、現物市場はピークだった昨年3月高値1オンス=2290ドルから同10月安値732.5ドルまで約3分の1の水準に落ち込んだ。
日本では宝飾品のイメージが強いプラチナだが、世界では全消費量の約8割を自動車の触媒コンバーターなど工業用が占めるため、産業界からの在庫調整の売りが加速し、金XAU=に比べて相場が大きく崩れた。
しかし、800ドルを軸にした底値圏でのもみあいから離脱した年明け以降、適度な休養をはさみ上昇波動を描いている。
直近の相場は、4月13日に戻り高値1244ドルを付けた後、前日の米株安につれ安したことも手伝い、率にして約7%の値幅調整を入れているが、金価格が1オンス=1000ドルを超えた2月高値から約15%の下げを演じたことと比較して、強い基調を保っていることが目を引く。
<プラチナ地金、1─3月期は前年の3.2倍の販売量>
こうした中、国内では個人向けにプラチナ地金の需要が高まっている。田中貴金属が集計した今年1─3月のプラチナ地金の同社取扱量によると、この3カ月間に円ベースのプラチナ価格が35%上昇したにもかかわらず、販売量は前年同期比で約3.2倍に達したという。
2001年を100ポイントとしたプラチナ地金の販売指数は、1─3月の累計で164ポイントとなった半面、同じ期間の買取指数は45ポイントにとどまった。
同社の貴金属部では「世界的な金融不安が高まり実物資産として評価される中、値ごろ感から人気化したとみられる。両指数の差を考慮すると、顧客のプラチナ上昇に対する期待感が高まっている状況」とした上で「長いスパンでみた工業用実需の回復などを期待した動きとみることもできる」と分析していた。
田中貴金属によると、1─3月の金販売指数は28ポイント、同買取指数は33ポイントで、指数化するとプラチナに対して劣勢は否めない。昨年の下げ相場でプラチナは工業用の在庫調整も売り材料となっただけに、投資家が景気回復を呼んで金よりもプラチナ購入に目を向けた可能性もある。
SBIフューチャーズ・法人営業課の鈴木孝二氏は「中国の自動車販売好調が伝えられるが、自動車向けの回復を(プラチナ価格の上昇は)読んだ動きとみることも可能。実需の回復は重要なファクターだ」と指摘していた。
<ETF上場計画、需要後押しの思惑>
他方、プラチナETFの拡大も相場上昇の背景として挙げられている。ロンドンのETFセキュリティーズによると、プラチナETFの保有残高は今年第1・四半期に87%急増し、スイスのカントナル銀行では同28%増を記録。両社の今年第1・四半期末時点のプラチナETFの保有残高は48万2169オンスで、ジョンソン・マッセイがまとめた最新のプラチナ生産統計に基づくと、これは全世界の年間供給量の約8%に相当する。
さらにETFセキュリティーズは北米市場への投入を計画、米国で初となるプラチナETFの上場が実現すれば、人気が一段と盛り上がるとみる市場関係者が多い。金ETFの上場が相次いだ際、金価格上昇を加速させる要因として注目されたが「同様のことがプラチナETFの米国上場で起きる可能性もある」(SBIフューチャーズの鈴木氏)という。
この点について、日本ユニコムの投資情報部部長の菊川弘之氏は「米証券取引委員会(SEC)への登録申請が注目されたが、マーケット規模が小さいため、認可が降りるか否かは現状では不透明。もちろん認可されれば強気の材料となるが、かりにETF上場が不発に終わっても、実物資産として見直されているほか、景気回復期待も出てきたためプラチナ相場の先高感は残る」とコメントしていた。
(水野 文也記者 ロイターメッセージング:fumiya.mizuno.reuters.com@reuters.net
E-mail:fumiya.mizuno@reuters.com 03-3432-7438;編集 田巻 一彦)
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