〔ファンドビュー〕景気は安定局面入り、回復局面に向けた舵取りはタイミング待ち=国際投信

2009年 05月 1日 19:01 JST
 
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 岩崎 成子記者 北野 将之記者

 [東京 1日 ロイター] 国際投信投資顧問の旗艦ファンド「グローバル・ソブリン・オープン(通称:グロソブ)」の運用担当者は現在の市場環境について、回復局面に向かう前のステップにあり、安定局面に入ったとの見方をしている。このためポートフォリオは、金融危機対応型から2008年8月末の危機直前の水準まで戻してきている。

 同社の債券運用部シニアポートフォリオマネージャーで「グロソブ」運用チームのチームヘッドを務める堀井正孝氏は1日、ロイターとのインタビューで「(車のギアに例えるなら)現在はセカンドギアを入れたところだ。世界的な景気回復時に収益を上げられるよう、ポートフォリオ変更のタイミングを待っている。サードギアに入れるタイミング待ちだ」と述べた。ただギアチェンジのタイミングは今ではないとしたうえで、「3月からの市場の動きは、ある意味回復を織り込みにいっており、期待先行の部分があると考えている」と述べた。

 堀井氏は、08年末と比べて市場の混乱は落ち着いてきているとみており、現在は金融危機で大きく売られたファンダメンタルズで良好な通貨のウエートを引き上げ、一方で急伸長した日本円などの比率を減らしている。

 円比率は08年末に17.6%、09年1月29日には設定来最大の投資比率となる19%を記録したが、足元の比率は10%を若干上回る水準にまで低下している。金融市場の混乱が落ち着いてきたことで、リスク回避的な円高は落ち着くと分析したため。一方で比率を増やしたのはオーストラリアやカナダ、北欧通貨のノルウェー、スウェーデンなど。ユーロ圏においてはドイツと比べて他国の金利差が拡大しているため、ドイツ、フランスを売却し、イタリアやベルギー、スペインなどへの入れ替えも実施している。「米国10年債金利などを見ると(金融危機以前の水準に)相場自体は戻っていないが、ポートフォリオもデュレーションも早めに金融危機が起こる直前の前のところまでに戻してきている。ただデュレーションに関しては短くしている」と述べた。

 堀井氏は「現在は回復に向かう前のステップにある。回復に入る前には安定する局面がある」とし、それには各国中央銀行が当面は利上げをしないという姿勢を見せることで、当面、政策金利がゼロ金利近辺で推移するという時間軸効果が浸透し、市場の不透明さが消えてくるというのが最初のステップになると指摘。まさに今(政策金利がゼロ金利近辺で推移すると)市場に浸透し始めてきている状態で、このため急激な混乱やそれに伴う円高がなくなったと考えているという。

 「市場では既に安定局面を過ぎ、次の回復局面なのではないかという話もあるが、それには早いとみている。3月からの市場の動きは、ある意味回復を織り込みに行っているが、これは期待先行の部分があると考えている」と述べた。

 堀井氏が回復局面を織り込むのを早いと判断する背景には、金融システムの正常化と中国の景気回復を注視していることがある。

 同氏は「GMGM.Nやクライスラーの問題もさることながら、最終的には銀行が資金を貸せるようになること、つまりは金融システムが回復するかどうかが景気回復につながるポイントだ」という。同氏は米銀の1─3月の決算を分析し「良い銀行と悪い銀行の差がついてきた。ウエルズ・ファーゴ(WFC.N: 株価, 企業情報, レポート)やJPモルガン(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)についてはよかったものの、それ以外は基本的には一時的な利益による収益だったり、引き当て金を積み増すスピードを遅らせたりすることによるものだったりした。もっと深刻なのはカードローンの延滞率が急上昇していることであり、サブプライム問題は一旦終わったのかもしれないが、実は実体経済に(サブプライム問題が)影響を及ぼしているのが、まだまだ進ちょく中ということだ」と指摘。金融機関の決算には問題山積で、金融システムが正常化に向かっていると見るのは早すぎるのではないか、と判断している。

 また中国については、財政政策の結果、国内融資の伸率が前年比で2割を超えるペースである点などに期待感が持たれているが、今回の政策はインフラ整備など中国の内需に関わるものであるため、恩恵を受ける企業や国が限定されるのではないか、という。「従来なら日本や台湾が中間財を輸出し、中国の安い人件費で加工し最終品として米国に輸出するというようなシステムがあり、関わるすべての国が恩恵を受けた。しかし今回は内需インフラに資金が投下されるわけで、現在中国向けに伸びているのは鉄鉱石をはじめとする素材などだ。国でいうならオーストラリアやブラジルなどが恩恵を受けている」(堀井氏)とし、中国の回復イコール世界景気を救うとみるのは、期待先行なのではないかという。

 ただそのような環境下で、どのようなところに投資していくのか、ということについては「財政がひとつのポイントになる」とみている。1)08年までで財政が黒字だった余力のある国、2)そうはいっても中国向けの一次産品などを輸出している国、3)商品市況が上昇したときに恩恵を受ける国──堀井氏は、このマトリックスに重なるノルウェーやカナダ、オーストラリアが注目できるといい、実際に(グロソブの運用でも)これらの比率を高めにしているという。

 一方、アメリカやユーロ圏、日本については「どこも悪いので、大きな動きにはならない」とし、景気が回復に向かう時期については「年末から来年になるだろう。ただ大底という面では、この1─3月だったかもしれないが、それがすぐプラスに向かうとは考えていない。底ばい期間が年内続くとみている」と述べた。市場が来年中盤には一度利上げし、後半にも利上げを織り込んできていることについては「自分たちとしては、もう少し慎重にみている。市場が織り込んでいるほど楽観的にはみていない」とコメントした。

 4月30日現在の「グロソブ」シリーズファンドの基準価額および純資産残高は、毎月決算型62002137JP.LPが6457円、4兆5424億5300万円、3カ月決算型62002155JP.LPは6532円、2547億7200万円、1年決算型62003792JP.LPは1万2561円、73億3500万円──となっている。

 (ロイター日本語ニュース 編集 宮崎亜巳)

(michiko.iwasaki@reuters.com; 03-6441-1799; ロイターメッセージング:michiko.iwasaki.reuters.com@reuters.net)

 
 

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