再送:〔アングル〕売れ筋投信はバランス型から外債型に、投資家の安全志向と金商法で
*この記事は2日午後8時42分に送信しました。
大林 優香記者
[東京 2日 ロイター] 投資信託市場で海外バランス型の人気が薄れ、海外債券型への資金流入が目立っている。サブプライムローン(信用度が低い借り手向け住宅融資)問題を発端とする金融不安で個人投資家のリスク許容度が低下し、不動産投信(REIT)や株式を含むバランス型より債券型を選好する傾向が強まっているのが背景。金融商品取引法施行で、銀行などがリスク説明をしやすい債券ファンドの販売に傾注しているとの指摘もある。
野村総合研究所(NRI)が算出している国内投信の資金流出入状況(設定額マイナス解約額、新規ファンド分は3カ月目から算入)によると、10月は海外ハイブリッド型への流入額(推計値)が前月比76%減の345億円となった一方、海外債券型への流入額は同44%増の3565億円に膨らんだ。
1─8月は、海外ハイブリッド型への月間平均流入額が6715億円、海外債券型は1080億円だったことを考慮すると流れが大きく変化したことがわかる。NRIによると、海外ハイブリッド型にはREITファンドや複数資産に投資するバランス型が含まれており、相場下落を嫌気して7月以降はREITファンドから資金が流出しているほか、バランス型への流入額は9月に前月比6割減少したのに続き、10月も前月比半減となり、急激に流入ペースが鈍化している。
大和ファンドコンサルティングの広瀬明徳ファンド調査部長は「年央までは海外REITや海外株式を含むリスク性が高いファンドが相次いで設定されて人気を集めたが、7月の海外REIT相場の急落やサブプライム問題をめぐる金融市場の乱高下でREITなどを含むファンドへの追加投資を控えている向きが多い」とみている。
また、海外バランス型ファンドの運用成績が低迷している一方で、円がオーストラリアドルやカナダドルなど米ドル以外の通貨に対して弱含みで推移しているため債券ファンドの成績は回復基調にあり、「最近の売れ筋は高金利通貨の債券に投資するファンドで、販社側も新規商品としては金利物に回帰している」(広瀬氏)という。
<金商法の重し>
9月末に完全施行された金商法の影響もある。「銀行が説明に手間がかかるバランス型を避けて比較的説明が簡単な外債型に重きを置くようになった」(業界関係者)ためだ。
関東地方にある大手地銀は、金商法の施行に伴い、顧客に投資経験やリスク許容度などを聞き取り適合性を判定する新たなしくみを導入したことで「投資の習熟度が高くないと海外ハイブリッド型の商品は勧めにくくなっている」(同行関係者)という。
金商法は投信販売全体にも影を落としている。NRIのデータによると、国内株式、海外株式、国内債券、海外債券、国内ハイブリッド、海外ハイブリッドの投信6分類合計で資金流入額は9月、10月ともに3000億円を割り込んだ。1─8月には月間平均で1兆円近くの資金が流入しており、流入に急ブレーキがかかったことになる。
9月は金商法施行を前に販売各社が広告や販売資料の差し替えなど対応に追われたほか、10月以降は顧客に対するリスク説明などの厳格化で接客時間が長くなり、販売ペースが低下している。
大手都銀の営業担当者は「金商法施行後は手続きをかなり厳格に行っており、投資経験がない顧客には原則として来店当日に投信を販売しないようにしているため、販売労力は以前の3倍になった」と指摘する。
「最近はマーケットの変動が激しいため、既存顧客に対して購入済み投信に関わる市況の説明に時間を取られており、そもそも新規の営業に取り組む余裕がない」(投信コンサルタント)との指摘もある。
ただ、金商法対応については「販売員が慣れてくれば販売ペースはある程度回復する」(九州の地銀関係者)とみられているほか、「国内金利は相変わらず低水準で個人投資家の資産運用ニーズは変わっておらず、相場環境が改善すれば投信への需要も回復する」(投信コンサルタント)と見る向きもある。
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