銀行・証券のファイアーウォール規制緩和で議論開始、顧客情報の共有で対立=金融審
[東京 14日 ロイター] 東京市場の国際競争力強化を話し合う金融審議会(首相の諮問機関)第一部会(部会長:池尾和人慶大教授)は14日、銀行と証券会社の間のファイアーウォール規制の緩和の議論を開始した。銀行出身の委員が、顧客情報の共有や役職員の兼職を求めたのに対し、証券出身の委員が「顧客の同意がない場合の情報共有は認めるべきでない」などとして意見が対立した。
同日の部会では、国部毅委員(三井住友銀行常務)が、預金情報などを利用した多様な金融サービスの提供のため、銀行・証券間の顧客情報の共有や役職員の兼職を認めるよう要望した。これに対して、田中浩委員(野村証券常務)は「現在でも顧客が望めば書面による同意を得て銀行から証券に情報を提供することは可能」として、顧客の同意を得ない場合の情報共有に慎重な意見を示した。また田中委員は、役職員の兼職についても「非公開情報を把握できる立場にある銀行の役職員が名刺を2枚持って証券会社の役職員として行動するなら利益相反の可能性が高まる」として反対の意向を表明した。
このほか、外資系金融機関の意見として、参考人として出席した国際銀行協会のポール・クオ氏は、銀行・証券の情報共有ができないためグループ単位のリスク管理が阻害されていると強調し、国別にリスク管理ができるよう、ファイアーウォール規制の緩和を訴えた。また、ファイアーウォール規制によって、ある企業の増資を証券会社が引き受けてグループの銀行が貸付を回収するといった利益相反がかえって起こりうることを指摘した。
金融審第一部会は次回、21日に会合を開き、ファイアーウォール規制の緩和に関する議論を続ける。また、21日には、プロ向け市場の制度設計と取引所の商品多様化についても続けて議論する。プロ向け市場は、東京証券取引所がロンドン証券取引所と共同で2008年中に創設することを表明している。取引所の商品多様化は、金・原油・穀物など商品を裏づけにしたETF(上場投資信託)の制度設計のほか、証券取引所が商品取引所を子会化するなど、総合証券取引所の創設を可能にする制度改正について話し合う。
ファイアーウォール規制は、1993年の金融制度改革法で業態別子会社方式の銀証の相互参入が解禁されたため導入された。同規制は、1)役職員の兼職、2)顧客情報の共有(顧客の同意ある場合など除く)、3)抱き合わせ行為などを禁止している。過去には、店舗とコンピューターの共有も制限されていたが、「弊害が少ない」として廃止された経緯がある。
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