UPDATE3: 白川日銀総裁記者会見の一問一答

2008年 08月 19日 19:15 JST
 
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いての考え方は変わっていない。基本的なメカニズムは、交易条件の悪化が日本の景気を下押ししているということであったり、あるいはリスク要因として、国際金融資本市場が不安定な動きを続けていること、世界経済も下振れリスクがあるということ。これを含め、そうしたメカニズムについての理解が変わったわけではない」

 

 ──景気底抜けの可能性は。他の委員の景気認識は。

 

 「現在、設備・雇用面で大きな調整圧力を抱えてはいない。90年代、2000年代初頭を考えてみると、設備、在庫、雇用、債務の面で日本経済は大きな過剰を抱えていた。そうした中で、マイナスのショックがあると、それが増幅されていき、深く景気が落ち込んでいった。今回、日本経済をそうした面からみると、設備、雇用についても調整圧力を現在抱えていない。あえて言えば、在庫が少し足元増えているが、大きな調整圧力があるわけではない。景気が大きく落ち込む可能性が高いかというと、その可能性は小さいと現状では考えている。他の委員の見解については、個々の委員がどういう意見だったかは議事要旨で申し上げるということで、この席で私が紹介することはしないが、今回の景気判断の文章については全員一致で承認された」

 

 ──金融機関の融資姿勢について。

  

 「金融機関の融資姿勢を見ると、収益のコアとなる貸出関係の利益の増加を図るべく、大手行、地域の金融機関とも多くの先が貸出残高の増加を図っていくという姿勢にある。その結果、銀行の貸出残高の前年比はここにきて伸び率を高めている。ただ、中小企業・零細企業については資金繰りが厳しい方向に向かっているということは認識している。実際、金融機関の貸し出しも大企業向けは増加しているが、一方で中小企業向けは減少している。また、建設・不動産業等、倒産が増加している業種に関しては金融機関ではよりきめ細かな信用リスクの管理を行っているということだと認識している。ただ、企業金融を巡る情勢は全体としては緩和的な状況が維持されているし、金融機関サイドの需要を見ても、自己資本の不足が制約となって貸し出しを伸ばせないといった事情にはないと思っている。いずれにせよ、金融の状況がどうか、金融機関の企業の資金繰りがどうか、金融機関の融資の方針がどのようなものであるかということについては、引き続ききめ細やかな点検をしていきたいと考えている」

  

 ──前回の会合の会見で、景気の下振れと物価の上振れが同時進行しているとの認識を踏まえた上で、スタグフレーションの懸念はないといったが、姿勢は変わっていないか。

 

 「スタグフレーションの認識については、スタグフレーションの定義にも多分依存するのだろうと思う。スタグフレーションを単に景気が悪化する方向、物価が上がる方向というふうに定義した議論もあるのかもしれないが、多分お尋ねの趣旨は景気が大きく落ち込んで、例えば景気がマイナス成長になっていくけれども、物価がどんどん上がっていく、そういう事態をスタグフレーションと考えた上での質問かもしれない。前回申し上げたことは、前回の日銀の見通し、つまり成長率と物価の見通しはいずれも成長率がマイナスになるということではない。確かに成長率は下がるし、物価は上がるがそれは通常スタグフレーションという言葉で表現されるような状況ではないと思っているし、現在でもその可能性が高いと思っていない」

 

 ──景気の先行きについて「停滞」と下方修正した以上、景気の調整期間が長引くのではないか。

 

 「景気の停滞期間についてどのように考えるかということだが、足元、停滞していることがデータで確認され、この先も停滞が当面続くという見通しを出した。個々の委員が停滞の期間についてどれぐらいだと議論にしたわけではないが、私が今日の会合での議論を踏まえて受けた印象では、多分経済が回復してくる時期のイメージは従来から比べると多少先ずれしてくるということであったかと思う。ただこの点についても、リスク要因について上下の方向性の不確実性が大きいと強調しているが、その調整の長さについもあてはまる。私自身はその長さについて固定的に強く申し上げるよりは、ある程度幅がある概念だと考えて、毎回議論していくことだと思う」

 

 ──政府が景気対策について検討しているが、必要性も含めてどのように評価するか。

 

 「日本銀行自身がこの総合経済対策について、今政府与党において検討を進めているところであり、具体的にコメントすることは差し控えたい。ただ骨格に挙げられた項目、つまり国民の安全・安心の確保、それから持続可能社会への変革、新価格体系の適用、の3点はいずれも日本経済にとって大事な課題であり、こうした観点から適切な対策が策定されることを期待している。日本銀行としては今日の決定会合でもそうだが、物価安定のもとでの持続的成長を実現していく金融政策をしっかりやっていくことに尽きる」

 

 

 ──米国以外の国の経済減速が目立っているがどうみるか。また米国で大手金融機関が大規模なARS(オークションレート証券)買い取りをしたと報道されている。このことが米国金融機関の自己資本や経営、金融システムに与える影響をどうみる。

 「経済先行きの下振れリスクとして、4月の展望リポートでは、世界経済の下振れリスクを指摘した。その段階では、米国経済がとりあえず顕在化していたが、欧州についても、そのことは意識していたし、中国についても意識していた。足元の数字をみてみると、今質問にあったように、第2四半期のGDPはマイナスとなったし、中国は足元若干減速しているが、基本的に高い成長が続いている。世界経済全体として高い成長率ではあるが、それが少しずつ減速している。それが日本の輸出の方にも影響してきているという認識をもっている。これは従来からリスク要因として認識していたが、それがだんだんにデータで裏付けられている」

 「米国金融機関の自己資本調達の質問だが、ARSの件、それ自体は大きな問題であるし、それから買い取りということになると、その分バランスシートが拡大する。今回初めて○○金融機関が、新たに買い取りを行うということではなく、もう既に買い取りを行っているものがあるので、巷間流布されている数字それ自体は、ややミスリーディングかなという感じもするが、いずれにせよ、追加的な資本調達の要因であることは間違いない。ただ私自身は個別の不良債権とか、個別の資産買い取りに伴う自己資本の問題ということもさることながら、一番重要なポイントは実体経済と金融のマイナスの相乗作用というものを、どの程度と考えるかということだと思う」

 「8月はサブプライム問題1年ということで、いろいろな教訓について論評がなされているが、その中で、ひとつの問題意識として、米国は、日本の1997年以後の失敗というか、それを繰り返すのかどうかという議論がよくあるが、そうした議論の際に、米国は不良債権をタイムリーにディスクローズしている、処理をしている。したがって問題の処理はそれだけ早いという論評がある。それに対して日本は、適切な言葉かどうかわからないが、隠していたという論評が時々ある。当時の日本のディスクロージャーについて改善の余地があったというのはその通りだが、振り返ってみて、日本の1990年代前半を考えてみると、当時言われていた不良債権の金額よりもはるかに大きな金額が最終的には実現した。その最大の理由は、隠す隠さないということではなく、実体経済と金融の相乗作用が皆の予想を超えてはるかに大きかったということだ。したがって米国について一番大事なポイントは、その点をどう認識するかということだと思う。これについては誰も答えを持っているわけではないが、個々の不良資産だけに関心が集まると、結果として大きな絵を見過ごす危険性もあると思って、あえて申し上げた」

 

 ──景気の下振れと物価の上振れリスクについて5対5だとおっしゃられたが、なぜそのようにお考えなのか、少し詳しく伺いたい。

 

 「両方に差は設けていない。たまたま質問されたときに数字で聞かれたのでそう答えたまで。景気の下振れリスクと物価の上昇リスクと両方に注意が必要だと強調したかっただけで、5と5に格段意味はない」

 

 「なぜそうなのかということ、現在日本の景気が停滞してきた大きな理由は交易条件の悪化だということは申し上げてきたとおり。ただ交易条件の悪化はずっと石油価格やエネルギーの上昇が続くということになると景気がさらに悪化するだろうが、しかし、いつまでもそれが続かずどこかで止まると思う。もちろん誰も予測はできないので、リスクとして認識をしておこうということ。景気が深く落ち込んでいくリスクについてはそれほど大きくはないと思う」

 

 「一方、物価については、上昇率はずっとゼロ%近辺だったものが2%近くになり、来月発表される数字は2%台に乗り、しばらく2%台で推移していくという予測になっている。これは今までなかったことであり、やはり注意が必要。しかし最終的にはエネルギーと原料価格の上昇がずっと上がっていくという強い仮定をおかなければ、いつかは前月比でみて上昇率は下がっていく。われわれとしてはいわゆる二次的な効果、セカンドラウンド・エフェクトが起こらないか注意してみていく」

 

 ──インフレの2次的効果について現状認識は。

 

 「結論から言うと2次的効果が現在発生しているとは判断していない。2次的効果が発生しているかどうかを判断していく上で、いくつかの指標を注意深く見ていく必要があるが、一つ

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