UPDATE1: 米金融問題は険しい道のり、日本経済も回復時期含め注意必要=白川日銀総裁

2008年 09月 17日 18:05 JST
 
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 [東京 17日 ロイター] 白川方明日銀総裁は17日、政策決定会合後の記者会見で、米国金融問題は険しい道のりが続いており、住宅価格下落など根本問題が残るなか、米金融機関の損失処理はめどが立たない状況との認識を示した。この影響で日本経済も景気回復時期の見通しを立てる上で、景気下振れリスクへの注意が必要だとした。

 

 <政策効果にタイムラグ、現状維持が適当>

 

 足元の景気情勢について白川総裁は「米国金融機関をめぐる情勢を背景に世界的に株価が下落しているほか、米欧金融市場の緊張が高まっていることから国際金融市場の不安定性が増し、世界経済全体に景気の下ぶれリスクが高まっている」との認識を示した。一方、物価面では世界的にインフレリスクがある中で、わが国でも引き続き上振れリスクに注意が必要だとした。

 こうした状況のもとで、この日の金融政策決定会合で利下げを選択しなかったことについて「政策効果の波及にはタイムラグがあることを念頭においた上で、経済のおかれた状況やその要因に照らして政策を判断していく必要がある」との基本認識を示した。その上で「日本経済は当面停滞するがその後は緩やかな成長に復していき、物価も現状程度の上昇率が続くが、その後は徐々に低下していくというのが相対的にがい然性の高い見通しだ。ただ不確実性が高く、景気の下振れリスクと物価の上振れリスクの双方に注意が必要。こうした中で、中長期的に見て持続的成長を確保していく観点から、現在の調節方針を維持するのが適当と判断した」と説明した。

 

 <米金融機関の損失処理にめど立たず、根本問題未解決>

 

 米金融機関をめぐる情勢について白川総裁は、サブプライムローン問題の発生から1年以上経過したが「問題解決に向けて依然として険しい道のりが続いている」との認識を示し、「金融機関の損失処理にはなかなかめどが立たない状況」と述べた。最近の金融指標からみても「金融機関への市場の評価は厳しさを増している」とも指摘。

 こうした中で決定された米政府の住宅金融公社への公的資金注入や米連邦準備理事会の資金供給、AIGの公的管理などの対応について白川総裁は「金融市場に対する信認確保の上で重要な決定だった」と評価。当局の対応はそれがなかった場合に比べて確実に金融システムの強さに貢献しているとしたが、「住宅価格下落が続いていることや近年信用が大きく拡大したことなど、根っこの問題が残っているし、今後まだ調整が続くということ」と指摘した。 

 

 AIGに対するFRBの救済策がFRB自身の信認に影響を与えるのではないかとの質問に対しては「中央銀行が最終的に最も重要な機能として求められるのは金融システムの安定、そしてシステミックリスクの顕在化を防ぐことだと思っている。その意味で中央銀行は流動性の供給に専念するということ。もし資本不足があってシステミックリスクが発生する危険がある場合はこれは政府の決定する問題」だとした。ただ実際の問題に直面して、中央銀行としてどう対応するのかは難しい問題だと述べ、日本でも90年代の金融危機では似たような経験をしており、今回のFRBの対応について個人的には「最善の対応をしたのではないか」と述べた。

 白川総裁はまた、破たんしたリーマン・ブラザーズが記者会見で日銀に負債があるとしたのは、資金供給オペによるものだと述べた。

 

 <中央銀行間で緊密に連絡>

 

 今回のリーマン・ブラザーズやAIGへの金融当局の対応について白川総裁は、この連休中にも総裁自身や調節担当者の間でも緊密に連絡を取り合っていたことを明らかにした。その上で、中央銀行間での協調はいろいろな面で行っており、外国銀行への資金供給は以前から日銀として資金供給オペレーションを行っているとした。さらに外国金融機関への資金供給に関連してクロスボーダーな担保の受け入れについても検討課題としていると述べた。

 

 <日本の金融機関の損失発生、期間収益の範囲で対応可能>

 

 今回の米金融機関をめぐる問題の日本の金融機関への影響については「ある程度の損失は発生する可能性はあるが、大方の金融機関で期間収益で吸収可能な範囲。したがって経営体力の大きな毀損につながる可能性は低く、わが国の金融システムの安定した状態が脅かされる状況にはならない」との認識を示した。

 

 <日本経済への影響、下振れリスク高まったとは判断せず>

 

 国際金融市場の不安定さが増したことによる日本経済への影響について「国際金融市場の不安定性が増しているという面から、景気の下振れリスクは高まっている。一方で、国際商品市況は下落しており、交易条件の悪化を緩和する方向に働く」として、「景気の下振れリスクがさらに強まっているとは判断していないが、引き続き景気の回復についてはその時期も含めて下振れリスクに注意が必要」との認識を示した。

 

 資源価格が下落に転じているため、物価上昇リスクはやや低下したのではないかとの質問には「きょうの会合では、引き続き景気と物価の双方のリスクに注意が必要な局面だということで一致しており、従来と変わらない」と述べた。物価の二次的波及効果が生じているわけでないが、これは中央銀行が注意しているからであり、放置しておいても生じないというわけではないと強調した。

 

 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 石田仁志)

 

(izumi.nakagawa@thomsonreuters.com; 03‐6441‐1834; ロイターメッセージング:izumi.nakagawa.thomsonreuters.com@reuters.net)

 
 

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