資産運用機関の08年度運用収入は2けた減へ、金融市場の混乱で=NRI
[東京 10日 ロイター] 野村総合研究所(NRI)の金融市場研究室上席研究員、堀江貞之氏は10日、世界的な金融市場の混乱で資産運用ビジネスの環境が悪化しており、日本における資産運用機関の08年度の運用収入は前年度比2けた減少するとの見通しを示した。
堀江氏は同社の資産運用ビジネスセミナーで「家計の投資性商品への資金流入は中期的には継続するとみられるが、足元の資本市場の混乱で投資信託などの運用商品から定期性預金に資金が逆流する可能性があり、預金に資金が長期に滞留することが(資産運用ビジネスにとって)最大のリスク要因」と指摘した。
NRIによると、生保や信託銀行を含む資産運用機関の運用残高は07年度末に前年度比34兆円減の374兆円となり、同社が02年度に統計を取り始めて以来、初の減少を記録した。ただ、残高が減少したのは主に相場悪化による時価の減少によるもので、上期に堅調な資金流入があったため運用機関の運用収入は07年度に16%増加した。
しかし、08年度は金融不安の深刻化でビジネス環境が激変し、収益性が悪化している。堀江氏によると、10月9日時点の投信残高や投資顧問残高が年度末まで継続すると仮定した場合、投信分野の運用収入は今年度18%減となり、投資顧問の運用収入は15%減となることが推定される。同氏は「2けた減は避けられず、運用収入は06年度の水準まで逆戻りするとみている」と述べた。
ただ、同氏は市場が正常化すれば「日本における中期的な資産運用ビジネスは成長余力が大きい」とみている。NRIの推計によると、日本の投資家の金融資産総額の真水部分は1680兆円で、そのうち1400億円が運用委託が可能な分で、運用機関にとっては拡大余地が大きい。
同社によると、02─07年度の6年間で家計の金融資産は貯蓄から投資に年度平均29兆円シフトしたが、08─12年度の5年間も同15─30兆円のシフトが予想され、運用ビジネスとしては投信分野が有望視される。また「金融機関の有価証券ニーズは継続する見通しで、特にゆうちょ銀行の有価証券運用が運用機関にとって最大の潜在力」(堀江氏)という。
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(ロイター日本語ニュース 大林優香記者)
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