〔自動車産業の未来〕ビッグスリー再建は可能、破たんなら日系メーカーにも打撃=旭テック<5606.T>会長

2008年 12月 2日 08:57 JST
 
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 [東京 2日 ロイター] 旭テック(5606.T: 株価, ニュース, レポート)の入交昭一郎・共同会長はロイターとのインタビューで、米ビッグスリーの破たんは金融市場の大混乱を契機に米経済のさらなる混乱を招き、自動車市場も急激な収縮に直面して、日本のメーカーにもマイナスの影響を及ぼすと指摘した。3社が2日に提出する再建策で注目すべきは、細かいリストラ案よりも今後の商品計画で、1車種でも大ヒットさせることができれば復活は可能と指摘する。

 入交会長はホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)の元副社長。フォード・モーター(F.N: 株価, 企業情報, レポート)へ出向した経験があるほか、1984年にはホンダの米国生産子会社の社長に就任。退職後は米部品大手デルファイの社外取締役を務めるなど、日米の自動車産業に精通している。

 インタビューの主なやりとりは以下のとおり。

  12月2日に米ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nなどビッグスリーが再建策を提出する。

 「米政府が支援するかどうかは非常に大きな判断で、上下両院の公聴会は世界の注目を集めるだろう。再建策を評価するに当たって重要なのは、どれだけ商品計画への言及があるか。自動車ビジネスというのは単純で、ベストセラーの車が1つあれば良い。マツダ(7261.T: 株価, ニュース, レポート)はかつて『ファミリア』で、ホンダは『オデッセイ』でよみがえった。売れる車が出てくれば会社全体が勢いづいて、周囲からのイメージも向上し、ディーラーも活気づく。小難しいことはせず、そこに注力すればビッグスリーが復活するチャンスはある」

  一時的に延命しても、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)などに比べて環境対策が後手に回っており、最終的に生き残るのは難しいのでは。

 「トヨタやホンダが掲げているのは2011年や2012年にハイブリッド車をせいぜい数百万台売るということであって、世界で6000万台という自動車市場の中では大きくない。GMが生き延びるかどうかという今後5年ぐらいの中で、課題の1つではあるけれど、大きな問題ではない」

  ビッグスリーの破たんは日本の自動車メーカーにとってはシェアを伸ばす好機という見方もある。

 「日系メーカーの中でビッグスリーの凋落(ちょうらく)をチャンスと考えている人はいない。今以上に大変なことが起きると心配しているはずだ。GMの社債には米国債と同じくらいの信用度があったわけだから、リタイアした人たちの年金が運用されているケースが多い。仮にGMが破たんすれば、その人たちの財産は紙切れになり、米国経済は大混乱し、市民生活もおかしくなる。シェアが拡大するチャンスではあっても、市場全体が猛烈な勢いで縮小する可能性があり、正常な状態に戻るには5年ぐらいかかるだろう」

  そうなった場合、体力に劣る日本の下位メーカーが再編に巻き込まれる可能性は。

 「インドや中国のメーカーが買収に動くことはあるだろう。先進国のメーカーが買う意味はまったくない」

  業界の頂点に君臨してきたビッグスリーは自動車産業にとってどのような存在か。

 「70年代初めのビッグスリーは雲のさらに上の存在だったが、技術的に自動車業界をリードしていたのは20年前まで。1973年からホンダの環境対応エンジンをフォードに技術移転するプロジェクトに携わり、その際にテスト走行したフォードの『ギャラクシー』という車はパワフルながら静かで、こんな車はホンダには永久に作れないと思った。しかし、10年後に米国に赴任したときは対等に戦えるようになっていた」

 「ただ、新しい市場にいち早く出て行ったのはビッグスリーで、海外展開への積極性ではずっと業界をリードしている。日本勢はビッグスリーの様子を見ながら、大丈夫そうだな、という市場にしか出ていない」

  ビッグスリーが苦境に陥った要因をどう分析するか。

 「物作りに全身全霊を投入するという姿勢が足りなかったように思う。米国でテクノロジーというと発明の部分に価値が置かれ、その発明を市場で勝者になれるまで根気強く育てることに弱い。重要なのは顧客からフィードバックを受け、米国人が軽視する『ちまちました』改良を重ねていくこと。私がいたデルファイにも素晴らしいテクノロジーはあったが、日本の部品メーカーよりも市場に早く投入できなかったり、作り方を改良してコストを下げることができなかった。物作りに重点を置いてやり直すことが必要だろう」

 「日本は商品化に結びつけて大量生産し、コストを下げるのを得意としてきたが、気になるのは日本の製造業も米国化しつつあることだ。最近は優秀な学生が物作りに興味を示さず、金融やIT業界に行ってしまう」

  旭テックの子会社メタルダインも米国メーカーだ。

 「ハイリスク、ハイリターンのメタルダインの米国的経営と、リスクをなるべく取り除こうとする旭テックの日本的経営の善し悪しは、グループ内で散々議論してきた。メタルダインは次々と工場を建設するなどして計算上は年7─8%の成長率となるが、旭テックは工場計画も慎重だから成長率は良くて年5─6%。旭テックもメタルダインを見習えという意見がずっとあったが、ここに来てハイリスクの部分が全面に出てしまい、そういう声は聞かれなくなった」

  メタルダインは主要顧客がビッグスリーで、業績が大きく落ち込んでいる。

 「来年は米国自動車市場が1100万台、メタルダインの操業率が6割という厳しい前提の中でキャッシュフローの黒字化を目指しており、だいたいメドがついた。市場が1500万台に回復したときには損益も黒字に持っていける」

 *このインタビューは1日に行いました。

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(ロイターニュース 久保 信博記者;編集 田巻 一彦)

 
 

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