再送:〔焦点〕金融円滑化策で広がるTIBOR先安観、「迫力ある対策」には懐疑的見方も

2008年 12月 3日 08:05 JST
 
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*この記事は2日19:23に配信しました。

 山口 貴也記者

 [東京 2日 ロイター] 日銀が2日、臨時会合を開催して企業金融の円滑化策を決め、短期金融市場でTIBOR(東京銀行間取引金利)金利の低下観測が広がっている。年末や年度末の混乱回避に向け一歩前進したとみる参加者が多いためだ。しかし、一部で期待されていたCP買い入れには踏み込んでおらず、金融機関のバランスシートの制約上、日銀の白川方明総裁がいう「迫力のある対策」につながるかどうかに懐疑的な見方もくすぶる。

 日銀が発表した企業の資金繰り支援策は、民間企業債務を担保として無制限に政策金利と同じ水準で資金供給する枠組みが柱となっている。社債と証書貸付債券の担保としての適格要件について、従来のA格相当以上からBBB格相当以上に緩和することも同時に決めた。

 これまでの世界的な金融・資本市場の混乱により、直接金融は機能不全に陥っていた。社債発行コストの増加に伴い発行を見送る企業も相次いだ。こうした流れはCP発行市場でも例外ではなかった。

 日銀が10月31日に開催した金融政策決定会合で0.2%の利下げに踏み切ったことで短期プライムレートは下がった。しかしスプレッド貸しのベースとなるTIBOR金利は、むしろ上昇傾向をたどっていた。

 大手行の一角で円資金調達を担当する幹部は「社債の発行見送りを余儀なくされた優良企業が、CPで短くつなごうと調達手段を変更する動きが広がり、もともとCP調達が主流だった企業が押し出され、銀行借り入れにシフトする流れが鮮明になっていた」と話す。

 市場の混乱のあおりを受けて直接調達マーケットが機能不全となり、CPや社債の発行ができずに事業法人が銀行借り入れに向かっている状況は、10月の貸出資金吸収動向にもはっきり表れた。

 CPから銀行借り入れへのシフトが強まった副作用も出ていた。担保に差し出すCPが減少したため、無担保で資金を調達しなければならない状況に追い込まれるケースもあった。欧州系銀行の幹部は「大手銀行すらタイトな状況下、地方銀行はファシリティを使いながら資金繰りしていた。全般的にひっ迫感が強かった」と指摘する。

 今回、日銀が発表した支援策は、こうした点を補いうる有効手段と指摘する専門家は少なくない。セントラル短資・執行役員経営企画部長の金武審祐氏は「年度末にかけた3カ月物のCPや手形貸し付けなどの銀行による短期貸し出しについては、オペ効果の兼ね合いで環境が好転しそう」とみている。

 会合終了後の短期金融市場では、TIBOR金利の低下観測を反映するかたちでユーロ円3カ月金利先物が急騰。中心限月の2009年3月限は一時、前日清算値より8ティック高い99.305に跳ね上がった。

 前出の欧州銀関係者は「レポ取引のジェネラル金利は、翌営業日に始まる翌日物で0.31%、翌々営業日に始まる翌日物は0.34%前後で、日銀の誘導目標水準に向かいそう」と展望する。

 しかし、今回の対策は資金繰り支援策にとどまり、リスクテイクに躊躇する金融機関のバランスシート問題は手付かず。三井住友アセットマネジメント保険資産運用第一グループ・ヘッドの堀川真一氏は「大企業の間でもCPの発行が難しくなっているだけに、CPの買い取りも含めた対応策を期待する見方があった。企業金融の円滑化にはさらに踏み込んだ対応策が必要」と話す。

 前出の欧州系銀行筋は「1998年の危機のときと違うのは株価下落により、リスクアセットに制約がかかっていることだ」と明かす。ある資金ディーラーは言う。「株価が1万2000円前後で推移していれば、間接金融に戻ってきてもらえるのは本来ありがたい。しかし、貸し出しでリスクアセットが増えるような物は、依然として手掛けづらい」。

(ロイター・ニュース 山口 貴也、編集;橋本 浩)

 
 

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