〔焦点〕市場の一部に超緩和策「出口論」検討すべきの声、注目される日銀のスタンス

2009年 04月 17日 18:05 JST
 
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 [東京 17日 ロイター] 年後半に景気底打ちの見方が出始める中、BOJウォッチャーなど一部の市場関係者から超緩和政策からの脱却を図る「出口政策」を日銀が検討するべきであるとの声が出始めている。世界の主要国がそろって大幅な財政出動と超金融緩和政策に傾くという前例のない状況下で、景気回復の動きが明確になってきた際に現在の政策を継続したままでは、将来、予想インフレ率の上昇やバブルが発生しかねないという懸念が背景にある。日銀内にも「出口論」の必要性に理解を示す声がある一方、早まった出口論の検討は、景気回復の腰を折って深刻な不況に直面するリスクが拡大するとの懸念も金融市場には根強い。日銀の出方に関心が集まりつつある。

 <世界中で大規模経済対策、将来にバブル発生懸念も>

 「将来的に何らかの形でバブルが発生することは避けられないだろう」 。民間エコノミストからこうした見方が浮上している。4月2日にロンドンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)において、総額5兆ドルに達する財政出動が世界経済を4%押し上げる見通しが示された。麻生太郎内閣も10日、財政支出15兆円超の大規模な追加経済対策を決定した。

 金融政策は、各国中銀の積極的な流動性供給により、主要国で足並みをそろえて超緩和局面が続いている。こうした世界的な景気刺激策を受け、日本経済の先行きに対し、年後半にかけて底を打つとの見方が出ている。一連の政策が功を奏せば、景気は回復軌道に乗る可能性もある。

 ただ、景気回復が明確になった時点で、現在の超緩和政策を継続すると「流動性が世界中であふれかえって、再びどこかに歪みが出る可能性がある」との見方が、民間エコノミストだけでなく、市場関係者の中でも広がってきている。日本国内では景気の回復力が弱く、物価上昇圧力が高くなくとも、商品市況の動向や海外でのインフレは国内に波及しかねない。

 今年後半に景気底打ちの可能性があると見ているJPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏は「そろそろ日銀は出口政策を検討する局面にきている」と指摘する。

 日銀内にも、景気回復時に現在の異例の政策を続ければ、インフレ予想の高まりやバブル発生につながる危険があるため、いずれは「出口政策」の検討に着手するべきだとの声が出ている。

 米国ではバーナンキ議長が出口政策の必要性に言及。日銀も異例の政策からの出口の1つのメドとして、企業金融支援特別オペなど諸政策の期限を9月末に設定している。今後、景気の底打ちが明確になってくれば、10月の(経済・物価情勢の展望)展望リポート控えて、夏場には出口政策の検討を始めるケースを想定している関係者もいる。

 ただ、足元で約20兆円の需要不足となっている中で、雇用や設備の調整圧力もあり、景気の回復力は相当弱いと予想されている。菅野氏は「出口政策は難しい問題だ。バブルの芽と景気の下向きの力のバランスをみる必要があり、出口政策の着手が早過ぎても景気には悪影響がある」と指摘している。

 <国債買い切り増額からの出口も必要>

 第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生氏は、あらかじめ出口政策を明示した方が、柔軟な追加政策が可能になると見ている。熊野氏によると、出口政策を明示しないまま、追加政策の必要性に迫られた場合、将来のインフレリスクを警戒するあまり中途半端な政策しか打てないことになりかねないと指摘する。それよりも出口政策を明確にしておくことで、超緩和政策の途中で「ちゅうちょ」することなく、効果的な思い切った政策を打ち出せると主張する。

 ただ、現実に出口政策を実行する場合には、さまざまな課題が存在する。その1つが増額してきた国債買い入れオペの取り扱いだ。長期国債の買い入れが多額にのぼると、出口政策にかじを切る際に、短期資産の減額だけでは余剰資金を吸収しきれなくなるリスクがあるためだ。

 東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏は「国債買い入れオペの効果を疑問視する意見も欧米で出てきた。そもそも意味はあるか、出口政策はどうするのかという議論が蒸し返されてきている」と指摘する。その上で「国債売り現先や手形売りオペで数十兆円以上といったスケールになると、短期金融市場に相当なストレスがかかり、短期金利が暴れやすくなる」と述べた。さらに「毎月の国債買い入れ額に変化をつけることすらやっていない日銀にとって、国債売り切りオペは勇気がいるだろう」と語った。

 熊野氏もそうした懸念から、国債買い入れ増額の出口政策として、財務省による買入消却を積極的に行なうべきと指摘している。

 景気が果たして下げ止まりから回復に向かうのか、人々のインフレ予想がどう動くのか──。まだ不確実性は高く、先行きの展開を読める状況にはない。

 だが、これまでの経済の歴史を振り返って先々を展望すると「景気回復が明らかになってからでは、バブルが発生しかねない」(菅野氏)というリスクが未来に広がっている可能性がある。

 他方、出口政策の展開次第では、かえって市場が混乱する可能性も否定できない。日銀がいつから本格的に「出口政策」を模索するかは、今後のマーケットを行方を展望する上でも、大きな要素になってきた。

 (ロイター日本語ニュース 中川 泉記者 寺脇 麻理記者、;編集 田巻 一彦)

(mari.terawaki@thomsonreuters.com; 03‐6441‐1835; ロイターメッセージング:mari.terawaki.reuters.com@reuters.net)

 
 

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