1─3月期に個人消費底打ち気配、給付金などでマインド改善

2009年 05月 13日 19:23 JST
 
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 [東京 13日 ロイター] 個人消費が今年1─3月期に底を打ち、持ち直しつつあると予想するエコノミストが出始めている。注目度の高い消費総合指数が3月に8カ月ぶりのプラスとなったほか、13日に発表された4月景気ウォッチャー調査でも景気の現状判断DIは4カ月連続で上昇した。

 背景には定額給付金の支給による消費マインドの好転に加え、雇用調整助成金の効果で雇用環境の悪化スピードが緩和されているという構造がある。ただ、消費回復の力強さや持続性にはかなりの疑問も出ており、先行きの不透明感は払しょくされていない。

 <小売業界にも底打ちの兆し> 

 消費動向を探る上で内閣府が重視している消費総合指数は、国内総生産(GDP)統計の民間最終消費と連動性が高く、エコノミストも注目している。11日に発表された3月分のデータでは、季節調整済み実質ベースで前月比0.4%上昇し、8カ月ぶりのプラスとなった。

 JPモルガン証券・シニアエコノミストの足立正道氏は「1─3月期の消費は大幅なマイナスは間違いないが、4─6月期にプラスに転じる可能性が出てきた」と指摘。政策効果などで少なくとも最悪期は通過し、景気は底入れしつつあるとの見方を示す。

 株価に先行して改善を示すなど、景気回復の先行指標として注目度が増している内閣府の景気ウォッチャー調査。13日に発表された4月調査では、高速道路料金の引き下げや定額給付金、在庫調整の進展などを追い風に、景気の現状判断DIが4カ月連続で上昇。内閣府は同調査の判断を「景気の現状は厳しいものの、このところ悪化に歯止めがかかりつつある」に上方修正した。

 小売や飲食を含む家計動向関連DIも改善を続けており、「高速道路料金引き下げの影響で、土日、特に日曜日の来客数がかなり増えている。飲食店を中心に需要が増えている」(四国、商店街)という。

 消費の基調変化の裏側で働いているメカニズムは何か。みずほ証券・シニアマーケットエコノミストの清水康和氏は、消費性向の動向から分析している。可処分所得のうち消費に充てる比率を示す消費性向については、足元で持ち直しの動きが出ているが「何とか生活水準を維持しようという動きがあり、収入の減少ほど支出は減っていない。削れるところはすでに削っているのではないか」と分析する。

 家計調査によると、3月の勤労者世帯の平均消費性向は94.1%となり対前年同月で3.7ポイント上昇、季節調整値は75.5%で前月と同水準となった。

 こうした中で4月の主要百貨店の売上状況は、引き続き前年を下回っているものの、大幅な落ち込みとなった3月から下落幅が縮小している。5月上旬にかけては「婦人雑貨や食品が堅調」(そごう・西武百貨店)という。美術品や宝飾品など高額品は店頭では苦戦が続くものの、富裕層を対象とした外商では「若干動きが出ている」(大手の百貨店)として、株価上昇やマインド面での好転を背景に薄日が差してきた感もある。

 <消費刺激策と、雇用助成金による下支え>

輸出や生産の急激な落ち込みと企業業績の大幅な悪化の割には、個人消費が意外な底堅さをみせている。その現象に大きな影響を与えているとみられるのが政策への期待感だ。景気ウォッチャー調査では、景気・雇用の先行きや新型インフルエンザに対する不安感が指摘される一方で、定額給付金のほか、環境対応車の購入に関する減税や補助、グリーン家電のエコポイント効果など、政府の経済対策への期待感が家計部門から出ていた。

 さらに雇用環境の悪化が比較的緩やかなものにとどまっていることも見逃せない。失業率は3月に4.8%に悪化し、雇用環境の厳しさを示した。しかし、失業率は2003年春などに記録した過去最悪の5.5%には至っておらず、その要因として「雇用調整助成金」の活用を挙げる声が少なくない。 

 雇用調整助成金は、景気悪化で企業が従業員を一時的に休業などさせた場合、その手当てを国が助成する政策。厚生労働省によると、3月の受理数は4万8226事業所(前年3月は77事業所)、対象者は237万9069人(前年3月は1210人)に上った。中小企業の利用が圧倒的に多く、県別では製造業が多い愛知県の利用が突出している。

 厚生労働省では「雇用の維持を目的としており、失業の防止に一定の役割を果たしている」(職業安定局雇用開発課)と説明している。エコノミストからは、この制度がなければ、失業率は7─8%程度まで上昇していてもおかしくない、との指摘も出ている。

 <消費の先行き、政策効果の持続性と雇用・所得環境の綱引き>

 今後、個人消費が本格的に持ち直すかどうか──。内閣府試算では、2009年度の個人消費は前年度比0.3%増とプラス転化する見通し。他方、日銀は展望リポートで「2009年度は雇用者報酬が大きく減少するため、個人消費の減少が続くと予想される」としたほか、2010年度も個人消費の回復は緩慢なものにとどまる可能性が高いとの見方を示している。

 第一生命経済研究所・主任エコノミストの新家義貴氏は「個人消費が4─6月期に一時的に増加に転じる可能性があるが、雇用・賃金環境は厳しく、7─9月期以降はまた悪くなるイメージ。今年度の消費はマイナスになるのではないか」と述べ、消費トレンドの弱さに注目している。

 20日に内閣府が発表する1─3月期実質GDPに関し、ロイター調査では消費が2四半期連続でマイナスになると見込まれている。個人消費は1─3月期に底を打ち、4月以降に持ち直したとしても持続的な動きにつながるかどうか、かなり不透明であると多くのエコノミストはみているようだ。個人消費の動向がどちらに傾くのか、政策効果の持続性と雇用・所得環境の悪化の綱引きとなりそうだ。

 (ロイター日本語ニュース 寺脇 麻理記者;編集 田巻 一彦)

 
 
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