昨夏の原油価格高騰、米経済のリセッション入りの決定打に=著名エコノミストら

2009年 01月 5日 18:22 JST
 
記事を印刷する |

 [サンフランシスコ 4日 ロイター] 米国の景気低迷の直接の原因は住宅市場の崩壊だったが、米経済のリセッション(景気後退)入りに決定打をもたらしたのは、昨年夏の原油価格の高騰だった。4日に当地で開催されたアメリカン・エコノミックス・アソシエーションの年次会合で著名エコノミスト2人がこうした見解を示した。

 

 1年にわたる米景気後退については住宅市場の崩壊が主因とされているが、国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、オリビエ・ブランチャード氏は、原油価格の高騰も過去と同じようなインパクトを米経済にもたらしたと分析。原油価格高騰による影響は「基本的にはまだスタグフレーションの段階だが、明らかに米経済の成長低下の一因となっている」と述べた。

 原油価格は2008年7月に1バレル=145ドルを上回る過去最高水準まで上昇。その後は急落し、現在は1バレル=47ドル近辺で取引されている。

 一方カリフォルニア大学サンディエゴ校のジェームズ・ハミルトン教授は、原油価格高騰により消費需要が冷え込む結果となり、特に自動車産業が手痛い打撃を受けたと指摘。「住宅関連や金融関連の問題がトップストーリーではなかったと言うつもりはない。直接の引き金になったのはその2つだった。しかし(原油価格の高騰により)われわれが直面する問題が耐えられる範囲内から、耐えられない大きさにまで拡大してしまった」と述べた。

 さらに「今回のリセッションが07年末に始まったと考えるなら、原油価格高騰もその要因の1つとして考慮しなくてはならない」と述べた。

 米経済が1980年代初めに約18カ月にわたるリセッションを経験したときも、また1970年代半ばに景気低迷と物価上昇が同時進行するスタグフレーションが起きたときも、原油価格の高騰が原因とされた。これに対し、今回の景気後退は住宅市場の崩壊が果たした役割が際立った特徴のひとつとされ、これまでの景気減速期よりも事態が深刻化している理由として挙げられてきた。

 IMFのブランチャード氏は今回の景気後退に関して、原油価格高騰がもたらした影響はこれまでの景気後退期に比べて小さく、特に1970年代の景気後退期と比べると、原油価格高騰による直接的な影響は約3分の2にとどまったの見方を示した。賃金の伸縮性が増し、インフレ期待が抑制されたこと、さらに経済の原油依存度が低下したことなどにより、米経済の抵抗力が増したため、としている。

 しかしブランチャード氏は、原油価格の高騰が米経済にとって悪材料となったのは事実だとし、「原油価格の上昇はスタグフレーションを引き起こした。インフレ率が上昇し、生産が低下する結果となった」と述べた。

 原油価格と経済情勢との関係を中心に研究を続けてきたハミルトン教授は、米国の自動車産業の国内総生産全体への貢献度に原油価格が及ぼした影響を調査。その結果、原油とガソリン価格の上昇と自動車産業の貢献度の低下の間に明確な相関関係があることが分かった。

 同教授は、原油・ガソリン価格の上昇は07年半ば以降、米国の経済成長率を0.5%ポイント引き下げる要因となったと推定。米経済が住宅市場の崩壊によりリセッションにまっしぐらに突き進むか、低成長に苦しみながらもリセッション入りを辛うじて免れるかの分かれ目になった可能性があるとみている。

 住宅市場の崩壊は、06年第2・四半期から07年第3・四半期までの間、米国の経済成長率を1%ポイント以上引き下げる要因になってきた。しかしその影響はその後やや後退し、リセッションが始まったとされる07年末以降の押し下げ幅は0.90%ポイント程度に低減していた。

 ハミルトン教授は、原油価格高騰による「自動車産業への打撃と消費の低迷がなければ、07年末のリセッション入り、および08年全体にわたる景気の低迷も免れたかもしれない」と述べた。

 

原文参照番号[nN04329629](3000Xtraをご利用の場合、配信後24時間以上経過した記事でも380日以内であれば[ID:nN04329629]でご覧になれます。なお、契約の内容によっては、原文がご覧いただけない場合もあります)

 
 

株価検索

会社名銘柄コード
 

ロイターオンライン調査

写真

メセナ活動は利潤を追求することのみを念頭に置けば「無駄」とみることもできる。しかし、「無駄」が世の中を豊かにする例もないとは言えない。  ブログ 

  • 日本日本
  • アジア
  • 米国米国
  • 欧州
  • 東証1部 値上り率