焦点:洞爺湖サミット、試される議長国日本の調整力

2008年 07月 4日 15:08 JST
 
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 吉川 裕子記者

 [東京 4日 ロイター] 7日から北海道で開催される主要国首脳会議(洞爺湖サミット)は、地球温暖化対策で2013年以降の温暖化ガス削減の枠組み作りに向け、主要8カ国(G8)に中国・インドなど新興国も加わった主要排出国で中長期目標を共有できるかが最大の焦点となる。

 ただ、サミット開幕直前までギリギリの調整が続く難航ぶりで、世界的なインフレ圧力高まりの根源になっている原油価格高騰に対する決定打も見込み難い。地球温暖化もインフレ懸念も世界的な取り組みが持ったなしの状況のなか、議長国として福田康夫首相の指導力と調整力が問われる。

 <原油高騰対処で、G8指針提示を模索>

 サミットの主要議題は、(1)世界経済、(2)環境・気候変動、(3)開発・アフリカ問題、(4)政治問題──の4つ。例年なら、直前のG8財務相会合の成果をなぞらえて終わる経済分野の協議も、今回は、「30年ぶりのスタグフレーション的現象」(バークレイズ・キャピタル証券チーフエコノミスト・森田京平氏)のなかで、状況が一変した。

 歯止めがかからない原油価格高騰に対して、サミットシェルパの河野雅治・外務審議官は「G8財務相会合のメッセージのままでいいのか。首脳としてどのようなメッセージを、どういった言葉で表現するかということが問われている」と指摘。「サミットとして、年後半の原油価格上昇にどう対応するか指針を示さなければならない」と述べ、G8が共有する現状の危機感を示すメッセージ作りが模索されている。

 世界に伝播するインフレ懸念の主因は原油価格高騰など一次産品価格の上昇。6月13日、14日のG8財務相会合では世界の安定成長にとって「重大な試練」との危機感を表明した。その後、緊急開催された産油国・消費国首脳会合ではサウジアラビアが増産計画を打ち出すが、原油高に歯止めはかからず、7月3日には史上初の1バレル145ドルまで上昇した。

 しかし、サミットには中東産油国首脳は参加しておらず、産油国不在では、実効性ある政策協調が打ち出せるかは不透明だ。バークレイズ・キャピタル証券の森田氏は「問題の争点と参加国のミスマッチがある」として政策協調の行方には冷ややか。河野外務審議官も「画期的な処方せんがあるという状況ではないかもしれない」としている。

 福田康夫首相は3日、原油価格高騰問題について「世界全体で考えて、工夫していかなければならない」と述べ、「サミットでもそういう結論になると思う」と述べた。

 <インフレ高進との連動で、ドル安も協議か>

 世界的なインフレ高進を議論するなかで、為替も議論される可能性が出てきた。外務省幹部は、ドル安が原油価格を押し上げる要因になっているとの懸念について協議する見通しを示したが、通貨政策を担当する財務相や金融政策を担当する中央銀行総裁の不在で、主要議題にはならないとみられる。

 サミット開幕に先駆けてブッシュ米大統領は2日、「相対的な経済価値が相対的な通貨価値を決定すると確信している」と述べ、強いドル政策への支持をあらためて表明した。

 米国が「強いドル」政策を繰り返し表明する背景には、インフレ抑制の狙いと「ドル安が原油価格上昇の原因」との議論に対する配慮があるとみられ、首脳レベルで大きな争点にはならないとみられている。

 欧州中央銀行(ECB)が3日の理事会で利上げを決定した欧州サイドからも、米国の強いドル政策に対する表立った批判は聞かれていない。トリシェECB総裁も理事会後の会見で「米当局が強いドルを支持することが重要」と指摘している。

 <温暖化対策協議、長期目標の提示に暗雲>

 「首脳が共通認識に至る道のりは遠い。ここ数日が正念場だ」──。サミット・シェルパの河野外務審議官は3日、地球温暖化対策の協議の厳しさをこう指摘。各国の利害が対立し「ものによっては後退しかねないイシューもある」とも語り、世界全体の長期目標明示に暗雲が立ち込めていることを示唆している。

 地球温暖化対策をめぐる「ポスト京都」の枠組みは2009年の国連会議で決める日程が合意されている。その流れを後押しするために、日本は議長国として今年のサミットでは、2007年合意を一歩も二歩も前進させ、途上国を含む全ての主要排出国が参加する仕組みの構築を目指している。

 2007年のドイツ・ハイリゲンダム・サミットでは、世界全体の温室効果ガスの排出量を2050年までに半減させるという目標を「真剣に検討する」ことで合意した。これを前進させ、正式な「半減」宣言を目指しているが、2050年までの半減を求める日・欧と、中国・インドなど新興国の主要排出国も含めた削減合意が前提とする米国、先進国の努力が先決だとして数値目標を拒む中・印が相互にけん制し合い調整は難航している。

 今週に入ってからは「決して悲観していない」(環境省幹部)との声もあるが、「数値目標明示は5分5分」(外務省幹部)など厳しい見方が広がっている。

 しかも、サミット最終日の9日には、中国やインドも参加して温暖化対策を議論する「主要経済国会合(MEM)」の首脳会合が開かれる。米国は、ブッシュ米大統領のイニシアティブでスタートしたMEMを国際合意の主戦場にしたいとの考えで、こうした政治的な力学も事態を複雑にしている。

 サミットは、6日の日米首脳会談を皮切りに、7日にアフリカ諸国との拡大会合で幕を開ける。8日にはG8首脳の会合を重ね、9日午後までには首脳声明を発表。福田首相が議長として記者会見し閉幕する。

 最終日9日まで残された時間は5日。各国の利害を束ねて、G8首脳が一致してメッセージが出せるかが問われている。河野外務審議官は「国家という枠を超えて、地球全体の問題に首脳がきちんと訴えなければならない状況に立ち至ってきている。誰かひとりでも手を放せばもうサミットにならない。一カ国も脱落がない合意を作りだしたい」と語った。

 
 
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