UPDATE2: 公的資金注入行に対する監督官庁と株主の立場、矛盾するケースは多くない=金融庁長官
[東京 27日 ロイター] 金融庁の佐藤隆文長官は27日の定例会見で、公的資金注入行に対する監督官庁と株主の立場について、矛盾するケースは多くないとの認識を示した。
公的資金の注入を受けている新生銀行(8303.T: 株価, ニュース, レポート)とあおぞら銀行(8304.T: 株価, ニュース, レポート)が経営統合に向けた検討を進めていることが先週末、明らかになった。両行に対し、再び公的資金注入の必要性をめぐる議論が取りざたされており、監督官庁としての立場と株主としての立場の両面をもつ金融庁の判断が注目されている。
注入行に対するスタンスを問われた佐藤長官は「全くの一般論」と前置きしながら、株主が一般的に求める銀行の収益力強化や企業価値の向上などは、金融システムの安定強化にも資する面があると指摘し「監督官庁としての立場と株主の立場が矛盾するケースは多くない」と述べた。
また、一般論として「それぞれの金融機関が現状を分析し、課題を抽出し、将来に備える先を読むという経営姿勢の中で、仮に経営統合が選択肢に入れば、経営判断として進める話」との考えを示したが「仮に経営統合を決めた場合は、全体としての金融機関としての機能強化、ガバナンスの強化、顧客サービスの質の向上、企業価値の向上に結びつけるのが大事」と指摘した。
一方、米シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)による傘下の日興コーディアル証券と日興シティ証券の一部売却で、三井住友フィナンシャルグループ(8316.T: 株価, ニュース, レポート)が優先交渉権を獲得したことが先週末、明らかになった。同長官は、銀行と証券の一体化に向けた動きについて、グループ化の後もリスク管理・法令遵守の態勢が機能し、全体として企業統治が働いた経営の下で質の高いサービスが提供できることが重要とし「そういった観点から、経営の中身をチェックしていく」と述べた。また「利益相反の問題も生じる可能性がある。しっかり管理することが大事」とした。
三重県の第三銀行が、改正金融機能強化法の利用による公的資金の注入の検討を始めた。地域経済活性化のために先を読む経営として資本増強が必要と判断したとする同行について同長官は「こうした発想、取り組み姿勢は歓迎をしたい」と述べ、他の金融機関についても「間もなく定例の株主総会だが、迅速な意志決定ができるよう、優先株発行のための定款変更を含め取り組みをお願いしたい」と語った。
ただ、資本注入が政策目標ではなく、「しっかり金融仲介機能を果たしてもらうこと」が重要だとし「これに沿った銀行経営がなされるのであれば、当局がそれ以上うるさくするものではない」と語った。
<日本の金融セクター、相対的に健全だが高い警戒水準で注視>
国際通貨基金(IMF)が先週発表した国際金融安定性報告書で、米欧日本で組成されたローン・証券の07年から10年までの累計損失額が約4兆ドル(約400兆円)と推計されたことについては「これを見る限り、今後も相当大きな損失が発生すると予想される」と述べた。
一方で、損失見込額を資産残高で除した損失率での比較では、米国が10.2%、欧州が5.0%、日本が2.0%となると説明し「米欧に比べ、日本の金融セクターの相対的な健全性の高さが読み取れる」とも語った。
ただ、株価の下落による減損処理の拡大や、実体経済の悪化に伴う与信コストの増大を受け、多くの金融機関の08年度業績は、減益や赤字見通しとなっているとし「日本も高い警戒水準にしながら、注意深く見ていく必要がある」と述べた。
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(ロイターニュース 平田紀之)
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