UPDATE3: 日本の格付けをAAに引き上げ、財政再建や構造改革を評価=S&P
[東京 23日 ロイター] スタンダード&プアーズ(S&P)は、日本の長期ソブ
リン格付けと長期優先債券格付けをAA─からAAに引き上げた。長期ソブリン格付けに
対するアウトルックは安定的。
S&Pによると、格上げは、財政再建、金融政策の正常化、構造改革に進展が見られる
ことに基づいている。短期格付けはA─1+に据え置いた。
S&Pによると、政府の着実な財政再建への取り組みを受け、日本の財政赤字の対国内
総生産(GDP)比は2002年度末の8.2%から2007年度(2008年3月期)
末には5.0%に低下する見通し。一般政府のプライマリー・バランス(基礎的財政収支
)の赤字額の対GDP比は、2003年度末の4.2%から2007年度末には0.2%
に改善するとみられる。
政府にとっては、財政再建を進めるとともに、デフレ圧力を再燃させることなく民間部
門のリストラを成功させることが課題となっているが、今のところ適切な政策運営が行わ
れているようにみられる、としている。S&Pでは、社会保障債務、財政投融資国債を含
むネットベースの一般政府債務残高は、2012年度までには対GDP比133%の水準
で安定すると予想している。
大手銀行の財務の健全化も進んでおり、2006年9月末時点では銀行セクターの不良
債権比率は2.7%まで低下した。日銀も2006年3月に量的緩和を解除し、日銀当座
預金残高の削減を始めたのに続き、翌日物無担保コールレートの目標金利を2006年7
月に0.25%に引き上げてゼロ金利政策を解除し、さらに2007年2月には0.5%
に引き上げ、金融政策の正常化を進めることに成功しつつある。
S&Pによると、日本経済は向こう数年間は、2004年までの10年間の平均成長率
の2倍、実質2%程度の成長を遂げるとみられる。GDPデフレーターも、今後プラスの
領域にとどまると思われる、としている。
こうした最近の動向に加え、高水準の対外純資産残高や世界の基軸通貨としての円の位
置づけに支えられ、日本政府は潤沢な対外流動性を維持するとともに、世界の資本市場か
ら機動的に資金調達を行うことが可能となっている。絶対額ベースでみた2006年末の
対外純資産は推計2.0兆ドル(経常取引受取額の218%)と世界最大。
S&Pでは、2007年3月末の外貨、金の準備高は9400億ドル、中国に次いで世
界第2位で、経常黒字が続いていることから、対外純資産はさらに増加するとみている。
中期的な視野では、日本は高齢化問題に直面する。2004年度には、国の社会保障予
算の70%に相当する86兆円(対GDP比17%)が高齢化対策に充てられた。社会保
障予算総額は2025年度までには対GDP比26%まで拡大するとみられる。
S&Pによると、政府は2004年の年金制度改革で、公的年金の支給開始時期の繰り
下げ、加入者の保険料の引き上げなどに成功したものの、年金制度を長期的に維持するた
めには、より包括的な改革が必要とみている。
安定的のアウトルックは、現政権が公共部門改革を中期的に継続するとの見通しに基づ
いている。公共部門改革がさらに進展した場合、アウトルックは引き上げられる可能性が
ある。逆に、政府の財政再建がとん挫するようならば、S&Pでは格付けには下方圧力が
かかるとみている。
格上げ 日本
新: 旧:
自国通貨・外貨建て長期ソブリン格付け AA AA─
長期優先債券(既発債) AA AA─
アウトルック:安定的
据え置き
自国通貨・外貨建て短期ソブリン格付け、短期債券 A─1+
格上げ
新: 旧:
国際協力銀行<0#0916=JFI>
発行体格付け AA/安定的/A─1+ AA─/ポジティブ/A─1+
長期優先債券(既発債) AA AA─
公営企業金融公庫<0#0906=JFI>
発行体格付け AA/安定的/A─1+ AA─/ポジティブ/A─1+
長期優先債券(既発債) AA AA─
住宅金融支援機構<0#0943=JFI>
発行体格付け AA/安定的/─ AA─/ポジティブ/─
長期優先債券(既発債) AA AA─
日本高速道路保有
・債務返済機構<0#0905=JFI>
発行体格付け AA/安定的/─ AA─/ポジティブ/─
長期優先債券(既発債) AA AA─
据え置き
日本政策投資銀行<0#0903=JFI>
発行体格付け AA─/ネガティブ/A─1+
長期優先債券(既発債) AA─
・発行体格付けは「長期/アウトルック/短期」で表示。
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