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コラム:欧州国債利回り上昇で「次の動き」探る段階へ
2017年2月3日 / 07:11 / 8ヶ月前

コラム:欧州国債利回り上昇で「次の動き」探る段階へ

 2月2日、欧州の債券市場は、ECBが景気と物価を支えるために「何でもやる」ことを期待する局面から、現在の大規模緩和の軌道修正に向けて「次の動きは何か」を探る段階へと移行した。写真はユーロ紙幣。マドリードで2011年1月撮影(2017年 ロイター/Andrea Comas)

[ロンドン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州の債券市場は、欧州中央銀行(ECB)が景気と物価を支えるために「何でもやる」ことを期待する局面から、現在の大規模緩和の軌道修正に向けて「次の動きは何か」を探る段階へと移行した。

資産買い入れ(量的緩和=QE)終了が視野に入ってきたことで、独国債利回りは上昇。経済状況を見ると、ECBのドラギ総裁をして何でもやると言わしめた危機が今後再燃する公算は小さい。だからといってユーロ圏各国政府が直面する選択は、気楽になるどころか厳しさが増している。

ある面では利回り上昇は朗報の裏返しだ。ユーロ圏の緩やかな物価上昇と景気回復は、ECBが2017年末にQEを打ち切れるかもしれないことを意味している。つまり債券市場は、価格形成を通じて政府の責任を問う役割を取り戻せる。

独10年債は16年9月以降におよそ60ベーシスポイント(bp)上がったが、なおECBがQEを開始する前の14年終盤の半分の水準にもなっていない。さらに加盟諸国の財政は12年時点より改善している。国際通貨基金(IMF)は、スペインとフランス、イタリア、アイルランド、ポルトガルの財政赤字の対国内総生産(GDP)比率の16年平均が3%を下回り、14年の4%超から低下したと推計する。

それなのに信用リスクが相対的に高いとみなされている諸国が支払うプレミアムは、以前よりも大きい。投資家が懸念しているのはイタリアの高水準に膨れ上がった債務、あるいはフランス大統領選の行方だ。スペイン国債利回りの対独国債スプレッドは12月以降で20bp超も拡大し、イタリア国債のスプレッド拡大幅はその2倍近い。こうした動きは、じわじわと企業の借り入れコストに波及していくだろう。

これらの諸国が債務を管理可能な範囲に抑え続けていけるのか投資家が不安視している面もあるかもしれない。イタリアは今の1.8%という支払い金利水準なら、たとえ名目成長率が2%程度と低くても、借入総額を減らしていけるだけの基礎的財政収支黒字がある。だが金利水準が一定期間以上にわたって4%を超えてしまうと、苦境に陥る。既にポルトガルは、債務の持続可能性が瀬戸際まで追い詰められている。

ECBはQE打ち切りを18年以降に先送りしたり、銀行に低コストの資金をこれでもかというほど供給することができる。とはいえ、金融政策だけでユーロ圏をしっかりと結束させるのは不可能だ。恐らくは域内全体の財政の緩和や、一層の経済改革推進、大半の重債務国向けの債務再編措置などが求められる。近年はユーロ圏に対してこうした問題への取り組みを迫る圧力は弱まっていたが、もはやそうした状況にはない。

●背景となるニュース

*独10年債利回りは1月2日以降で30bp上昇し、0.47%となった。イタリア10年債利回りはこの間に60bp上がって2.3%に達した。

*ECBは毎月の資産買い入れ額を3月まで800億ユーロ、4月から12月まで600億ユーロとしている。

*ECBのドラギ総裁は1月、金融引き締めに動く前に「持続的な物価上昇率の(上方)修正」を確認することが不可欠だと指摘。引き締めの条件として、物価上昇の持続性、裾野の広さ、自律性など4つを挙げた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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