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焦点:日銀は円高・株価変動注視、長期化なら物価下押しリスク拡大も
2016年2月23日 / 11:03 / 2年前

焦点:日銀は円高・株価変動注視、長期化なら物価下押しリスク拡大も

[東京 23日 ロイター] - 1月の金融政策決定会合後、急速に進んだ円高や株価の変動が長期化するのかどうか日銀は注視している。仮に今の円高水準が長期化した場合、企業マインドが悪化し、賃上げや設備投資の動向に影響しかねないためだ。

 2月23日、1月の金融政策決定会合後、急速に進んだ円高や株価の変動が長期化するのかどうか日銀は注視している。仮に今の円高水準が長期化した場合、企業マインドが悪化し、賃上げや設備投資の動向に影響しかねないためだ。写真は日銀、2015年5月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

日銀内では一部で2016年度の消費者物価(CPI)上昇率がゼロ%前半にとどまりかねないと懸念する声もある。マイナス金利導入の効果も含め、日銀は内外の経済情勢を慎重に判断していく。

<懸念される市場変動と賃上げの悪循環>

日銀はマイナス金利政策を導入した1月29日の金融政策決定会合で、物価見通しを下方修正し、物価目標の達成時期を従来の「16年度後半」から「17年度前半」に先延ばしした。

その後、企業収益に大きな影響を与えるドル/円JPY=EBSは、111円を一瞬割り込み、112円台で推移する時間帯が長くなっている。日経平均.N225も乱高下を続けた後に1万6000円近辺で上値が重い。

日銀では、1月会合後に進んだ円高・株安を日本の経済・物価に対する追加的な悪材料と位置づけており、動向を注視している。

1月会合では金融市場の不安定な動きが企業心理に影響し、デフレマインドの転換を遅らせるリスクが増大していると判断し、追加緩和に踏み切った。

その後も市場の不安定な地合いは継続しており、世界的な株価下落は輸出系の大規模製造業を中心に経営者のマインドを急速に慎重化させ、再びリスクが顕在化しつつある。

世界経済と金融市場の不透明感の強まりを受け、労働組合側も短期的な賃上げよりも安定雇用確保を重視するスタンスを鮮明にしつつある。このため16年度の春闘で、ベースアップは前年の水準を下回るとの見方が、労働界で広がりつつある。

日銀内ではこれまで、ベアは期待インフレ率の代理変数、との見方もあり、物価下押しへの影響は無視できない状態だ。

<16年度CPI、0.5%ポイント下押しの試算も>

1月に作成した16年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)見通しでは、それまでの前年比プラス1.4%から同0.8%に引き下げた。複数の関係筋によると、その際に試算の前提として採用された市場価格の多くは、ドル/円120円だったという。公表されている原油価格の前提もドバイ産でバレル35ドル─40ドル台後半だったが、足元29ドルにとどまっており、円建て原油価格はすでに下振れて推移している。

日銀内では、為替前提を120円から115円へと円高方向に置き直すと、1)エネルギー価格の下落、2)企業収益の下押し──などから、コアCPIで0.2─0.3%ポイント程度の下押しになるという試算もあるようだ。

円高やベアなどの影響を総合して試算すると、16年度コアCPIを0.5ポイント程度下押しするとの結果も存在しているもようだ。その試算を機械的に当てはめると、コアCPIは16年度0.3%、17年度1.3%となる。

<物価の基調も正念場>

一方、国際エネルギー機関(IEA)が22日に公表した報告書では、世界の原油市場は17年にバランスを取り戻し始めると明記された。その結果、米原油先物は22日に1バレル=31ドルまで上昇。マーケットには下げ止まりへの期待も膨らんでいる。

ところが、そうした原油下げ止まりにもかかわらず、物価見通しが下振れた場合、日銀がこれまで説明してきた原油要因の物価下落とはいえなくなる状況に直面する。

その意味するところは、需給ギャップやインフレ期待という「物価の基調」が変調を来しているリスクの増大と言えるだろう。

日銀が導入したマイナス金利には、銀行がキャッシュを抱えているだけでは、損失が出てしまうというメカニズムが内包されている。銀行から企業へとキャッシュの押し出し効果が波及していけば、企業は設備投資や賃上げ、海外でのM&Aや証券投資に資金を回すことが予想される。

そういう波及が起こる過程で、経済活動が活発化し、需給ギャップが縮小して、期待インフレ率の高まりとともに物価上昇方向への力が働き出す──というのが、理想のパターンだ。

そのプラス方向の力と、足元で展開されている円高・株安の力のどちらが優勢になるのか、市場は日銀の金融政策の「次の一手」も想定しながら、その結果を瀬踏みしている。

竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦

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