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焦点:日銀、新たな枠組みで円急伸なら追加緩和辞さず
2016年10月3日 / 22:26 / 1年前

焦点:日銀、新たな枠組みで円急伸なら追加緩和辞さず

 10月3日、日銀が9月の金融政策決定会合で打ち出した長短金利操作付き量的・質的金融緩和について市場では、金融機関などに対するマイナス金利の副作用や、国債買い入れの限界などに配慮した枠組み変更だとして、追加緩和に懐疑的な見方もある。写真は日銀本店。9月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 4日 ロイター] - 日銀は9月の金融政策決定会合で、従来の「量」に代わり「金利」をより重視する長短金利操作付き量的・質的金融緩和を打ち出した。市場では、金融機関などに対するマイナス金利の副作用や、国債買い入れの限界などに配慮した枠組み変更だとして、追加緩和に懐疑的な見方もある。

だが、日銀では急激な円高進行などで2%の物価安定目標の実現が危うくなれば、マイナス金利の深掘りなど追加緩和をちゅうちょなく発動する構えだ。

9月会合で日銀は、3年半の大規模な緩和策の効果と影響を総括。マネタリーベース(量)と予想物価上昇率の関係について「短期的に密接にリンクしているわけではない」(黒田総裁、9月21日会見)などの見方から、金融緩和の度合いを図る目安として、国債買い入れを年間80兆円増加させる目標を撤回し、短期金利と長期金利の目安を示すイールドカーブ・コントロール(YCC)を新たに導入した。

過去の金利水準や景気動向(需給ギャップ)から、カーナビなどに利用される数学的手法を駆使し、景気を過熱も引き締めもしない均衡イールドカーブを試算。均衡イールドカーブを念頭に目安とする長短金利を上げ下げするという世界の中銀の中で、前例のない取り組みをスタートさせた。

背景には、同じ金利引き下げでも、中短期金利のほうが超長期金利よりも、景気刺激効果が大きいとの分析がある。

しかし、日銀は9月会合で中短期金利の引き下げを狙ったマイナス金利幅のさらなる拡大を見送った。

一方、前週末に公表した10月の国債買い入れ運営では、長期や超長期の買い入れを減額し、量を重視した立場からみると「金融引き締め」に転じたようにもみえる。

市場では「日銀は新たな枠組みの政策効果を見極めるため、しばらく政策は様子見の公算が大きい」(ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミストの上野剛志氏)との観測が広がっている。

ある政府関係者は「7月会合で上場投資信託(ETF)の買い入れ額を倍増したことで、多少の円高でも株が下がりにくくなった」として、日銀にさらなる緩和強化を必ずしも期待しているわけではないと述べている。

日銀内にも、欧州や中国発の金融危機発生の可能性は、一時期より遠のいたとの見方が増えている。

ただ、世界各国の地政学リスクが引き金となり、リスク回避の円買いが企業の対応を超えるペースで急速に進めば、追加緩和も辞さないとの意見が少なくない。

今回「量」から「金利」に政策運営の主軸を移したものの、「経済・物価情勢や金融市場の状況などによって、金利の大幅な低下を伴う強力な金融緩和が必要な場面もあり得る」(9月26日・大阪講演)と黒田東彦総裁も明言。

金融市場にショックが発生した場合には、マイナス金利の深掘りや、量的な拡大もありうる点を強調している。

もっとも、マイナス金利を深掘りすれば、銀行株の下落圧力となりかねない。長期金利はすでに市場の低下圧力が高く、前週は国債買い入れの減額に踏み切ったばかり。長期金利の目標のみを引き下げればイールドカーブが再びフラット化し、金融仲介機能に悪影響を及ぼす可能性があることは、日銀自身が総括的な検証で指摘している。

長短金利の引き下げを中心とした追加緩和策の効果と副作用のバランスは微妙で、新たな枠組みの下でも、次の一手が難しい判断になる状況に変わりはない。

竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦

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