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焦点:勢い欠く省力化・IT投資、人材不足や法規制が足かせ  
2017年7月10日 / 23:33 / 3ヶ月前

焦点:勢い欠く省力化・IT投資、人材不足や法規制が足かせ  

[東京 11日 ロイター] - 国内の設備投資に減速感が出てきた。人手不足を補う省力化やIT化投資を中心に設備投資を押し上げるとの期待感が強かったが、先行指標である機械受注に勢いがみえず、ウエートの大きい非製造業などで広がりに欠けているのが目立つ。

 7月11日、国内の設備投資に減速感が出てきた。人手不足を補う省力化やIT化投資を中心に設備投資を押し上げるとの期待感が強かったが、先行指標である機械受注に勢いがみえず、ウエートの大きい非製造業などで広がりに欠けているのが目立つ。埼玉県加須市の工場で2015年7月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

人材不足や法規制などの要因が足かせになっており、生産性改革で潜在成長力の浮揚とデフレ脱却を目指す政府ののシナリオに狂いが生じかけている。

<機械受注は2期連続減少へ>

「人手不足で機械化投資が活発化すると言われていたが、今のところ、企業からはあまり聞かない」──。

内閣府は、企業からのヒヤリングで、期待していたような省力化投資の話は、4─6月期に続き、7─9月期についても出てきていないと打ち明ける。

5月機械受注は事前の期待より受注額が伸びず、4月に続いて前月比3%台の減少となった。受注額は2四半期連続の減少となる公算が高まっている。

通常、機械受注は半年程度のタイムラグを置いて国内総生産(GDP)ベースの設備投資に影響すると言われている。GDPベースの設備投資は、今年前半は伸びが続く見通しだが「秋以降の設備投資が鈍化する可能性がある」(みずほ総研・主任エコノミスト・徳田秀信氏)との見方が浮上している。

政府は、実質2%・名目3%の経済成長達成に向けて、安倍晋三首相主導で「生産性向上国民運動推進協議会」を立ち上げたほか、未来投資戦略を策定して、ロボット革命や自動化の推進を盛り込んだ。

こうした動きが人手不足と相まって、今年は加速するとみられていたが「機械受注は、人手不足感の強い業種で期待外れだった」(SMBC日興証券・シニアエコノミスト・宮前耕也氏)といった声も聞かれる。

<人手不足で難しくなった業容拡大>

足元の人手不足感は一段と厳しくなっており、有効求人倍率は43年ぶりの高水準に跳ね上がった。しかし、省力化投資が期待ほど盛り上がっていない背景には、何があるのか。

背景の1つに、事業拡大が人手不足によって難しくなっている点が指摘されている。BNPパリバ証券・白石洋氏は「設備投資に加速が見られないのは、日本経済が既に完全雇用に達しており、多くの業種において人手不足で業容の拡大が難しくなっていることが一因」とみている。

2つ目として、人口減少における日本の国内市場の縮小が、設備投資拡大に「二の足を踏ませる」影響もある。

ロイター6月企業調査でも、今後3年間で最も深刻な課題について、非製造業では「人手不足」との回答が45%を占めてトップとなったほか、「サービスを縮小せざるを得ない」との回答した企業も21%となった。

企業からは「単なる人手不足というよりも人材不足」によって、業容拡大やIT投資も思うように推進できない、といった声が漏れている。

また、「将来の人口減少を考えると、人手不足にどこまで対応が必要になるのか判断が難しい」(化学)といった声もある。

さらに非製造業では、自動化投資と言っても、製造業のように実用化が進んでいない現実もある。工事現場でロボットが登場するには、まだ相当時間がかかりそうであり、スーパーのレジを無人化するシステムの導入も、さまざまな実験は水面下で進んでいるもようだが、大規模に導入する計画を発表した企業はゼロだ。

こうした中で「一部運輸企業でのサービス縮小や、ファミリーレストランでの24時間営業の取りやめなど、大手企業でさえサービス提供を一部『あきらめ』ている。それだけに、中堅・中小ではそうした事例は山ほどあるとしてもおかしくない」とSMBC日興証券の宮前氏は分析する。

そのうえで「機械化投資のコストをかけても人口減少を見通せば、業務一部縮小により利益確保を図ることも考えられる。もう少し様子を見て、前年の反動なのか、業務縮小の動きなのか、判断したい」と述べている。

<今後に期待残す日銀短観>

もっとも、今年度の設備投資にはまだ期待が残るとの声も多い。6月日銀短観での設備投資計画がしっかりとしていたためだ。

政府関係者の一人は、今のところ投資計画の中心は維持更新投資や研究開発投資になっていると指摘。省力化投資の声は少ないとはいえ、設備投資計画に表れるのはこれからだとすると、さらに上振れの余地もあると話す。

一方、みずほ総研の徳田氏は、やや中期的な見方として「非製造での省力化投資、IT投資には、ドローンでの配送が現状では難しいなどの規制の問題も残っている。規制緩和が検討されていけば、今後は徐々に設備投資が出てくるはず」とみている。

中川泉 編集:田巻一彦

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