〔焦点〕中銀マネーで消化する増発国債、金利上昇リスクなお消えず

2009年 07月 2日 16:57 JST
 
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 山口 貴也記者

 [東京 2日 ロイター] 政府が追加経済対策に踏み切ったことで増額発行となった10年物の利付国債入札は、これまでタブー視されてきた「発行額2兆円超え」の悪影響もみられず、国債市場参加者の間で安どの声が広がった。しかし、金融危機回避を狙って日銀が放出した資金が民間金融機関にとどまり、消去法的な買いが長期国債に及んだに過ぎず、国債の再増発や不安定な海外金利を背景にした金利上昇リスクはくすぶり続けている。

 <落札テールが3銭に半減>

 財務省が2日実施した新発10年利付国債(302回債、表面利率1.4%)の入札は、最低落札価格が100円37銭、平均価格は100円40銭となり、入札の好不調を示す「テール」は前回の6銭から3銭に縮小した。価格競争入札における1回の発行額が、これまでの1兆9000億円から2兆1000億円に増額されたこともあり、応札倍率は2.26倍にとどまったが、結果を受けた国債市場では「不安の種がひとつ消えた」との声が上がった。

 増発供給に関わらず無難だった背景には、銀行勢の存在がある。

 日銀が、企業金融支援特別オペや企業が発行するコマーシャル・ペーパー(CP)買い切りなどの「異例の措置」に踏み切り、資金供給手段を多様化したことで企業金融の目詰まり解消は鮮明だ。一方で企業向けの資金貸し出しは伸び悩んでおり、例年より余裕資金を抱え込む金融機関は少なくない。

 日銀が1日発表した6月全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業・業況判断指数(DI)がマイナス48となり、前回の3月短観から10ポイント改善、先行きはさらに18ポイントの改善が見込まれ、業況感の改善が続く見通しとなった。ただ、設備投資計画は大企業全産業で前年度比9.4%減と6月短観としては過去最大の減少率となっており、企業の資金需要は高まりそうにないのが実態だ。

 ビー・エヌ・ピー・パリバ証券東京支店の島本幸治・投資調査部長は「追加経済対策に伴う7月以降の国債増発は前押しして織り込んでおり、目先は、滞留していた投資家の資金流入が債券需給を引き締めそう」と指摘する。

 <荷もたれ感じわり醸成も>

 財務省によると、2009年1―6月の国債落札順位は、1)落札総額(デュレーション換算値)、2)長期国債(10年利付国債と10年物価連動国債)、3)中期国債(5年利付国債と2年利付国債)の3部門で、野村証券やみずほ証券、大和証券SMBCなどの証券大手を押さえ、三菱東京UFJ銀行がトップに躍り出た。

 しかし、こうした懐事情が続くかどうかに懐疑的な声もある。大和証券SMBCの末澤豪謙・金融市場調査部長は「2日の入札では第2・四半期入り直後で銀行勢からの債券残高積み増しの需要があり、証券会社など業者が在庫手当てに傾いたが、問題は9月の中間決算期末に向けて好調な国債入札が続くかどうか」と話す。

 プルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパンの坂口憲治・投資運用本部長は「銀行などの民間金融機関の国債投資が相場を押し上げてきたが、こうした待機資金はすでに流入しており、今後の金利低下を主導する投資主体が見当たらない。入札のたびに投資家需要が試され、市場に大きなネガティブインパクトを与える可能性もある」と指摘する。

 国債市場をめぐっては、歳入欠陥や追加経済対策に伴う新規国債の再増発、米財政問題に絡んだ米国債買い切り増額の「催促相場入り」などの金利上昇要因がくすぶり続けている。大手銀行の関係者は「強気見通しなら国債を買うのにヘッジなどしない。これからどうなるかは不透明だ」と漏らす。

 (ロイター・ニュース 山口 貴也記者 編集;橋本 浩)

(takaya.yamaguchi@thomsonreuters.com; 03-6441-1792; ロイターメッセージング:takaya.yamaguchi.reuters.com@reuters.net)

 
 

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