COLUMN-〔インサイト〕改革復活の胎動、混とんは朗報か=Mスタンレー フェルドマン氏

2008年 04月 2日 13:30 JST
 
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 内外投資家の間では、「セル・ジャパン」が相変わらず優勢だが、投資家が待っている改革路線に戻る胎動はある。それは2つの「統治」次第である。

 <日本売りの理由は十分ある>

 投資家の失望感の半分は企業統治、半分は国家統治の欠如に由来する。上場会社の経営者が買収防衛策を(自らの)保身のために悪用しているという印象が内外共通の認識である。本来は裁判で争うはずがないのに、裁判所を使うことは経営者の自信喪失を浮き彫りにした。投資家の目から見れば、法制度は予見性も経済論理も不透明なので、わざわざ日本で投資することは危険すぎる。

 北畑(隆生・経産省事務次官)発言も内外投資家の日本観を悪くした。次官が不適切な表現を使っただけではなく、資本主義原則さえ理解していない印象を与えた。加えて、事務次官が進行中の個別案件に言及したことは公務員の中立義務を犯し、投資家の反感をあおった。

 <国家の統治も故障>

 国家の統治も問題だ。対日投資を呼び込もうとする中、空港施設投資に制限を新しく掛けようとする政策妨害も、日銀総裁を合意できないことも、道路特定財源のドタバタも、故障の証拠である。

 問題の根源は、自民党でも民主党でも、各党内の政策哲学の矛盾である。大きな政府か小さな政府か、積極外交か消極外交かに関して両政党内もまとまらない。当然、政党間の合意は難しい。

 <要らない道路を作る政策、通らなかったことは歓迎すべき>

 政策の混とんは失望の基だが、違う観点からみると朗報である。日銀総裁を選べないのは恥だが、従来通りの選び方は21世紀には合っていない。不十分なことが通らなかったのは歓迎すべきだろう。

 道路特別財源も同様だ。要らない道路をたくさん作ることは得策ではない。従来通りの政策が通らなかったことは歓迎すべきことだ。

 政党間の争いは美しくない。だが、日本の民主主義が生きている。

 だが、民主主義が生きていても、それは対日投資の理由にならない。経済が成長し、企業収益が伸びるかどうかが重要だ。すなわち、日本の民主主義が制度の逆戻りへの動きを止めたが、現在の状況は、政策方向が明らかになったとは言えない。

 <総選挙の実施、政策の方向性明確にするチャンス>

 政策方向は、今の衆議院では決まらない。両大政党内の乱れが深すぎるからだ。自公の大多数は、小泉純一郎元首相が改革を進めたからできたが、今は同じ大多数は反改革派の道具である。民主党の参院選勝利は、参院の不公平な議席配分と小沢一郎党首の賢い戦術の結果に過ぎない。

 すると、総選挙なしに政策方向の決定なしということになる。選挙あっても方向なしの場合もあるが、これは選挙を延期する理由にならない。決まらないままだと、日本経済の価値が必ず悪化する。選挙をして初めてまひ脱出が可能となる。

 加えて、政策方向が決まらない期間が長ければ長いほど、内外投資家の日本に対する信頼回復へのハードルが高くなる。時間との戦いである。

 内外投資家は日本の潜在価値を理解しているが、触媒がない。潜在価値を顕在化する企業統治と国家統治の改善が、高齢者を食べさせる唯一の鍵である。

 ロバート フェルドマン モルガンスタンレー証券 経済調査部長

 (2日 東京)

 

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