主要国首脳会議は経済が最悪期脱しつつあると表明へ、準備通貨問題では波乱も
[パリ 5日 ロイター] イタリアで8─10日に開催される主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)で、世界各国の首脳は、世界的な経済危機が最悪期を脱しつつあるとの見方を示す見通し。中国が基軸通貨としてのドルの役割について異論を唱えるなか、準備通貨問題が火種になる可能性もある。
中国はドルに代わる準備通貨の創設を提唱しており、関係者によると、サミットで準備通貨問題について議論を行うよう要請した。市場ではドル資産の価値に対するリスクが警戒されており、準備通貨は微妙な問題だ。
中国は現在、外貨準備の相当部分を米国資産で運用していることから、長期的なゴールが短期的な市場の混乱を引き起こし、ドルが急落することがないよう、気を配っている面もある。中国の何亜非外務次官は5日、「米ドルは依然として、最も重要かつ主要な準備通貨だ。この状況は、今後長年にわたって続くと信じている」との見解を示している。
サミットでは、主要国とロシアが8日に会合を開き、翌日には中国やインド、ブラジルなども加わり、経済問題などについて話し合う予定。
メルケル独首相は、各国がすでに大規模な対策を講じているため、今回のサミットで大胆な景気対策は打ち出されない、と指摘した。9月に米国で開く20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)の方が関心を集めている、とも述べた。
エコノミストは、サミットでは危機を封じ込めるための協力と、世界経済に関する新たな秩序構築へのコミットメントが示されるのがせいぜい、とみる。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「慎重な交渉の末に発表される共同声明を超えた、より深い協調は望めない。各国政府は大胆な景気対策を行ったため財政が悪化し、赤字が歴史的な水準に膨らむ中、外国の生活水準を向上させる余裕はない。資源は国内の雇用対策に振り向けられる」との見方を示した。
<最大の火種は準備通貨問題>
議長国イタリアのベルルスコーニ首相は、経済の現状に関する首脳らの見解をまとめるにはそれほど手こずらないだろう。つまり、状況は安定しつつあるが、困難を脱したとは言えない、との見方で一致する見通しだ。
経済協力開発機構(OECD)は6月24日、経済見通しを2年ぶりに上方修正。OECD加盟30カ国の2009年の成長率はマイナス4.1%とし、前回見通しのマイナス4.3%から上方修正した。また、2010年はプラス0.7%とし、前回のマイナス予想を引き上げた。
ただサミットで、巨額の財政出動や借り入れを早期に解消する「出口戦略」を確約することには、一部首脳が難色を示すとみられる。
OECD加盟国の財政赤字は2010年までに07年の6倍に増加、国内総生産(GDP)比では1.4%から8.8%に拡大する見通し。
米国、英国、フランス、日本などは「出口戦略」について、原則では合意しても、明確な誓約は渋るとみられている。関係筋によると、ドイツは「出口」問題で前進を図りたい考えだが、強硬な抵抗に遭い、曖昧な文言でのコミットメント以外は得られない見通し。
最大の火種は準備通貨だ。中国は準備通貨問題について、サミットで議論するよう要請したとされており、匿名の関係者は、準備通貨について声明で言及するよう、中国が求めてくる可能性がある、としている。
準備通貨に関する議論を行うことについてはブラジルとインドも同調しているとされるが、少なくともG8(主要8カ国)の間では、現時点で大きな変革が実現することはないとのコンセンサスがあるという。
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