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ブログ:仏大統領選、スキャンダルで深まる混沌
2017年2月13日 / 08:09 / 7ヶ月前

ブログ:仏大統領選、スキャンダルで深まる混沌

 写真は2日、シャルトル大聖堂(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

[シャルトル(フランス) 9日 ロイター] - フランス中部の都市シャルトルは過去数十年、大統領選の行方を占ううえで重要な手掛りを提供してきた。だが今春の大統領選を控え、このホワイトカラー中心の都市が発するシグナルが読みにくくなっている。スキャンダルによって反主流派の感情が高まっているからだ。

13世紀のゴシック様式の大聖堂で知られ、高所得者の多いシャルトルでは、少なくとも過去4度の大統領選において、全国の決選投票の結果とほぼ一致した得票状況が見られた。

パリから南西に90キロ離れたボース平原に位置するシャルトルは、ゲラン(LVMH.PA)などの香水メーカーやデンマークの製薬企業ノボノルディスクなどを地元産業として抱えている。中道右派の候補者フランソワ・フィヨン氏にとっては有望な票田となるはずだった。

62歳で首相経験もあるフィヨン氏は、風采が良く清廉なイメージがあり、過去15年以上にわたって保守派の市長が率いているシャルトルでは好印象を持たれていた。

だが、同氏の家族が多年にわたり議会から不正に高給を得ていたという不面目な疑惑が表面化したことで、そのイメージに傷がついた。

写真は1日、仏シャルトルでロイターの質問に答える86歳のモーリス・ボーザックさん。手にした黒板には「誠実さ」と書かれている(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

写真は1日、仏シャルトルでロイターの質問に答える86歳のモーリス・ボーザックさん。手にした黒板には「誠実さ」と書かれている(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

ロイターがシャルトル中心部で100人に聞いたところ、半数以上はまだ投票先を決めていないと答えた。ただしこの調査は、1カ所の意見を切り取ることを意図したもので、フランス全体の世論を反映するものではない。

シャルトル市民の多くが投票先を決めかねている要因の1つは、フィヨン氏をめぐる疑惑だ。

「わが国の政治家に関して、誠実さという言葉が意味を持たない時代になっている。先週、その露骨な例がいくつか見られた」。86歳のモーリス・ボーザックさんは、ロイターの取材チームにこう語った。

  写真は1日、仏シャルトルでロイターの取材に応じる77歳のマリーフランソワーズ・ラジェンテさん。手にした黒板には「統合」と書かれている(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

写真は1日、仏シャルトルでロイターの取材に応じる77歳のマリーフランソワーズ・ラジェンテさん。手にした黒板には「統合」と書かれている(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

このスキャンダルが2週間前に浮上するまでは、自由市場体制に基づく規制緩和と、慢性的な高失業率の改善を訴えるフィヨン氏は、エリゼ宮(フランス大統領府)をめざすレースの本命と見られていた。

だが今や、世論調査ではフィヨン氏が初回投票で敗北しそうだという結果が出ている。さらに、主要政党が欧州全体で勃興するポピュリズムと戦うなかで、現与党である社会党のブノワ・アモン氏もフィヨン氏同様に初回投票で消える、と世論調査では予想されている。

5月7日の決選投票に進みそうな有力候補は、極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首、無所属の候補者エマニュエル・マクロン氏だが、マクロン氏はまだ完全なマニフェストを発表していない。

シャルトルでのロイター調査では、25%が最大の関心事として失業を挙げたのに対し、19%は政治家の誠実さ(つまり正直さ)の欠如が最大の懸念であると述べている。

<政治不信>

 写真は1日、仏シャルトルでロイターの質問に答える86歳のモーリス・ボーザックさん。手にした黒板には「誠実さ」と書かれている(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

シャルトルにおける高い態度未決定率は、今回の大統領選で勝つチャンスがまだ多くの候補に残されていることを裏付けている。また、多くの有権者が政治エリートに対して抱いている不信感を示している。

花屋を経営するセバスチャン・ルノーさん(35)は「人々は政治への関心をますます失っている」と言う。「鮫がお互いを食い合っているような、そういう世界だから」

写真は1日、仏シャルトルのジャンピエール・ゴルジュ市長(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

写真は1日、仏シャルトルのジャンピエール・ゴルジュ市長(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

こうした感情は主要政党にとっては頭痛の種となっている。特にシャルトルでは、失業率が10%近い全国平均より約2ポイント低く、給与所得の中央値が年間3万ユーロと、同規模の小都市のなかで上位10位に入るだけに、なおさらである。

「フランス全体と同様に、シャルトルでも伝統的な政治システムに対する幻滅はある。しかしそれは、最近の出来事のせいだけではない」と語るのはジャンピエール・ゴルジュ市長だ。

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「単に、この国の状況が過去40年にわたって悪化し続けてきたということだ。ほぼすべての人が、家族のなかに失業者を抱えている」

写真は1日、仏シャルトルで何が大統領選挙の争点かについてのメモを貼ったボード(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

写真は1日、仏シャルトルで何が大統領選挙の争点かについてのメモを貼ったボード(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

退任間近のオランド仏大統領は、2012年に選出されたとき、雇用の創出を公約に掲げ、銀行業界を「主要な敵」として名指し、富裕層への増税を約束することで社会党支持者の心をつかんだ。

だが、その後、同大統領は、法人税減税、企業による雇用や解雇を容易にする法制といった改革を進めた。伝統的な社会党支持者からは、左派の価値観に対する裏切りと見られる政策である。

写真は2日、仏シャルトル近郊の国民戦線党オフィスに飾られたルペン党首のポートレイト(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

写真は2日、仏シャルトル近郊の国民戦線党オフィスに飾られたルペン党首のポートレイト(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

現在、仏労働者の利益を真に守護する者だと自らを宣伝し、自由貿易を激しく批判しているのは、反EU派のルペン党首である。こうした流れを受けて、国民戦線のなかには、フィヨン氏のスキャンダルは自党に追い風になると楽観的に見ている人もいる。

「この状況は、明らかにマリーヌ(・ルペン氏)にとって有利に働くと思う」と国民戦線の地域支部を率いる若手のアレクサンダー・ニコリック氏は語る。

ニコリック氏は、ロイターの調査における回答者が挙げる関心事のなかで「移民」や「安全保障」の順位が低いことに驚きを隠さなかった。「私たちがこの地域で彼らの関心事を尋ねると、安全保障と移民が明らかにトップに来るのだが」

写真は2日、仏シャルトルの大聖堂(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

写真は2日、仏シャルトルの大聖堂(2017年 ロイター/Stephane Mahe)

(写真:Stephane Mahe、翻訳:エァクレーレン)

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