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リスクオンの底流にリスクオフ要因、ファンド主導で短命の可能性も
2016年10月6日 / 10:16 / 1年前

リスクオンの底流にリスクオフ要因、ファンド主導で短命の可能性も

 10月6日、強い米経済指標が相次ぎ、円安・株高のリスクオンが進んでいるようにみえる。しかし、その動きの表層をめくってみれば、リスクオフ的な要因を起点にした取引でもあることがわかる。米ウォールストリートのサイン、2013年10月撮影(2016年 ロイター/Carlo Allegri)

[東京 6日 ロイター] - 強い米経済指標が相次ぎ、円安・株高のリスクオンが進んでいるようにみえる。しかし、その動きの表層をめくってみれば、リスクオフ的な要因を起点にした取引でもあることがわかる。

本格的な円安・株高トレンド再開を期待する声もあるが、ヘッジファンドなど短期筋が主導している相場だけに、短命に終わる可能性も小さくない。

<円安は本物か偽物か>

ドル/円JPY=が75日移動平均線を突破し、一目均衡表でも、いわゆる「雲」を抜けてきた。年初からの円高トレンドが終わり、100円を底にした円安トレンドが始まったとみる声もある。

しかし、円主導の円安とは言いにくい。ドルとユーロの実効為替レートはともに上昇。その反射的効果として円の実効レートも下落しているが、足元の為替を動かしている材料はあくまで海外だ。

米国では、製造業に続き非製造業も強かった9月の米ISM景気指数などを材料に11月の米利上げ期待が浮上。欧州でも欧州中央銀行(ECB)によるテーパリング観測を背景に金利が上昇している。ドルとユーロの上昇は、欧米金利の上昇が主要因だ。

一方で、日銀の新枠組みの導入といった日本側の材料が足元の円安の主要因である可能性は小さい。野村不動産ホールディングス(3231.T)や東急不動産ホールディングス(3289.T)などは前日5日に年初来安値を付けた。日銀の金融緩和政策が最も効くとみられているセクターの株価はさえない。

IMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(27日までの1週間)で、円の買い越しは6万8892枚で5カ月ぶりの高水準に増加していた。足元の円安は「ヘッジファンドなど投機筋のポジション巻き戻しに過ぎない」(三井住友信託銀行・為替セールスチーム長の細川陽介氏)との見方が多い。

<底流にあるリスクオフ>

為替相場は2つの通貨で作られる。日本側の材料が乏しいとしても、海外の材料が効果を持ち続ければ、円安は持続可能だ。しかし、米国と欧州の2つの金融政策をめぐる思惑は、リスクオフの円高材料にもなりかねない。

国際通貨基金(IMF)による2016年の米成長率予想は1.6%と、7月予想の2.2%から下方修正した。米利上げは金利上昇とドル高をもたらす。米経済がそれらをこなして力強く上昇していける体力があるかは微妙だ。

IMFは、ユーロ圏の成長率予想を1.6%から1.7%に引き上げた。ECBのテーパリング観測が出ているのは、景況感の改善が背景にある。しかし、ドイツやイタリアなどでは金融不安が依然としてくすぶっている。

カウンターパーティリスクの増大で、ドル調達コストは高止まりしており、7年7カ月ぶりの高水準だ。5日の海外市場で米株は上昇したが、欧州株は下落。英ポンドも歴史的な低水準にある。ECBのテーパリング観測がリスクオフ材料に変わる恐れもある。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は「ドル高は米国への資金逃避。ユーロ高はキャリートレードの巻き戻し。今の市場は一見リスクオンに見えるが、その動きの中にはリスクオフ材料が隠されている」と話す。

<拭えぬ業績下方修正の懸念>

9月日銀短観で示された2016年度大企業・製造業の想定為替レートは107.92円。足元でドル/円は103円後半まで円安が進んでいるが、想定レートとは依然かい離しており、中間期段階での業績下方修正懸念が拭えない。

東レ(3402.T)は16年9月中間期の連結営業利益が従来予想よりも下振れしそうだとの報道で5日、株価が大幅安になった。円高が進んだ影響で海外事業の収益が目減りしたほか、世界的な景気の停滞により炭素繊維や衣料用繊維の出荷も伸び悩んだとみられている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は、中間期で業績下方修正が相次ぐ可能性があると指摘する。「日本企業の特徴として、第1・四半期段階では下方修正しないケースが多い。中間期にまとめて出てきそうだ」という。

日経平均の予想株価収益率(PER)は現在、約14倍台前半。割安感も漂う水準だが、業績が下方修正されれば、割安感は失われる。SMBC日興証券の試算では、2016年平均で105円になれば経常利益は20.1%の減益、100円になれば、27.9%の減益になる。

日本株には、年間6兆円の株式を購入してくれる日銀がいる。下値は支えられるかもしれないが、日銀や年金など公的マネーは上値を買うわけではない。上値を追うにはやはり海外勢の買いが不可欠だが、足元の株高は「ヘッジファンドなど海外短期筋の買いが主体」(外資系投信)という。

日経平均はこの4日間で、約450円上昇した。しかし、売買代金は4日連続して2兆円以下。海外年金などいわゆるロング勢が本格的に参戦している様子はうかがわれない。ヘッジファンドなど短期筋は一定期間が過ぎれば、ポジションをニュートラルに戻す。足元の円安・株高は短命、そうみる市場関係者は多い。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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