インタビュー:4年間で12買収案件の成立目指す=松本・アドベント社長
大林 優香記者 藤田 淳子記者
[東京 17日 ロイター] 米プライベートエクイティ(PE)のアドベント・インターナショナルは、日本での投資先として自動車部品、化学、家電販売、スーパーマーケット分野などを有望視しており、今後4年間で12の買収案件の成立を目指す。同社日本法人アドベント・インターナショナル株式会社(東京都港区)の松本洋社長が17日、ロイターとのインタビューで語った。
同社は今月10日に、日本の中堅企業への投資に特化する「アドベント・ジャパン・プライベートエクイティ・ファンド(JPEF)」を600億円で設立したと発表した。英ペルミラや米カーライル、米TPGなど欧米の有力投資ファンドに比べ、日本のバイアウト市場への参入は遅いが、「投資案件のパイプラインはものすごく多い」状況で、投資先との条件が折り合えば「投資してもいいという段階にきている案件が3─4件はある」という。
アドベントの特徴は、事業再構築により大幅な収益改善を見込める中堅企業に投資対象を絞っていること。企業価値50億─500億円の会社に投資し「3─7年で企業価値を3倍にするのが目標」という。松本社長によれば、投資ファンドが投資先の企業価値を2倍にできれば「成功案件」とみなされるが、アドバントは「事業内容が多岐にわたり、相当な経営ノウハウを入れないと良くならないような複雑な案件」を選好し、さらに高いリターンを目指す。
買収に当たっては基本的に株式の過半数を獲得する方針だが、経営の主導権を確保できれば30─40%の出資にとどまる場合もあるという。第1号案件について松本社長は「注目度も高いし、3年後に企業価値を3倍にできる案件にしたいので、ものすごく慎重に吟味している」と述べ、詳細についての言及は控えた。
<投資のチャンス>
同社が投資対象とするのは製造業、小売り・消費財、ヘルスケア・ライフサイエンス、金融・ビジネスサポートサービスの4分野。なかでも、日本の自動車メーカーが海外で生産を拡大するのに伴い、継続的な設備投資が必要になる自動車部品メーカーや、高い技術力を持つファインケミカル企業を有望視している。このほか、ディスカウントストア、家電販売、調剤薬局、スーパーなど「小さな会社が乱立し、再編が起きるエリアが有望」とみている。
松本社長によると、事業継承問題に悩むオーナー企業や、成長を続けるために海外進出を模索する企業が増えているほか、ファンド主導の事業再編に消極的だった大手企業も外国人株主からの圧力や子会社の収益悪化などで非中核事業の売却を真剣に考える向きが増えつつある。
最近の金融市場の混乱に伴う株価下落も、アドベントにとっては買収価格を抑えられるメリットがあるほか「株価が下がり、内需の低迷で収益率が落ちれば、経営の知恵がないと生き残れないとの危機感が募る」ことから、同社長は「我々にとって大変なチャンス」と捉えている。
<他社との差別化>
とは言え、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の深刻化による信用収縮で、世界のPE案件が激減しているほか、国内経営者の「ファンドアレルギー」は消滅しておらず、欧米系ファンドは思うように案件をまとめられず苦戦している。それでも松本社長は、自身を含め、企業経営を改善させた実績を持つスタッフが「経営陣と直接プロ同士の話しができる」ところにアドベントの強みがあると指摘する。
日本鋼管(現JFE(5411.T: 株価, ニュース, レポート))に22年間務め、同社が買収したナショナルスティールの再建を手がけたほか、新規事業の立ち上げや外資系事業再生コンサルタントの日本立ち上げに関わった同社長は「外資(PE)の代表は投資銀行出身の人が多く、バイリンガルでも日本で仕事をしたことがなく、若い。日本は年齢がものすごく大事」と語る。同社は大手国内企業で社長や副社長を経験した6人を顧問として迎え、投資先候補の経営者に仲介してもらう体制も整えたという。
松本社長は「プロはプロ同士で話さないと通じない。日本の会社の人間は職人的な意識を持っており、プライドもある。中途半端な知識では見抜かれる」と指摘した。
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(ロイター日本語ニュース 大林優香記者 藤田淳子記者;編集 佐々木美和)
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