インタビュー:今上期中に日本株投信を設定したい=大和投信社長
岩崎 成子記者、程 近文記者
[東京 17日 ロイター] 大和証券投資信託の石橋俊朗社長は17日、2009年度上期中に高い技術力をもった国内企業等に投資する日本株ファンドを設定したいとの意向を明らかにした。ロイターのインタビューで述べた。
昨年秋のリーマンショック以降、投信業界は世界的な株安円高に資金流出というトリプルパンチを受け、08年度は厳しい1年となったが「運用会社にとって人材は財産」という石橋社長は、人員削減はせず、人材の育成に力を入れたいとの考えを示した。
インタビューの概要は以下のとおり。
──08年度業績は当初計画に対してどうだったか。
「(リーマンショックを受け)08年上期末時点で当初計画を見直したが、その計画に対しても未達成だった」
「(運用会社というものは)業態として神風が吹いたり、大儲けがあったりという業種ではない。残高に対して(収益が上がってくる)というものだ。今回は想定していなかったことが起きた。半年後に1万円で購入したものが5000円になるとわかっていれば、だれも勧めたりもしないし、購入しないだろう。そういう意味で(想定しないことが起きた現在)投資家のマインドは冷え込んでしまっている」
──4月1日の社長就任とビジネス環境として悪い環境下となったがどうか。
「(相場が)イケイケの時よりは、いいのではないか。これ以上悪くなるという感じもない。今回は円高と株安が同時に来たのが大変だった。株価(日経平均.N225)が8000円程度なら、長い目で見れば半分の4000円になる確率よりも1万円になる確率の方が高いのではないか。為替(ドル/円JPY=も現在の100円程度の水準からは、80円になる確率と120円になる確率では、意見は分かれるところだが、個人的には円安を予想している。予想はあくまで確率論。当たらないかも知れないが、投信は長期投資だ。3─5年でみるなら確率としてはいい方向にいくのではないか」
──なぜ、円安を想定しているのか。
「(日本の)人口が将来的に減るからだ。みな、それぞれ為替を見る際のものさしがあるだろう。これは私の見方であるが、為替は国と国の総合力の相対比較だと思っている。そういう中で人口が減るというのは総合力で劣後することになる。致命的だと思っている」
──ビジネス環境の悪い中で、何に力を入れていくのか。
「大きくは3つある。まずビジネスとしては、残高を増やさなければならない。そう考えた場合、残高増加に貢献してくるのは分配型の外債ファンドになってくるだろう。分配型は60─70歳台の世代に、年金等の補完商品として根強い人気がある。外債ファンドは、要は為替ファンドだ。為替が円安傾向とみるなら外債ファンドはいいのではないか」
「ただ、自分の気持ちとしては、日本の株式ファンドに一番力を入れたい。環境やエコなど高い技術を持つ、本当に成長性のある日本の企業に投資するファンドをやりたいと思っている。(お金は)そんなに集まらないと思うし、すぐに1─2割上がることもないと思うが、息の長い日本株ファンドをやっていきたいと思っている」
「3つ目は、足元で資金を沢山集めることのできた中国株ファンドではないが、その時々で旬なものを見つけてやっていく。これも大切なことだ。どれに力をいれていくのかといわれると、自分としては気持ちは日本株だ。ただ経営も考えなければならない」
──日本株投入のタイミングは。
「できるだけ早い時期にやりたい。上期中にもできれば設定したい」
──社長就任で語った抱負は。
「そういうものを語るのは好きではないし、絵空事のように思える。運用会社にとって重要なのは運用力と商品開発力、顧客サポート力の3つしかない。このために日々一生懸命やっている社員に、そうしてくれている社員に向かって特に言うことはない。私が社長ですといったところで、むしろ社員から私の方が、お前がしっかりやれ、といわれるだろう」
「運用会社の財産は大きく2つだと思っている。お客様からお預かりした運用資産と社員(人材)だ。だから両方を大切に、お預かりした資産は、目一杯一生懸命頑張って運用する。人材は若手だけでなく、社員全員において、まだまだレベルアップの余地があると思うので、これについては私の責任できちんとやるという、ごく当たり前の話はした。人事担当役員を呼び、向こう1年間の研修プログラムなどをチェックする──そこから私の(大和投信での)仕事が始まった」
──外資系などでは人員削減などが続いている。
「何期も赤字が続いて本当に食えなくなるときまでは、人を切るということは絶対にやらないという大和グループとしての大方針がある。そう簡単に人を切ることは出来ない。企業の社会的責任を果たしたとはいえないのではないか。ただ、来年、再来年の新卒採用は若干減るかもしれない」
──日興アセットの買収は。
「グループとしても、大和投信としても、日興アセットの買収に興味はない。大和投信にとって今、重要なのは、運用力をつけること、商品開発力をつけること、顧客サポートをしっかりしてお客様の信頼を得て、残高を増やしていく──後にも先にもこれしかない。これをやろうとしている中で(日興アセットの買収は)本来やろうとしていることとは違うのではないか」
(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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