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コラム:銀行株総崩れ、最大の原因は中央銀行か
2016年2月9日 / 01:49 / 2年前

コラム:銀行株総崩れ、最大の原因は中央銀行か

 2月8日、今年に入って銀行株が総崩れになっている原因は、隠れているようで実ははっきりと見えているのかもしれない。写真は英ロンドンの新金融街。2014年11月撮影(2016年 ロイター/Suzanne Plunkett)

[ロンドン 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 今年に入って銀行株が総崩れになっている原因は、隠れているようで実ははっきりと見えているのかもしれない。年初来、世界の株価全般が10%下落したのに対して、銀行株は14%下がった。

欧州銀行株は8日だけで5.7%下落している。世界経済の成長見通しへの銀行株の感応度の高さからすれば、株安を主導している「容疑者」のうち最も明白なのは、各中央銀行とその政策だろう。

もちろん銀行株の下落にはほかにも相応の原因がある。銀行のコモディティ市場に対するエクスポージャーの全容や、資源国などの政府系ファンドの銀行株保有状況が不透明な点を考えると、投資家の頭にはコモディティ価格の急落が影響したのではないかとの考えが浮かんでくる。銀行は石油・天然ガスセクター向け債権についての情報をほとんど公表していない。だがドイツ銀行(DBKGn.DE)によると、欧米銀行の債権総額は4000億ドルを超える。金融機関側の言い分では大半は投資適格級債券だとしても、金額は非常に大きい。ただドイツ銀の試算では、たとえ欧州銀行が保有する石油・天然ガスセクター向け投資適格級債券の4分の1が格下げされる場合でも、彼らの有形資産価値の1.2%に相当する引当金を積み増せばよい。

個別の銀行がそれぞれ抱える問題もある。ポルトガルのノボバンコの優先債権者への一風変わったベイルイン(損失の強制負担)は、欧州銀行の投資家にとっては同じ扱いを受けるのではないかとのパニックにあおられる。一方、欧州中央銀行(ECB)が域内の不良債権問題で何らかの対応に動く可能性があることが、恐らくは今年になってイタリアの銀行株が約33%下落した理由だろう。

もっとも銀行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)保有者は同じようにおびえてはいない。マークイットによると、劣後債のCDSのプレミアムは100ベーシスポイント(bp)上昇したが、2013年当時に戻っただけで、金融危機時の高水準にはほど遠い。つまりこれは、銀行の破綻がそれほど深刻な懸念ではないことを意味している。それも不思議ではなく、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)からバーゼル銀行監督委員会、あるいは欧州連合(EU)欧州委員会までが昨年終盤以降、銀行の自己資本基準を全面的にかつてないほど高く設定する局面は終わったとのシグナルを発信している。

ただ、昨年12月以降で確かに変わったことが1つある。米連邦準備理事会(FRB)とBOEは利上げが予想されていたものの、今は現在の政策金利水準をより長く維持する可能性が出てきた。一方でECBと日銀は必要があればさらなる緩和に踏み切ると約束している。

この点から、日本までが最近になって加わったマイナス金利導入諸国・地域で、銀行株が下げ圧力を受けているわけが説明できる。

また金利水準がプラスにある地域の銀行も、イールドカーブのフラット化が重圧になっている。米国債の2─10年利回りスプレッドは過去半年で25%近く縮小して111bpとなり、年初来でも10bp縮まった。

投資家はフラット化が銀行の利ざやを圧迫する傾向があると承知しているし、経済活動が本当に減速しているなら、不良債権増加のリスクも高まる。

こうした状況では、なぜドイツ銀行の株価が09年初頭の水準さえ下回り、10年間の同行の株価純資産倍率(PBR)の中央値よりも50%低くなって過去最低圏で推移しているのかは、あまり的確には説明できないかもしれない。

それでも金融危機後に確定利付き商品のリターンが構造的に減少していることで、投資銀行は今までとは別の困難な事態に置かれているという主張は成り立つ。ドイツ銀とクレディ・スイスCSGN.VXは双方とも、長きにわたるコスト削減プログラムがまだ始まったばかりの段階にあり、第4・四半期の収入は急減した。

より健全でリテール事業に軸足を置くインテーザ・サンパオロ(ISP.MI)などは様相が異なる。同行の株価は最近下落してもなお、PBRは10年間の平均より20%高い。もしも投資家が、超低金利がもっと長引くことで銀行は近く資本コストに見合う収益を稼げなくなると心配し始めれば、株価は一段と下落する余地が出てくるだろう。

●背景となるニュース

*8日の欧州株は、世界経済の先行きやマイナス金利の影響をめぐる懸念が金融セクターに重くのしかかったため、1年4カ月ぶりの安値に沈んだ。銀行債の保険料は跳ね上がった。ドイツ銀行、コメルツ銀行、クレディ・スイス、HSBC、BNPパリバなどの株価が軒並み下落した。

*欧州金融機関の劣後債の保険料を示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアム指数は、マークイットによると8日に12%上がって2013年4月以来の高水準に達した。

同じくシニア債のCDSプレミアム指数は13年10月以来の高水準。いずれの指数も過去1週間で40%上昇した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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