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「トランプ政策迷走」だけでない、市場が慎重になる10の要因
2017年3月23日 / 02:43 / 7ヶ月前

「トランプ政策迷走」だけでない、市場が慎重になる10の要因

[ロンドン 22日 ロイター] - 昨年11月の米大統領選以降、大躍進してきた世界の株式市場に陰りがでてきた。上げ相場の材料となっていたトランプ米政権の減税、インフラ投資、金融規制緩和の具体的な内容が示されないことに失望感が広がっている。

 3月22日、昨年11月の米大統領選以降、大躍進してきた世界の株式市場に陰りがでてきた。上げ相場の材料となっていたトランプ米政権の減税、インフラ投資、金融規制緩和の具体的な内容が示されないことに失望感が広がっている。写真は証券会社のトレーダー。ロンドンで昨年6月撮影(2017年 ロイター/Russell Boyce)

きっかけは、内政の最優先課題の一つ、オバマケア(米医療制度改革法)の改廃を巡る迷走。代替法案で、与党・共和党内の足並みが揃わず、通過のめどが立たない。

しかし、相場に影響を及ぼしているのはそれだけでない。以下に10の要因を挙げた。

1)金利

量的緩和(QE)やマイナス金利など、約10年にわたる超緩和的な金融政策の結果、世界はいまだにカネ余り状態にあるが、潮目は変わりつつある。米連邦準備理事会(FRB)は2回政策金利を引き上げ、さらなる利上げを想定。欧州中央銀行(ECB)は、政策金利の一つを予想よりかなり早く引き上げることを検討していることをほのめかしている。それが、たとえタンカーの進路変更くらい緩やかな動きだとしても、市場は神経質になっている。

2)イールドカーブ

米フェデラルファンド(FF)金利や短期金利が上昇しても長期金利は上昇しない──イールドカーブ(利回り曲線)の「平坦化」と称される長短金利差の縮小は、投資家が金利の大幅上昇を正当化するほど経済成長や物価上昇の勢いが強くないと考えていることを示唆し、しばしば成長鈍化やリセッション(景気後退)の前触れともされる。

3)銀行

イールドカーブの平坦化は、短期で資金を調達し長期で貸すことによって利ざやを稼ぐ銀行にとってマイナスだ。米大統領選後、長短金利差が拡大(イールドカーブのスティープニング)し、それで金融株が上昇し、相場全体を押し上げた。しかし、3月に入って金融株に陰りがでてきた。トランプラリーで30%上昇した米金融株は、ピークから10%値下がりしたが、さらに下がる可能性がある。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)の直近の運用担当者調査によると、銀行株はかなり買い持ちが積み上がっている。米金融株.BKXは21日、4%安と昨年6月以来最大の下げを記録した。

4)ポジション(持ち高)

BAMLの調査結果で注目されるのは、株価が過去17年で最も過大評価された水準にあるということだ。しかし、米大統領選後の上昇相場の長さを考えると、さほど驚くことでないとも言える。ダウ指数は42日かけて1000ドル上昇し2万ドルの大台に乗ったが、そこから2万1000ドルに到達するのは24日しかかからなかった。BAMLのマイケル・ハートネット氏は、株価の水準とポジションの状況から「3月/4月にリスクラリーが一服」するとみている。ポジションの偏りは、株だけでない。ドルがかなりロングに傾き、強気一色の様相を呈する一方、債券への投資資金配分はここ3年で最低だ。

5)相関性

いわゆる平時には、市場の動きには一定のパターンがある。ドルが上昇すると、原油などのコモディティ(商品)が下落、ドルが下げればコモディティが上がるといった具合だ。これは、コモディティがドル建てで取引されるためで、ドルとコモディティはしばしば逆の動きをみせる。しかし今週は、ドル、原油、銅、その他コモディティがそろって下落。相関あるいは逆相関関係の崩れは、投資家がリスクオフ姿勢になっていることを示唆する。

6)市場のマイルストーン

市場のムードが暗転し、資産市場が下落すると、節目的な水準が意識されるようになる。大台など、きりのいい数字もそうだ。

ドル指数は今週100.00を下回った。北海ブレント原油先物の50ドル割れ、米10年債利回りの2.50%割れなど、節目を突破ないし割り込むと、市場の転換点のシグナルと言われることが多い。持ち高が偏っている時は特にそうだ。

21日米株市場では、ダウとS&P500が米大統領選前の昨年10月以来、初めて1%以上下落した。恐怖指数と呼ばれるVIX指数が2カ月超ぶりの水準に上昇したのも当然といえる。

7)経済のサプライズ

世界経済が緩やかなペースで推移している間に、モメンタムが弱まっている可能性がある。米シティグループが算出している主要国の経済サプライズ指数は、概ね横ばいないし徐々に低下している。特に顕著なのが英国とユーロ圏のそれで、日本はマイナス圏に落ち込んだ。これは、想定されるトランプ政権の刺激策が与える経済へのプラス効果が薄れていることを示し、金融市場にとって好ましくない兆候だ。

8)ブレグジット(英国のEU離脱)

昨年6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定は、とりあえず多くの専門家が懸念していた経済への大打撃をもたらさなかったが、状況は徐々に変わりつつあるようだ。英政府は3月29日に正式に離脱を通知するが、成長は減速しており、企業の投資は凍結、物価が大幅に上昇し実質所得が目減りしている。さらに、離脱が企業や市場に与える影響が不透明で、スコットランドでは独立の是非を問う住民投票を再度実施する機運が高まっている。

9)四半期末

カレンダーは重要な要因だ。投資会社、ファンド、銀行、その他市場参加者は毎四半期末に会計処理などの理由でポートフォリオや帳簿をお化粧する。第3・四半期末まで残すところ1週間となり、利益確定の動きを強めているとみられる。

10)バリュエーション

昨年11月の大統領選挙の日、S&P500指数の予想PER(株価収益率)は16.6倍から18倍超に上昇し、米株は2004年以降で最も割高となった。一方、同指数の配当利回りは2%強と、約2.4%の米10年債利回りに劣る。不透明感が広がる中、企業利益が伸びるかどうかが問題だ。

*見出しを修正して再送します。

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