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コラム:米シリア攻撃で原油急伸、市場の懸念は行き過ぎか
2017年4月10日 / 04:05 / 5ヶ月前

コラム:米シリア攻撃で原油急伸、市場の懸念は行き過ぎか

 4月7日、米国がシリアにミサイル攻撃を行ったことで、原油価格は急伸したが、市場の反応は行き過ぎのように見える。写真は、地中海でミサイルを発射する米海軍誘導ミサイル駆逐艦。提供写真(2017年 ロイター/Robert S. Price/Courtesy U.S. Navy/Handout via REUTERS)

[ロンドン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国がシリアにミサイル攻撃を行ったことで、原油価格は急伸した。軍事介入で原油供給に支障が生じるというだけでなく、イランが対抗措置に出ることが懸念されたためだ。ただそうしたシナリオが現実化したとしても、市場の反応は行き過ぎのように見える。

北海ブレント先物は、米軍のミサイル攻撃報道後に一時1バレル56ドル強と1カ月ぶり高値を付けた。一見すると、中東の緊張がこの地域の大幅な輸出途絶につながるという論理は筋が通っている。だがシリアのダマスカスは、原油の主要供給ルートからはかなり遠い。アサド政権が直接的に世界経済に及ぼす影響は乏しい。

本当に心配なのは、アサド政権と連携しているイランの出方だ。イランが昨年の制裁解除以降、原油供給拡大を続けてきたことが、原油価格の低位安定をもたらしていた。イランの生産量は30%増えて日量380万バレル近くに達している。同国は石油輸出国機構(OPEC)が昨年11月に合意した減産の対象外でもある。

5月に大統領選を控えたイラン政府が、アサド政権を支援する必要があると考えたとしよう。それは、昨年関係各国の間で発効した核合意をトランプ政権が廃棄する口実になり得る。論理的帰結としてイランに対する輸出禁止、外国企業による開発制限などの措置が打ち出され、原油価格が上昇する。

しかし現実は違ってくる可能性がある。まずイランに再び制裁を発動しても同国が最大の市場である中国やインド、韓国、日本などに輸出するのを防げないかもしれない。特にこれらの国が米国の単独軍事行動に穏やかならざる気分でいるとすればだ。次に、イランの供給がなくなった分を、サウジアラビアが穴埋めしてもおかしくない。サウジの生産余力だけで、イランの生産量の半分に達する。サウジは原油価格上昇を望んでいるが、同時に市場の安定も目指している。

もちろんイランが戦略的に重要なホルムズ海峡を封鎖して、ペルシャ湾岸からの原油供給に問題を引き起こす可能性はある。同海峡は、世界中の海上輸送原油の3分の1が通過する要衝で、封鎖となれば原油のリスクプレミアムは増大するだろう。だが海峡の防衛態勢は厳重で、いわゆるタンカー戦争は、イランとイラクが軍事衝突した1980年代以降起きていない。中東の緊張が高まっているからといって、原油価格が必ずしも上がる必然性はない。

●背景となるニュース

*米国が7日に実施したシリアへのミサイル攻撃を受け、原油価格は急伸した。

*米政府当局者によると、シリアの反政府勢力の支配地域に対して4日に化学兵器が使用されたことを踏まえ、海軍の2隻の艦艇からシリア空軍の基地に59発の巡航ミサイルを発射した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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