再送:〔特集:東京市場強化〕上場企業は市場に向き合う経営を=大崎・野村資本市場研究所研究主幹

2007年 11月 28日 07:36 JST
 
記事を印刷する |

*この記事は27日に配信したものです。

 江本 恵美記者

 

 [東京 27日 ロイター] 野村資本市場研究所の大崎貞和・研究主幹はロイターとのインタビューで、東京市場の競争力を強化し、国際化するには、上場企業が投資家に向き合った経営方針や資本政策、株式市場の利用法を考えることが「最も迂遠なようで最も早い」との考えを示した。

 

 貯蓄から投資への流れは定着し、投資信託(公募)の純資産残高は過去最高の約82兆円に拡大した。ただ、大崎氏は、依然として日本の個人投資家の外債志向が強く、国内株で運用する投信に向かう足が鈍いのは、上場企業の魅力の有無に関係していると指摘。そこが解決しなければ、いくら制度を作っても競争力は高められないと述べた。

 

 インタビューの詳細は以下のとおり。

 

 ──東京市場の競争力を強化し国際化するとは、どういう意味を持っていると考えているか。

 

 「大きく分けて2つある。1つは日本企業の資金調達が円滑になるための国際化で、外国人投資家が入ってきやすくすること。もう1つは、日本のおカネの国際化の話で、日本の個人のおカネが効率よく運用されるということだ」

 

 ──国際化するために、具体的には何が求められているか。

 

 「まず日本企業の資金調達に関連しては、投資家の信頼を裏切らない経営に徹することが重要だ。コーポレート・ガバナンスやコーポレート・ビヘイビア(企業行動)という言葉で表現されるようなことを、安易に世界標準に合わせるべきとも思わないが、欧米の株式市場では当然とされている規範をしっかり守り、投資家の信頼を裏切らないことが、実は国際化になる」

 

 ──金融庁は「金融資本市場競争力強化プラン」で、プロ向け市場の創設など4つの柱を挙げた。

 

 「取引所の総合化、市場の公正性を高めるための課徴金の引き上げやプロ向け市場の創設など、できることは皆やればいい。ただ、市場における企業行動が、もっと投資家に向き合った行動になるにはどうしたらよいかという議論は、まだ十分にされていないようだ。オープンな市場でおカネの出し手になっている投資家の声が、なかなか全体の議論に反映されていない点に多少懸念を覚える」

 

 ──投資家のおカネの国際化のためには、何ができると思うか。

 

 「運用手段の多様化や高度化だろう。投信のような金融商品が、もっと皆に好かれるような商品になることが必要だ。だいぶ進んできたが、もう一歩だ」

 

 ──個人マネーの貯蓄から投資への流れは定着してきたようだが。

 

 「投信はだいぶ好かれるようになったが、その理由を冷静に考えてみると、銀行の窓販拡大が背景にあった。ただ、長期的な資産形成のための商品が本当に売られているか不安も残る。個人が買っている投信の主流は、格付けの高い外貨建て債券が主な投資対象になっている商品だ」

 

 ──外貨建て債券で運用する投信が人気なのは、何が問題か。

 

 「長期的にある程度リスクを取りつつ、グロース(企業価値の成長)も取ることにつながる商品でないと、長続きはしないのではないか」

 

 ──つまり企業の株価上昇でキャピタルゲインの回収を期待できる株式投信におカネが流れる必要があるということか。

 

 「そうでなければインフレが起きた際に負けてしまう。このような考えはどの程度浸透しているのだろうか。キャピタルゲインを取ることに前向きな投資家が増えるか否かは、結局、上場企業の魅力にかかってくる。無論それがすべてではないが、非常に大事な要素だ」

 

 ──海外投資家の一部は、発行済み株式数の過半数を単一の親会社が保有する子会社の上場(親子上場)に異論を唱えている。

 

 「親子上場に反対はしない。ただ、固定株主がたとえば70%も子会社の株を持ち、流通株も少なく、いつその固定株主の会社に対する方針がガラッと変わるか分からないという場合、この企業は成長が期待できるので株をいっぱい買いなさいと言われたところで、買う投資家がいなくても仕方ない」

 

 「親子上場という現象1つをとらえて禁止すべきとは思わないが、やはり経営者が投資家の方を向いた経営方針や資本政策、株式市場の利用法を考えるようになるのが、最も迂遠なようで最も早い東京市場の国際化だ」

 

 ──日本は、確定拠出年金(401k)制度で、株式の値上がり益に対する課税が免除される非課税枠が小さく、年金のような長期のおカネを株式市場に誘導する税制面の後押しが少ない。

 

 「若い世代は、自分の雇用主が401kを導入していてもいなくても、資産運用でリスク性志向を高めていると思う。制度の問題以前に、個人や特に若い世代の意識が変わっていっているように思う」

 

 「金融市場が世界に冠たるものになるとすれば、その国に優れた企業があり、おカネがあるからだ。例えばシンガポールはそういう国ではないので、制度の緩和などを積極的に進めて投資家を呼び込んでいる。日本は言語が特殊で、自然に構えていたら金融センターになる理由がない。だからこそ、企業力や投資家力、資本力など、おカネや会社があるということで世界の人々を呼び込む金融センターづくりを考える必要がある。投資家を呼び込みやすい制度を考えるのはもちろんだが、根本のところである上場企業の魅力が高まらなければ、いくら制度を作っても呼び込めなくなってしまう」

 
 

編集長のおすすめ

  • ニュース
  • 写真
  • ビデオ

株価検索

会社名銘柄コード

ロイターオンライン調査

Photo
1万円
9,000円 (03年6月以来)
8,000円 (03年5月以来)
7,603.76円 (03年4月ザラ場最安値)
それ以下