〔焦点〕米サブプライム救済策、小規模で遅きに失したとの指摘も
[ニューヨーク 6日 ロイター] ブッシュ米大統領が6日発表したサブプライムローン救済策で、多くの借り手にとっては一息つける余地が生まれるが、最も深刻な借り手の救済にはならないとの指摘も出ている。
第3・四半期の住宅差し押さえ件数が過去最高に達し、欧米の大手金融機関がサブプライムローン関連投資で多額の損失を計上するなかで、米政府はローン支払い金利の凍結を柱とする救済策を発表した。
ただ、救済策はデフォルト抑制のために措置を講じているものの、救済対象の借り手の数よりも多数の借り手が排除される可能性があるため、住宅市場に与える永続的な影響には議論の余地があるという。
ハーバード大学法科大学院のエリザベス・ウォーレン教授は「これは希望の祈りの計画」とした上で、現在ローン支払いができないほど困窮している借り手と、金利が上昇しても支払いができる層の双方を対象から除外しており、規模が小さく長期的な対策にはならないとの見解を示している。
住宅ブーム当時に緩い融資基準でローンが組まれたが、住宅価格の下落率は過去25年で最大となっている。消費者保護団体「責任ある融資センター」によると、今後3年間での住宅差し押さえ件数は約170万件と予想されている。
ウォーレン教授によると、金利凍結で住宅差し押さえ件数は低下するものの、住宅価格下落が続けば、住宅購買意欲は減退し住宅・資本市場の低迷は続くという。
<救済できるのは「数十万人」か>
ブッシュ大統領は救済策で120万人の自宅保有者を助けることができる可能性があるとしているが、ペンシルベニア大学ウォートン校のスーザン・ワヒター教授によると、救済できるのは「数十万人」程度だという。
米抵当銀行協会(MBA)の発表では住宅差し押さえ件数は急増しているが、救済策はすでに自宅を失った人々に対しては対策を講じていない。
変動金利上昇で返済ができなくなり、すでに住宅を差し押さえられたロサンゼルス在住の35歳の男性は、この日発表された救済策について「規模があまりに小さく、遅きに失した。なぜ少数の人しか助けないのか。なぜ大多数の人を助けないのか」と苛立ちを隠さない。
ポールソン財務長官も救済策が「特効薬」でないことは認めている。
救済策の立案者は、ローンの修正過程を簡素化し、住宅差し押さえを抑制し、実体経済への波及を食い止めたい意向だ。
タイミングも重要になっている。一部の有力エコノミストは住宅価格の下落などで米経済が来年リセッションに陥る可能性を50%と見ているからだ。
救済策の骨子では、少なくとも3%の頭金でローンを組んでいる人が金利凍結の対象になるが、多くのサブプライムローンが頭金ゼロで組まれているため、この基準を満たすことできなくなる。また、ミシガン州のような地域ではこの救済策の恩恵を受けるには、不動産価格が大幅に下がり過ぎているとされる。
前出のワヒター教授は「今回の救済策が対象にしないローンは、経済的にも打撃を受けているこれらの地域に集中している」と述べている。
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